いちごばたけのちいさなおばあさん

『いちごばたけのちいさなおばあさん』

作 わたりむつこ
絵 中谷千代子
出版社 福音館書店
価格 ¥800+税


いちご畑の土の中に住んでいたのは、ちいさなおばあさん。
おばあさんの仕事は、いちごの実がなると、赤い色を付けて歩くことでした。

ある年のこと。春はまだずっと先だというのに、どうもぽかぽかあたたかい。そこで、おばあさんが地面の上に出てみると、びっくり!いちごはすっかり葉を広げ、花が咲くのも時間の問題です。

慌てたおばあさん。
早速いちごの色作りに取りかかろうとしましたが・・・?

* * * * * * *

いちごが赤いのには、そんな手間と苦労があったんだ・・・と、なんだか、ほろりとしてしまいます。ゆたかな想像がふくらむお話です。

絵を手掛けるのは、『かばくん』や『ジオジオのかんむり』で有名な中谷千代子さん。中谷さんと言えばキャンバス地の質感を活かした油絵が特徴的ですが、この『いちごばたけのおばあさん』は、水彩画でしょうか。軽いタッチで色付けられたいちごは、その瑞々しさが引き立つようです。

春になる度、おばあさんがいちごに色をつける姿が思い浮かぶ・・・。そんな、心に残る作品です。