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どうぶつサーカス

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『どうぶつサーカスはじまるよ』
作 西村敏雄 出版社 福音館書店 発行日 2009年11月10日 ※月刊「こどものとも年中向き」2006年5月1日発行 価格 ¥800+税

パンパカパーン
パンパンパン
パンパカパーン

軽快な音とともにアザラシの司会で始まった、どうぶつサーカス。最初はライオンの火の輪くぐり、お次はカンガルーの曲芸、さらにはワニの組体操・・・・、わくわくするような芸が次々と続きます。
ところが、最後に予定されていた空中ブランコが中止になるとのお知らせが入りました。出るはずだったサルが、怪我のため出られないというのです。
客席からは、「えーっ、もっと みたい!」「もっと やれーっ!」と声が飛びます。そこで司会のアザラシが考えたこととは・・・?

* * * * * * *
流れるようにリズミカルな文章と、臨場感あふれるダイナミックな絵。まるで、お客さんたちと一緒に、このサーカスを見ているような気分になります。
ハラハラして、ドキドキして。本当にうまくできるのかな・・・と、ひやひやしたり。うまくできたら、思わずパチパチパチと手を叩いたり。

本を手に取れば、いつでもそこには動物たちが待っていて、ゆかいなサーカスを見せてくれます。

読み終えたあとは、思わず子どもといっしょに顔を見合わせ、笑い合ってしまいそう。
『バルバルさん』や『もりのおふろ』を手掛ける西村敏雄さんの作品です。

特急おべんとう号

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『特急おべんとう号』
作 岡田よしたか 出版社 福音館書店 発行日 2009年3月1日 価格 ¥1,500+税

本書は、「全日本おべんとうマラソン」「ねこ 大災難」「特急おべんとう号」の、3つのお話が収録された創作童話集です。
第1話「全日本おべんとうマラソン」では、お弁当のごはんやおかずさんたちによるマラソン(世界で初めてのレース!)の様子が、臨場感たっぷりに描かれています。「さあ、パーンという合図とともに 各選手、いっせいにとびだしました。」と中継の声が聞こえるなか、ベタベタして走りにくいと納豆が遅れたり、と思えば、その納豆が前のコロッケと接触して「なんちゅうことしてくれんねん」とコロッケがいかったり、はたまた、ゆでたまごとめだまやきとたまごやきの三兄弟が激しく順位争いをしていたり(ちなみに、まるいゆでたまごが有利のよう)。なんともゆかいでおかしなレースです。
そんなマラソンのお話に続く第2話「ねこ 大災難」には、1話でマラソンの列に乱入していたねこが登場します。金魚を食べようとしたらどこからか現れた巨大な金魚に見つかり、必死で逃げるもどこまでも追いかけられるという、大災難が降りかかるお話です。
第3話では、1話のマラソンで活躍したお弁当のごはんやおかずたちが、なんと電車に乗って遠足に行くお話です。でも相変わらず喧嘩っぱやい、ごはんやおかずたち。このおかしなやりとりは、ぜひ実際に手に取ってご覧いただきたいです。

言葉の流れにスピード感があって、ぐいぐい引き込まれていきます。童話集と言っても文章は短めで、なんと全ページフルカラー。言うなれば、絵本を3冊ひとまとめにしたようなもの。とっても贅沢な1冊です。

のちの作品、『ちくわのわーさん』『うどんのうーやん』『こんぶのぶーさん』に出てくる食べものも、隠れているかも。
とにかく、おもしろい!に尽きる1冊です。

もうねんね

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『もうねんね』
文 松谷みよ子 絵 瀬川康男 出版社 童心社 発行日 1968年1月15日 価格 ¥700+税

1匹のいぬが、もう眠たくてたまらないといった様子で、「おやすみなさい」を言いました。 「ワン」と鳴くと、犬はぺたんと寝そべって、ひとりでねんねしました。
次はねこがやってきて、やっぱり「おやすみなさい」を言いました。「ニャーン」と鳴いてまるくなると、ねこもねんねしました。

めんどりとひよこも、女の子のモモちゃんも、それから毛布に、お人形さんも。みんな目をつぶって、とろとろねんね。
みんな、ねんね。おやすみなさい。

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『いないいないばあ』や『いいおかお』と並んで、松谷みよ子さんと瀬川康男さんのお二人が手掛ける絵本です。動物や子どものパッチリおめめがかわいい上記の2冊とは違い、この『もうねんね』は、はじめから最後まで、みんな目をつぶったままです。やってくるなり、もうどうしようもなく眠たそうで、次のページではすっかり気持ちよさそうに眠っているから、見ているだけでなんだかこちらまで眠たくなってきます。

絵も言葉もとてもやわらかで、おだやかで。この絵を見ながら、言葉を声に出して読むと、優しい気持ちにすっぽり包まれるような気分になります。

いのちをいただく

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『いのちをいただく』
文 内田美智子 絵 諸江和美 監修 佐藤剛史 出版社 西日本新聞社 発行日 2009年5月11日 価格 ¥1,200+税

坂本さんは、牛を殺してお肉にするのが仕事です。大切な仕事だとは分かっていても、殺される牛と目が合うたび、坂本さんはこの仕事が嫌になるのでした。
ある日のこと、明日殺される予定の牛がトラックに乗ってやってきました。「みいちゃん」という名のその牛に、10歳くらいの女の子が声を掛けているのを、坂本さんは聞いてしまいました。
「みいちゃんが肉にならんとお正月が来んて、じいちゃんの言わすけん。みいちゃんば売らんとみんなが暮らせんけん。ごめんねぇ。みいちゃん、ごめんねぇ」

みいちゃんは、この女の子と一緒に育ったといいます。
坂本さんは“もうできん”と、この仕事をやめようと、思いました。

けれど、息子のしのぶ君と約束をして、翌朝坂本さんはみいちゃんの元へと向かいました――。

* * * * * * *
これは、実際にあったお話です。助産師として多くの講演活動を行っていらっしゃる内田美智子さんが、ある小学校で出会った、食肉加工センターでお勤めの坂本義喜さん。その時に坂本さんが語られていたお話を、内田さんはどうしても忘れることができず、文章に書き留めたものがこの本のもとになったといいます。
前半は、その実話に諸江和美さんが絵を付けたもの、後半は、九州大学農学部助教の佐藤剛史さんが農漁業や保育に携わる人たちを取材し、執筆した現場ルポ「いただきますということ」が収録されています。

前半のお話に出てくるのは動物の肉ですが、魚も、野菜も、穀物も、すべての食べものには命があります。そしてその命は、人によって殺されます。人が、生きていくために。

たくさんの命に支えられて、私たちは今ここに生きている。
私たちが忘れてはいけないこと、子どもたちに伝えていかなければならない大切なことが、とても丁寧に描かれた1冊です。

※前半はすべての漢字にルビがふってあります。後半はルビなしです。

このラッパだれのかな

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『このラッパだれのかな』
文 まど・みちお 絵 なかがわそうや 出版社 瑞雲舎 発行日 2009年9月9日 ※1972年発行『このラッパだれのかな』(フレーベル館刊)を、新装版として復刊したものです。 価格 ¥1,000+税

ぴかぴかのラッパがひとつ、落ちていました。だれのかな?
りすさんのだ!
「ぷっぷく ぷー ぷっぷく ぷー」

今度は違った音が聞こえてきました。
「ちろりろ ぴー ちろりろ ぷー」
だれのラッパかな?
ぺんぎんさんのだ!

形も色もそれぞれ違ったラッパを、たくさんの動物たちが吹いています。
最後は2人のぼうやたち。2人いっしょに「ぺっぽこ ぺっぽこ ぽこぽこ ぺー」

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今年の2月、詩人のまど・みちおさんがお亡くなりになりました。104歳でした。
まどさんが作詞を手掛ける「やぎさんゆうびん」や「ぞうさん」、「一ねんせいになったら」などは、私たちにも子どもたちにも馴染みのある童謡ですよね。
そんなまどさんの生誕100年を記念して復刊されたのが、『このラッパだれのかな』です。

ラッパの不思議な音色とともに描かれる動物たちは、とても愛らしい。ぜひ絵本を開いてご覧いただけると嬉しいです。

次は何の動物かな?と、あてっこして楽しんでもいいし、ラッパの音を真似したり、新しいラッパの音を考えてもいいし・・・。朗らかで、楽しい1冊です。

絵本『くらべっこしましょ!』描きおろし作品展

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2014年9月5日、 絵本『くらべっこしましょ!』(石津ちひろ文、松田奈那子絵)が、 白泉社さんから発売されます!

その出版に合わせ、 当店にて松田奈那子さんの作品展開催が決まりました! パチパチパチパチ・・・
本当に夢みたいです。
それもなんと!今回の展示のために、 『くらべっこしましょ!』に登場する動物たちを、 新たに描きおろしてくださいました。
『くらべっこしましょ!』に登場するのは、 ライオンや、ゾウ、フラミンゴといったたくさんの動物たち。 今回の展示では、絵本の原画ではなく、 そんな動物たちのオフショットような場面を展示いたします。
絵本から飛び出してきた動物たちは、 どんな恰好や、どんな表情をしているのかな?
絵本と見比べたり、そこから始まるストーリーを想像したりしながら、 思い思いにお楽しみいただけたら嬉しいです。

※作品は展示販売いたしております。
価格や発送等については、お気軽にお尋ねください。

関連の催しについては【こちら】からどうぞ。

★追記★
最終日の10/4(土)に、サイン会が決定いたしました!
詳しくは【こちら】をご覧ください。
作品展についての詳細は、下記の通りです。


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絵本『くらべっこしましょ!』描きおろし作品展

会場 pieni silta
住所 大阪府豊中市熊野町4-1-8
期間 9/8(月)~10/4(土)
会期中休業日 9/14(日)、15(祝・月)、21(日)、27(土)、28(日)

お問い合わせはpieni silta(06-6868-9382)までお願いいたします。


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みなさまのご来店を、楽しみにお待ちしております!









======= お ま け
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2012年、月刊「MOE」のある特集で、とっても素敵な挿絵を見つけました。きれいな絵だなぁ・・・そう思っていたら、翌年のMOE絵本グランプリで、その挿絵を描かれていた方が大賞に選ばれたのだと知りました。それが、松田奈那子さんでした。
その翌月のMOEで、大賞に選ばれた作品『ちょうちょ ちょうちょ どこにとまった?』が数ページに渡り掲載されました。そのみずみずしさだとか、繊細さだとか、やわらかさだとか、そういったものにすっかり魅了された私は、これはぜひ原画を拝見したい!と、そのあと東京で開催された原画展に伺いま…

ころころころ

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『ころころころ』
作 元永定正 出版社 福音館書店 発行日 1984年11月22日 ※月刊「こどものとも年少版」1982年5月1日発行 価格 ¥800+税

赤色、茶色、橙色、水色・・・さまざまな色をした丸い色玉が、ころころと転がっていきます。階段道を登ったり、下ったり。でこぼこみちを跳ねたり、嵐の道では吹き飛ばされたりしながら。
色玉たちは、形も色もさまざまな道を、「ころ ころ ころ」と進んでいきます。

「でこぼこみち ころ ころ ころ」、「さかみち ころころ ころ ころ ころ」と、シンプルな繰り返しですが、「ころ ころ ころ」をどんな風に口ずさもうか、わくわくします。そのまま読んでも良いし、状況に合わせて読んでも良いし、体を使って読んでも良いし。
小さな色玉が、まるで小さな子どもたちのよう。色玉が愛らしく並んだ表紙も、とても良いなぁと思います。

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昨日、元永定正さんと中辻悦子さんご夫妻による、「もーやんとえっちゃんの絵本原画展 えほんはつづく」へ行ってきました。
元永さんといえば、『もこ もこもこ』(谷川俊太郎文)や『がちゃがちゃどんどん』など、中辻悦子さんといえば『よるのようちえん』(谷川俊太郎文)や『まるまる』などが馴染み深いでしょうか。
そして、『もけらもけら』(山下洋輔文)や『あみだだだ』(谷川俊太郎文)のように、元永さんが絵を手掛け、中辻さんがその構成をされている絵本もあります。

展示では、元永さんの永眠後に中辻さんが遺稿を構成された『どん』(坪内稔典文)の原画もありました。(月刊「こどものとも年中向き」2012年12月号発行)
展示を見ながら、お二人はどんなご夫婦だったのだろうと、どんな会話をされて、どんな風に絵本をお作りになったのかと、思いを巡らせてしまいました。
原画は絵本で見るよりもその質感が感じられて、お二人の、あたたかさやおおらかさのようなものを垣間見たようでとても良かったです。

原画展は2014年9月7日(日)まで。場所は神戸市のBBプラザ美術館です。良ければ、ぜひ。(今日ご紹介した『ころころころ』の原画はありません。)

ヌードル(岩波の子どもの本)

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『ヌードル』
文 M.リーフ 絵 L.ベーメルマンス 訳 福本友美子 出版社 岩波書店 発行日 2003年10月21日 ※原書『NOODLE』1937年発行(アメリカ) 価格 ¥900+税

ヌードルは、鼻の先からしっぽの先までうんと長くて、代わりに、背はソファの下をくぐれてしまうくらいおちびさん。そんな体だから、大好きな穴掘りをするのも一苦労でした。
「ぼくのからだが こんなかたちじゃなかったら いいのになあ。」

やっとのことで骨を掘り出したヌードルが穴の外に出ると、そこには、白くて羽の生えた犬の妖精がいました。妖精は、ヌードルの言葉を聞いて、ヌードルの願いを叶えにきたのです。
どんな大きさで、どんな形がいいのかなあ?ヌードルは、一生懸命考えました・・・。

* * * * * * *
『はなのすきなうし』のマンロー・リーフと、「マドレーヌ」シリーズのルドウィッヒ・ベーメルマンスによる絵本です。
ヌードルは、いろいろな動物に聞いてまわりながら、自分にはどんな大きさの、どんな形が向いているのかと考えます。短い足で、お腹がぺこぺこになるまで歩いて考えました。
けれど動物たちはみんな、自分の大きさの、自分の形が1番良いと言います。そして、とうとうヌードルも気が付きました。“ぼくの いまの このままの おおきさと このままの かたちがいい”と。

マンロー・リーフさんによるこのお話は、ユーモアがあって良いし、ベーメルマンスさんの絵は、やっぱりとびきり愛らしい。
「岩波のこどもの本」シリーズは少し小さめの判型なのですが、今日ご紹介したこのお話にも、このサイズがちょうど合っている気がします。

おやすみのあお

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『おやすみのあお』
著 植田真 出版社 佼成出版社 発行日 2014年6月30日 装丁 羽島一希 価格 ¥1,300+税

窓の向こうで、ささやく声が聞こえます。
ぼくは小舟を漕いで、川の流れに乗って進んでいきます。
そこに広がるのは、やわらかな青の世界。その色は、木々や草花や、動物たちを、ゆっくりと眠りへ導くように、少しずつ深みを増していきます。

おやすみの青のトンネルは、どんな明日へと続いているのかな。
これからまだまだきっとある、ぼくの知らないこと。
きょうも、あしたも、あさっても――。

* * * * * * *
私が保育士をしていたときのこと。
お昼寝の時間になると、子どもたちを眠りに誘うために、背中をトントンしたり、おでこをなでたりするのが日課でした。安心してすぐに眠ってしまう子もいれば、中には、なかなか眠りにつけない子もいました。寝つきにくい子というのはなんとなく決まっていて、その子を見ていると、眠るのが嫌なんだろうなと思うことがありました。眠るのを怖がっている、というような。
それでも、その子が眠たいのは手に取るように分かるので、「大丈夫だよ」と、安心して眠れるまでそばについていました。

でも、この絵本を読んで思ったのは、あのとき子どもが怖かったのは“眠ること”ではなくて、“眠ったあとのこと”だったのではないかと。
今隣にいるこの先生は、自分が眠ったらどこへ行くんだろう、とか。目が覚めたとき、ひとりぼっちだったらどうしよう、とか。
眠ったあとは、なにが待っているんだろう、とか。

この絵本は、とても静かな絵本です。しっとりとしていて、おだやかで、眠りの前にぴったりの絵本です。
でも、確実に、明日へと繋がっています。あたたかな光に満ちあふれた明日へ。絵本の中では、ある見開きだけ一変して明るいページが広がっています。それが、すごく良いなぁと思います。

もし、またあのときのような子どもと出会うことがあれば、眠ったあとの話をしてあげたい。
おやすみのトンネルを抜けたら、どんなことをしよう?どんなことが待っているかな、って。目が覚めたあとのことを楽しみにしながら、安心して眠られるように。

岡田よしたかさんトーク&サイン会を開催しました!

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2014年8月19日(火)、 イベント前日。
その日の営業時間が終わると、店内から机も棚もきれいさっぱり運び出して、翌日のイベントに向けて設営準備に取りかかりました。

お申し込みは、おかげさまで満席。
大人と子どもと15人ずつ、計30人のお申し込みをいただいていたので、子ども用のマットを敷いて、その後ろに大人用の椅子を並べて準備が終わりました。


2014年8月20日(水)、 とうとうイベント当日!
少しキャンセルが出て、最終25人になりましたが、それでも本当に入るだろうかと内心ひやひや。
それでも、当店で作家さんを招いてイベントを開催するのは初めてだったので、朝からどきどきわくわく、とっても楽しみにしていました。
さて、13時になってイベントが始まりました。
オープニングテーマ(?)は、なんと岡田さんのハーモニカ! リズミカルな音楽に、子どもも大人も思わず手拍子しました。

場の空気がすっかり和んだところで、 紙芝居のはじまり、はじまりー!

おなじみの絵本を紙芝居仕立てで読んでくださったり、 絵本の裏話をお話しくださったり、 絵本になっていないお話の紙芝居をご披露くださったり。 あっという間の1時間でした。
そのあとサイン会をして、 最後は岡田さんと参加者のみなさんとで、 記念撮影をして終わりました。
お暑いなかご参加くださったみなさま、 本当にありがとうございました!
そして、岡田よしたかさん、 素敵な時間をどうもありがとうございました!


現在開催中の岡田よしたかさん絵本原画展は、 8月30日(土)まで。
原画展では、絵本『ちくわのわーさん』、『うどんのうーやん』、『こんぶのぶーさん』から、各4枚ずつの原画を展示しています。

関連イベントとして、小さな催しも開催中です。
ぜひこの機会にお立ち寄りいただけると嬉しいです。

原画展については【こちら】から
関連イベントについては【こちら】から

なつのゆきだるま

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『なつのゆきだるま』
作 G・ジオン 絵 M.B.グレアム 訳 ふしみみさを 出版社 岩波の子どもの本 発行日 2003年10月21日 ※原書『THE SUMMER SNOWMAN』1955年発行(アメリカ) 価格 ¥840+税

冬の最後の雪の日に、ヘンリーとお兄さんのピートは小さな小さな雪だるまを作りました。その晩二人は、部屋の窓から月明かりをあびた雪だるまを見ました。ヘンリーは、お月さまが雪だるまを溶かしてしまわないかと、不安で眠れません。けれどピートは“ばかいうなよ。”と、ヘンリーのことを相手にもせず、眠ってしまいました。そこでヘンリーは夜の庭に出ると、雪だるまをこっそり冷蔵庫に隠しました。(もちろん、あとでちゃんと冷凍庫に移しましたよ。)
朝起きて、ピートはびっくり!雪だるまの姿が見当たりません。夏になっても、ピートはまだ雪だるまのことを忘れられずにいました。
その夏、ヘンリーは冷凍庫で眠っている雪だるまで、ある良いことを思い付きました――。

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絵本『どろんこハリー』を手掛けるお二人による絵本です。
「なつのゆきだるま」なんて、まるで今流行りのあの映画に出てくるキャラクターみたいですね(伝わるかな?笑)。
雪だるまを作ったことがある子どもならだれでも、きっと一度くらい、この雪だるまが溶けずに残ってくれたら・・・と夢見たことがあるのではないでしょうか。私も子どものころは、雪だるまを作るたびに、家に持って帰りたいな、とか、明日になっても残っていますように、とか、そんなことを思っていました。

雪を見慣れていないからこそ、なのかな。
当たり前のようにしんしんと雪が降り積もる地域では、どうなんだろう。

子どもたちならわくわくするような、大人なら懐かしい気持ちを思い出すようなお話です。

まるまる

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『まるまる』
作 中辻悦子 出版社 福音館書店 発行日 1998年2月10日 ※月刊「こどものとも年少版」1993年10月1日発行 価格 ¥800+税

逆三角形の中に丸が二つで、「まるまる さんかく」。
四角形の中に丸が二つで、「まるまる しかく」。
水たまりみたいな形の中に、やっぱり丸が二つ、「まるまる ふにゃり」。

二つ並んだ丸の下に線を引いたら?
山のような線なら、「まるまる えっへん」。
ふにゃふにゃの線なら、「まるまる えーん」。
弧のような線なら、「まるまる にっこり」。

シンプルな穴抜きの仕掛けが楽しい絵本です。

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穴抜きなので、穴から次のページの色が見えるのですが、そのコントラストがとてもきれいです。
シンプルな仕掛けですが、指を突っ込んでみたり、顔に当ててお面のようにしてみたり、何に見えるかな?と、当てっこしてみたりと、シンプルだからこそ発想次第で自由な楽しみ方ができる絵本です。
この絵本を読んだら、紙とペンを用意して、「まるまる・・・」と実際に描いてみたり、この絵本にない表情を描いて遊んでもいいですね。

ちくわのわーさん

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『ちくわのわーさん』
作 岡田よしたか 出版社 ブロンズ新社 発行日 2011年10月25日 価格 ¥980+税

お昼寝をしたり、口笛をふいたり、踊りを踊ったり・・・寄り道をしながら進んで行く、ちくわのわーさん。食べられるもの、そうでないもの、いろいろなものと出会いながら、わーさんが向かう先とは・・・?

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岡田よしたかさんを知ったのは、この絵本と出会ったから。そんな方も多いのではないでしょうか。私もそのうちの、1人です。そして、そのときの衝撃と言ったら!
主人公は、顔のないちくわ。(と言っても、ちくわの穴が口のようにも見えるので、正確には「目や鼻のないちくわ」でしょうか。あるいは「擬人化されていないちくわ」とでも言いましょうか。)
それなのに、楽しそうにしていたり、眠たそうにしていたり、疲れていたり。そんな表情が、目に見えるように伝わってくるから不思議です。

流れるようにリズミカルな文章は、読んでいてわくわくします。それに、「あ こんなん してる ばあいでは ないんや」なんて急に我に返って先を急ぐ姿には、なんだか親近感を覚えます(笑)。

同シリーズには、『うどんのうーやん』と『こんぶのぶーさん』があります。ぜひこちらも合わせてお楽しみくださいませ。

※2014年8月18日現在、当店にて岡田よしたかさんの絵本原画展を開催中です。詳しくは【こちら】をご覧ください。

とこちゃんはどこ

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『とこちゃんはどこ』
作 松岡享子 絵 加古里子 出版社 福音館書店 発行日 1970年7月1日 ※月刊「こどものとも」1970年4月1日発行 価格 ¥800+税

赤い帽子がトレードマークのとこちゃんは、元気いっぱいの男の子。元気すぎて、ちょっと目を離した隙にすぐどこかへ駆け出してしまうのが、お母さんの困りどころです。

そんなとこちゃん、ある日は市場へ、またある日曜日は動物園へ、夏になると海水浴場へ、秋になるとお祭りへ・・・と、やっぱりいつでもとことこと駆け出してしまいます。
お話に沿って赤い帽子のとこちゃんを探していく、絵さがしの絵本です。

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場面が進むにつれ人の数も増えて、とこちゃんを探すのがどんどん難しくなっていきます。最後はデパートなのですが、これがまた人の多いのなんのって!とこちゃんを探すのも一苦労です。
このデパートが、“百貨店”というよりは本当に“デパート”らしいデパートで、わくわくします。上の階には食堂があるし、絵本の中で描かれてはいないけれど、屋上にはきっと小さな遊園地があるんだろうなぁなんて想像してしまいます。
とこちゃんを探す以外にも、「青い帽子の男の子、どーこだ」とか「白い水着に白い帽子、ゴーグル付けてへんな体操してるおじさん、どーこだ」とか、好きな問題を作って探しっこをしても楽しいです。

かの有名な絵さがしの絵本と違うのは、なんといっても最後ところ。
松岡享子さんのたった2行の言葉が、この絵本をあたたかく締めくくっています。

ペレのあたらしいふく

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『ペレのあたらしいふく』
作 エルサ・べスコフ 訳 おのでらゆりこ 出版社 福音館書店 発行日 1976年2月3日 ※原書『PELLES NYA KLÄDER』1912年発行(スウェーデン) 価格 ¥1,200+税

ペレは、1匹の子羊を飼っていました。その子羊が育つにつれ、ペレの上着は短くなるばかり。
そこである日、ペレは子羊の毛を刈ると、毛をすいてもらうためにおばあちゃんのところへ行きました。おばあちゃんが作業をしている間、ペレは代わりに、おばあちゃんの畑で草取りをしました。
次にペレが向かったのは、もう1人のおばあちゃんのところ。糸を紡いでもらう代わりに、ペレは牛の番を引き受けました。
それからペレは、ペンキ屋のおじさんのところへ行きました。糸を染める染粉がほしかったのです。けれど、ペンキ屋に染粉はないと言われて・・・。

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ペレは、小さくなった自分の服の代わりに新しい服を作ろうと、たくさんの人の手を借りて、少しずつ新しい服を仕上げていきます。その代わりに、ペレは体を使って働きます。
服だけに限らず、ひとつの“もの”が出来上がるまでにはいろいろな工程があって、そこにはたくさんの人が関わっています。スウェーデンで生まれたこの絵本が、日本で『ペレのあたらしいふく』として出版され、読者の手に届くまでにも、たくさんの人が関わっているように。

ものが出来上がるまでの過程が見えなくなっている今だからこそ、とても大切なことが描かれているような気がします。べスコフさんの描く絵は、花1本、シャツ1枚にしてもとても繊細で、あたたかみがあって、何度見ても惚れ惚れしてしまいます。
100年以上も前に作られた絵本ですが、子どもたちにも、そのまた子どもたちにも、そのまたまた子どもたちにも、ずっと読み続けられたらいいなと思う絵本です。

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開店してから、営業日は毎日欠かさず更新してきた「今日の1冊」も、この『ペレのあたらしいふく』で500冊になりました。

2012年の12月3日に店を始めてから、1年と8か月余り。このブログを読んでくださっている方が、「昨日ご紹介されていた本はありますか?」とご来店くださったり、「子どもの頃に読んだ記憶が蘇りました」とおっしゃってくださったりと、毎日続けているうちに嬉しい反響を少しずついただくようになって、それを励…

なーんだなんだ

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とことこえほん
『なーんだなんだ』
作 カズコ G・ストーン 出版社 童心社 発行日 2004年10月20日 価格 ¥800+税

ページをめくると、白くて雪のような地面に、黒い丸がひとつ。
「なーんだ なんだ くろいの なんだ?」

次にページをめくると、今度は白いところがこんもり盛り上がって、黒い丸がふたつになりました。
「なーんだ なんだ くろいの ふたつ」

さらにページをめくると、目が見えて、鼻が見えて・・・。
シンプルなフォルムと、白・黒・赤の認識しやすいコントラストで、赤ちゃんから楽しめる絵本です。

* * * * * * *
「なーんだ なんだ」の繰り返しが、リズミカルな絵本です。でもこのリズム、どこかで・・・と思ったら、「でーきた できた なにができた」という言葉が浮かんできました。でも、それってなんだっけ・・・と。違う違う、「おーちた おちた なにがおちた」だ。「りんご!」と言ったら、手で受け取るふりをしたり、「かみなり!」と言ったらおへそを隠したりする「おちたおちた」の遊び。あ~スッキリした・・・となれば良かったのですが、やっぱり「でーきた できた」が頭から消えません。
そこで調べてみると、私が小学校の2、3年生くらいのときにテレビで流れていた、某おもちゃメーカーのCMにたどり着きました。これだー!と。「なにができた」の続きも、You Tubeを見てスッキリ。
すごく懐かしかったです。同世代の方は、良ければ調べてみてください(笑)。

すっかり絵本からそれてしまいましたが、この「なーんだ なんだ」や「おーちた おちた」、「でーきた できた」のリズムは、絵本を読み終わったあとでも、ついつい使いたくなってしまいそうです。
カメラをひくように、ページが進むにつれズームアウトしていくと、パンダの腕の中に赤ちゃんが!そんなほほえましいラストも見どころです。

ヒワとゾウガメ

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『ヒワとゾウガメ』
作 安東みきえ 絵 ミロコマチコ 出版社 佼成出版社 発行日 2014年5月30日 価格 ¥1,300+税

ゾウガメの甲羅の上で、いつもおしゃべりをしているヒワがいました。「声」というものがないゾウガメは、おしゃべりすることはもちろん、鳴くこともできません。けれど、ヒワの声は聞こえていました。
ある日のこと、ヒワが嬉しそうに言いました。海の向こうに「ゾウ」という生きものがいるらしい、と。それはもしかしたらゾウガメの仲間かもしれないから、確かめてくる、と。

“あんたは だいじな ともだちだから”
そう言って、ヒワは旅立って行きました――。

* * * * * * *
この島に1頭しかいないゾウガメは、百年も生きられる自分の頑丈さを恨めしく思っていました。
かつて友だちだった小鳥たちは、みんないなくなってしまった。いつか自分を置いていなくなってしまうのなら、友だちになんてならない方がいい。そう思っていたのです。

けれど、ヒワはゾウガメのことを大事な友だちだと思っていました(「ヒワは」と言うと、実際のところ語弊があるかもしれませんね)。
ヒワは危険な思いをしてまでも、ゾウガメの仲間を見つけようと一生懸命でした。そんなヒワの思いに、とうとうゾウガメの心は動かされました。

“ねえ、これからも いっしょに いよう。いつか わかれが あるとしても。
きみが どんな ヒワだったか、ぼくが おぼえていてあげるから。”

ゾウガメがヒワに語りかけるこの場面が、私は大好きです。

佼成出版社さんのホームページによると、この作品は、安東みきえさんが所属している同人誌「あける」に掲載されていた短編童話を絵本にしたものだそう。

きっとこのお話を読んだ人の数だけ、それぞれに思い浮かぶ人の顔や、それぞれの感じ方があるように思います。
安東みきえさん、ミロコマチコさん、編集者さんをはじめ、このお話を絵本という形で送り出してくださった方々に、ありがとうございます!と、感謝の思いを伝えたくなるような絵本です。

はじめてであうずかん1 こんちゅう

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はじめてであうずかん1 『こんちゅう』
作 三芳悌吉 指導 矢島稔 出版社 福音館書店 発行日 1980年2月29日 価格 ¥900+税

ミツバチやモンシロチョウなどの「にわのむし」から始まり、「ちょう・がのなかま」、「ばった・かまきりのなかま」、「かぶとむしのなかま」といった仲間ごとの紹介、「あかりにあつまるむし」、「みずのなかにすむむし」といった環境ごとの紹介など、18の分類に分けて184種類の虫が紹介されています。

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話せる単語がみるみるうちに増えていく。そんな時期の子どもたちを見ていると、新しい単語に出会える喜びでいっぱいなのだと感じます。
絵本を見ていても、1つ1つの名前が気になって「これなあに?」「これなあに?」と、次々に指をさしたり(そしてお話が進まない、なんてことよくありますよね)、本当は知っている名前なのに「これなあに?」と聞いて、こっちが「なんだろうね」と言うと、待ってましたとでも言うように「○○!」と答えてくれたり(その満足げな様子がまた可愛くて!)。

そんな子どもたちの「これなあに?」に、できるだけ寄り添ってあげられたらいいなと思います。
実際に見て、触れて、感じることもあれば、本を見ながら感じられることもありますよね。
これは見たことあるなぁとか、これは見たことないなぁとか。
羽がきれいだなぁとか、ちょっと怖いなぁとか。触ったら痛いかなぁ、とか。

名前の通り、子どもたちが初めて出会うにはぴったりの、シンプルな図鑑です。

※関連書籍『けもの』、『とり』、『さかな』、『しょくぶつ』(全5巻)

りんごです

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『りんごです』
作 川端誠 出版社 文化出版局 発行日 1984年9月16日 価格 ¥600+税

誰かに少しかじられちゃったけれど、真っ赤な赤いまるいもの、これは“りんごです”。
小さな茶色い種が10粒。これも“りんごです”。
木の枝に咲いている、小さくてかわいい白い花。これもやっぱり“りんごです”。

いくらめくっても左ページには“りんごです”の言葉が続き、右ページには、種や芽、花など、さまざまな状態のりんごや、色々な形や色をしたりんごが登場します。
りんごに密着した、りんご好きにはたまらない(?)りんごの絵本です。

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川端誠さんの『バナナです』は、この「くだものシリーズ」(私が勝手にそう読んでいるだけです)の中で初めて手に取った絵本です。最初は、めくってもめくっても“バナナです”の一点張りがおかしくて。けれどよくよく考えると、むいてもらった白いバナナしか食べていないようなまだ幼い子どもたちにとって、皮に包まれた黄色のも「バナナ」で、木になっている青いのも「バナナ」で、3本も4本も連なって房になっているのもやっぱり「バナナ」だなんて、不思議だよなぁと。
更にこの『りんごです』は、その種や芽、花まで登場するからおもしろい。

緑の表紙に描かれたりんごも、潔くてすごく好きです。その堂々とした姿が、私にはまるでりんごが自慢げに胸を張っているようにも見えて、そんなことを考えるとますます愛着のわく1冊です。

ここよここよ

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『ここよここよ』
文 かんざわとしこ 絵 やぶうちまさゆき 出版社 福音館書店 発行日 2003年1月25日 ※月刊「こどものとも0.1.2.」1999年4月1日発行 価格 ¥700+税

“どこに いるの?
コアラの あかちゃん”
お母さんの背中に隠れて、ほんの少し顔を覗かせている赤ちゃんが見えます。

“ここよ ここよ
かあさんに おんぶよ”
ページをめくると、いたいた!コアラの赤ちゃんが、お母さんの背中から顔を見せてくれました。

次は、ニワトリの赤ちゃん、ラッコの赤ちゃん、ペンギンの赤ちゃん・・・と続きます。あたたかな親子の様子を、ぬくもりあふれる言葉と絵で描かれた絵本です。

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「どこにいるの?」の呼びかけに、次のページで「ここよここよ」と答える、繰り返しの絵本です。
薮内正幸さんによって、命が吹き込まれた動物たち。やわらかな毛並みの触り心地や、そのぬくもりが、こちらまで伝わってくるようです。

最初は、表紙のカンガルーのように前(読者の方)を向いている動物たちのお母さんですが、ページをめくって「ここよここよ」の場面になると、どの動物もわが子の方に顔を向けます。その表情はとても穏やかで、お母さんの愛情にあふれています。


私はこの変化がとても好きで、めくっては戻って、まためくって・・・を繰り返してしまいます。何度も手に取って読み返したくなる1冊です。

母の友 2014年9月号

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先日、お客さまにある本をおすすめしていただきました。『子どもはあなたに大切なことを伝えるために生まれてきた。』(青春出版社刊)という本です。
この本には「胎内記憶」研究の第一人者である産科医の池川明さんが、出産・子育てに悩みを抱えるお母さんに向けて綴られた、88のメッセージが収められています。
例えば、「ママがよく話しかけると、おなかの居心地がよくなります」や「あなたは子どもに選ばれて母親になったのです」など、分かっていてもついつい忘れてしまいがちなことや、そう信じて出産や子育てに向かいたいことが綴られています。

その中で、「お母さんを苦しめようとして生まれた子どはいません」というメッセージがありました。

今月号の「母の友」の“あのとき、母として”という特集で、2つの読者手記が取り上げられています。そのうちの1つには、現在2人の子どものお母さんである星さんが、10年前、初めての子どもを死産した体験と、今の思いが綴られていました。

私は、先日お客さまにご紹介いただいた池川明さんの著書と、今月号の母の友に収められているこの手記の内容に、度々通じるものを感じ、思わず目頭が熱くなってしまいました。

私はまだ出産を経験したことがありませんが、妊娠からはじまる子どもとのかけがえのない時間と、その時間に関わるお母さんの心の内を思って、あらためて世のお母さんたちの偉大さを感じました。
お母さんってすごい!私はいつもそうやって、ただただ尊敬するばかりです。

『母の友』
出版社 福音館書店 発行日 2014年9月1日 価格 ¥505+税


いわしくん

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『いわしくん』
作 菅原たくや 出版社 文化出版局 発行日 1993年11月15日 価格 ¥1,262+税

日本の海で生まれ、仲間とともに泳いでいたいわしくん。
ある日、漁網に捕まったいわしくんは、船に乗せられ港に運ばれました。パックにつめられ、店で売られ、買われた先は男の子のいる家でした。焼かれ、食べられ、いわしくんの肉は男の子の体の一部になりました。

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いわゆる、食べる食べられるの関係が、無駄のないシンプルな絵と言葉で描かれています。お話は“ぼくは およいだ”、“ぼくは つかまった”という風に、終始いわしくん目線で描かれています。
いわしくんが食べられた次の日でしょうか。男の子は学校に行きました。そして、いわしくんの目線で続く言葉で、最後はこう締めくくられています。

“そして ぼくは 学校へ 行った。

その日は プールだった。

ぼくは およいだ。

ぼくは およいだ。”

薄っぺらい言葉になってしまいますが、すごい絵本です。最後の3ページがこの絵本のすべてだと言っても、きっと過言ではないと思います。

お客さんにご注文いただいて初めて知った絵本で、新刊ではないのですが、おそらくここ最近で1番衝撃を受けた絵本です。
なんの前触れもなくこんな世界との出会いがあるから、これだから絵本はおもしろいと、なんだか嬉しくなってしまいます。

ぜひ絵と合わせてご覧になってみてください。

岡田よしたかさん絵本原画展 関連イベント

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岡田よしたかさん絵本原画展(8/18~8/30) 関連イベント
岡田よしたかさんといえば、 思い浮かぶのは、やっぱり食べもの絵本です。
そこで、食べもの絵本に関連して、 期間中は子どもたちに好きな食べものの絵を描いていただく、 小さな催しを同時開催いたします。(無料)

対象は、原画展の期間中に来てくれた子どもたち。 (大人の方でも良ければどうぞ!)
随時受け付けておりますので、 お気軽にお声かけください。
描いていただいた絵は、 原画展の期間中、店内に展示させていただきます。
絵はその場でお描きいただきますので、 ご用意いただくものはございません。
画材は色鉛筆やクレヨンなどなので、 大きく汚れることはないかと思いますが、 もし気になさる方は汚れても良い服装でお越しくださいませ。
子どもたちからどんな食べものが浮かぶのか、 どんな絵を描いてもらえるのか、今から楽しみです。
ご希望の方には、 絵1枚につき100円にて、絵をしおりにしてお返しいたします。 (ラミネート代込)

しおりのお渡しは原画展終了後の9/1(月)以降、9月末日までとなります。 ※遠方からお越しの方は、プラス100円にて郵送も可能です。
リボンはお好きな色をお選びください。 (ブルー、ピンク、オレンジ、白)


ちなみに写真のくだものは、小学生の女の子が描いてくれました。 かき氷は私です。今1番食べたいものを描きました(笑)。
みなさまのご来店、楽しみにお待ちしております!
岡田よしたかさん絵本原画展については【こちら】からどうぞ。


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2014年8月21日(木)現在の様子です。
素敵な絵が集まってきましたよ。


絵はまだまだ募集中!
ぜひご参加くださいませ。

アイランド

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『アイランド』
作 ロナルド・トルマン、マライヤ・トルマン 出版社 西村書店 発行日 2012年11月10日 価格 ¥1,600+税

鳥が羽ばたく青い空に、澄んだ青い海が広がっています。まっすぐにのびた水平線が、とても綺麗です。
シロクマは旅に出ました。途中、海の中で暮らすたくさんの生きものや、不思議な島で暮らす鳥たちにも出会いました。それでもシロクマは、先へ、先へと進んでいきます――。

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ツリーハウス』に続く第2弾ですが、前作に出てきた茶色い毛並みのクマは出てきません。1匹のシロクマが旅をするお話で、本作もまたトルマン父娘による文字のない絵本です。

はじまりから中盤を過ぎるあたりまでは、まるでミュージカルでも見ているようで(それはもう、どこからともなく音楽が聴こえてきそうな感じがして!)、次はどんな景色が広がるのだろうと胸が弾みます。
そして終わりにかけては、しっとりとした世界が広がります。最後の見開きは特に感じるものがあって、シロクマの心の内を考えてしまいます。

本書のそでのところには“とびっきりの素敵な島をみつけるために、海に浮かぶ島々をめぐる旅に出る。”と書いてありますが、個人的には、もっと自由な読み方をして楽しんでいただきたいなと思う1冊です。

読んだ人の数だけ、ストーリーができあがる。文字のない絵本の魅力は、そんなところにもあるように思うからです。

親子の時間 庄野潤三小説撰集

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庄野潤三小説撰集 『親子の時間』
著 庄野潤三 編 岡崎武志 装幀 和田誠 出版社 夏葉社 発行日 2014年7月25日 価格 ¥2,400+税



駅から続く坂道を登り、麦畑のそばを通ると、丘の上に1軒の家があります。そこには5人の家族が暮らしていて、親子の間には穏やかであたたかな時間が流れていました――。

庄野潤三さんがこれまでに手掛けられた単行本の中から、庄野さんのことを“かけがえのない大切な作家”だと語る岡崎武志さんが、「親子」をテーマにした9つの短篇を選び、まとめられました。

当たり前のように過ぎていくこの時間が、今この一瞬一瞬がどれだけ大切なものかということを、やさしく気付かせてくれるような1冊です。

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先日、お客さまから夏葉社さんの本をご注文いただき、切らしていた本と合わせて夏葉社さんに発注のメールを送らせていただくと、お返事といっしょにこの新刊についてお教えいただきました。
その後改めていただいた新刊案内で、「庄野潤三を読んだことのない読者に、ぜひ手にとっていただきたく思っています。」と書かれていました。恥ずかしながら“庄野潤三を読んだことのない読者”だった私は、発売を楽しみに待つことにしました。(夏葉社の島田さんから「お好きだと思います」とおっしゃっていただけたのが、単純に嬉しかったからかもしれません。)

大切に読みたかったので、届いてから昨日の夜まで、ちょうど1週間かけて、少しずつ読みました。眠れない夜に読めば穏やかな気持ちで眠りにつけ、朝のほんのわずかな時間、ベッドから起きる前にぱらぱらとページをめくれば、その日は朗らかな朝になりました。

これは庄野さん一家をモデルにした小説とのことですが、庄野さんが描かれる子どもたちの描写が、私は特に好きになりました。ともすると見過ごしてしまいそうな日常のささやかなことが、ひとつひとつ丁寧に描かれています。そして、そのひとつひとつの些細なできごとを、庄野さんが愛おしく感じていらっしゃることがこちらまで伝わってきます。

読み終えたあと、あたたかなものにすっぽり包まれたような気分になりました。島田さんが私に「お好きだと思います」とおっしゃってくださったのと同じように、私も当店のお客さまを思い浮かべると、きっと好きになっていただけるような気がしています。


そうそう、どうでも良い話ですが、「…

「和紋絵手紙」と「ぽち袋」

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星燈社さんの和紋絵手紙、ぽち袋が入荷しています。
封筒3枚に便箋が10枚も入っているので、たっぷり書けます。
ぽち袋は5枚入り。ぽち袋というとお年玉のイメージがあるかもしれませんが、ちょっとしたお菓子を入れて渡したり、簡単なお手紙の封筒代わりにしたりと、お好きな形でお使いいただけたらいいなと思います。
柄は、左から「ゆきだま」、「押し花」、「こでまり」です。
和紋絵手紙(レターセット) ¥400+税 ぽち袋 ¥350+税

木のおもちゃ(木遊舎)

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木遊舎さんの木のおもちゃが再入荷しました。

このブログを書いている間にも、タマが旅立っていきました。(というと、なんだか猫みたいですね。) タマはちょうど良い握り心地で、振るとカタカタ優しい音が響きます。白木なので、赤ちゃんがなめても安心です。ぜひお手に取って、実際に鳴らしてみてくださいね。
※画像をクリックすると、オンラインショップにて詳細がご覧いただけます。
タマ ¥700+税 くるま ¥600+税 コロン ¥1,200+税

うさこちゃんとうみ

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『うさこちゃんとうみ』
作 ディック・ブルーナ 訳 いしいももこ 出版社 福音館書店 発行日 1964年6月1日(2010年4月1日に改版されています。) ※原書『nijntje aan zee』1963年発行(オランダ) 価格 ¥700+税

お父さんがひく車(手押し車のようなもの)に乗って、うさこちゃんは海へ向かいました。
海岸に着いたら、大きな砂山を作りました。それから、さまざまな色や形をした貝を、波打ち際で拾いました。
お父さんと海に入ると、ふたりはずぶぬれになって遊びました。

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お父さんが、海に行きたい人だあれ?と聞くと、「あたし あたしが いくわ!」とはしゃいだり、海からあがったあともう帰らなくちゃというお父さんに、「まだ くたびれない。もっと もっと いましょうよ!」とだだをこねたり・・・。シリーズの中でも、特にうさこちゃんの子どもらしい様子が垣間見える1冊ではないでしょうか。お父さんと2人きりで甘えているのかな?結局くたびれて、お家へ帰る途中に眠くなってしまうところなんて、本当にかわいいなぁと思います。

ところで、石井桃子さんの訳の中で“ぱしゃ ぱしゃ みずを はねかして”という文章があるのですが、あまり聞かないなと思って調べると「撥ねかす」という言葉があるんですね。「水や泥などを飛ばし散らす」という意味だそう。シンプルで良い日本語だなぁと、ひとつまた勉強になりました。