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木内かつの絵本あそび

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『木内かつの絵本あそび ―園で・家庭で』 作 木内かつ 写真 西山悦子 出版社 福音館書店 発行日 2014年9月15日 価格 ¥1,100+税 “【絵本あそび】(名詞) 子どもが絵本を読んでもらって楽しかった気持ちを、体を使ったり、物を作ったり、絵を描いたりする遊びを通じて表現すること。集団でも家庭でもできる。” (本文より) 本書は、『 やさいのおなか 』や『工作図鑑』(いずれも福音館書店刊)の著者である木内勝さんが、子どもたちと繰り返し一緒に遊んできた「絵本あそび」のやり方を紹介した1冊です。 * * * * * * * 私が幼稚園のころに通っていた絵画教室では、先生がよく絵本を読んでくれました。絵本を読んだあとは、そのイメージをふくらませて思い思いの絵を描く、ということもよくあって。 今だと、みんなが同じ絵になる、とか、もっと個性を大切にして自由に好きな絵を描かせたらいい、と言う人もいるのかな。 でも、私はその時間が大好きだったし、今でも手元に残っている絵を見返すと、「この絵本をこんな風に感じてたのか~」なんて思うこともあって、嬉しくなります。(やっぱり、今の感じ方とは随分違うんですよね。) 本書では、『 ころころころ 』や『はじめてのおつかい』、『 たまごのあかちゃん 』など、お馴染みの絵本からふくらんだ遊びが紹介されていて、どれも本当に楽しそう。 幼稚園や保育園ではもちろん、工夫次第で、家庭でも気軽にできそうなものばかりです。 この本に書かれている絵本に留まらず、今子どもがお気に入りの絵本や、赤ちゃんのときに読んだ懐かしい絵本から、何かふくらむ遊びはないかな?と考えてみてもいいかもしれませんね。

くだものなんだ

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『くだものなんだ』 作 きうちかつ 出版社 福音館書店 発行日 2007年4月25日 価格 ¥1,000+税 くだものの断面図が、白黒で(そしてアップで!)描かれています。 「これ なんだろう?」そう言ってページをめくると、そのくだものの全体図と断面図が、カラーで描かれています。 次々と現れるくだものの断面図は、「あっ!」とすぐにひらめくものもあれば、大人でも「うーん」と頭を抱えてしまうものまで、さまざま。 次はどんな絵が出てくるんだろう。なんて答えよう。 ページをめくるたび、わくわくする絵本です。 * * * * * * * まるで、レントゲン! 同じ木内かつさんの、『 やさいのおなか 』や『やさいのせなか』もいいけれど、この『くだものなんだ』もすごく好きです。 木内かつさんのサイトで、この本についてこう書かれてありました。 “「くだものなんだ」というタイトルには2つの意味があります。質問するように「くだもの なーんだ?」と読むこともできますし、「くだもの だったんだ!」という認識することもできます。どうとらえるかは読者におまかせします。”(引用元 : 木内かつオフィシャルサイト ) なるほど!それはおもしろい。 実は私自身、この表紙の断面図がシマウマの背中に見えてしょうがない。(えーっと思ったら、“シマウマ 背中”で調べてみてくださいね。) あなたは何に見えますか? 子どもたちは何に見えるかな。 「くだもの なーんだ?」だけでなく、いろいろな答えを考えて、「くだもの だったんだ!(くだもの なんだ!)」でもよいわけです。 ついつい大人は「ちがうよ、これはね・・・」と答えてしまいがちですが、そんな子どもの答えを「おっ いいね!」と、まっすぐ受け止めてあげたいものです。

もりいちばんのおともだち

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おおきなクマさんとちいさなヤマネくん 『もりいちばんのおともだち』 作 ふくざわゆみこ 出版社 福音館書店 発行日 2002年10月15日 価格 ¥1,200+税 小さいものが好きな大きなクマさんと、大きいものが好きな小さなヤマネくん。 そんな2人は、森1番の仲良しでした。 ある日2人がケーキ屋さんでケーキを食べると、ブルドックの店長さんが、プレゼントに花の苗をくれると言いました。 そこで、クマさんは1番小さな苗を、ヤマネくんは1番大きな苗を選びました。 小さかったクマさんの苗はどんどん大きくなって、大きなかぼちゃをたくさんつけました。ところが、ヤマネくんの苗はなかなか大きくならなくて、最後にはすっかり枯れてしまいました。 がっかりしたヤマネくんでしたが・・・。 * * * * * * * 「おおきなクマさんとちいさなヤマネくん」シリーズは計4冊。 今日ご紹介した『もりいちばんのおともだち』が1作目で、 『ふゆじたくのおみせ』、 『めざめのもりのいちだいじ』、 『あめのもりのおくりもの』と続き、 それぞれ季節ごとの自然が描かれていて、すべて読むと、森の1年を感じることができます。 ふくざわゆみこさんの絵は、草花や昆虫などの細かいところまで本当に丁寧に描かれているので、絵本を手に取った子どもたちは、みんな嬉しそうにページをめくっています。 そんな子どもたちのキラキラした目を見るのが、私は大好きです。 クマさんとヤマネくんがケーキを食べるシーンでは、ケーキにのっているものひとつひとつに、「はちみつでつくったミツバチ」とか「ホワイトチョコレートのはな」なんて書いてあって、そんなところにもうきうきしてしまいます。 横23センチ×縦31センチと大きめの絵本なので、その絵をじっくり味わるのも嬉しいところです。 クマくんとヤマネくん。体の大きさこそ違えど、心の通った大切な友だち。そんな2人のやりとりが、心あたたまるお話です。

来月のテーマはなんですか?

今日、お客さんに 「来月のテーマはなんですか?」 と、お伺いされました。 一瞬、雑誌の特集か何かのことをおっしゃっているのかと思ったら、 棚を指さして、「ここの」と。 毎月テーマを決めて絵本を並べている棚があるのですが、 そのことを尋ねてくださっていたのでした。 今までそんなこと尋ねてくださった方はいなかったので、 楽しみにしてくださっているのかな・・・と思って、 すごく嬉しかったです。 来月は、そのままですが、「秋」にしようかなと思っています。 お楽しみに。

たまごのあかちゃん

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『たまごのあかちゃん』 文 かんざわとしこ 絵 やぎゅうげんいちろう 出版社 福音館書店 発行日 1993年2月10日 ※月刊「こどものとも年少版」1987年4月1日発行 価格 ¥800+税 “たまごのなかで かくれんぼしてる あかちゃんは だあれ? でておいでよ” 左のページにはそんな文章が、右のページには卵の絵が描かれています。 ページをめくってみると・・・ “ぴっぴっぴっ こんにちは にわとりのあかちゃん こんにちは” 鳴き声とともに、卵からひよこが産まれました。 ページをめくると現れる、色々な形や大きさをした卵と、 そこから産まれるたくさんの赤ちゃんたち。 リズミカルな掛け声の繰り返しに、わくわくする1冊です。 * * * * * * * 「たまごのなかでかくれんぼしてるあかちゃんはだあれ?」そう言われると、赤ちゃんのうちは、じっとそのまるい卵を見つめています。そして、生まれてくる動物たちを見て、嬉しそうに笑ったり、驚いた顔をしたり。 けれど、もう少し大きくなって、動物の名前が言えるようになると、「たまごのなかでかくれんぼしてるあかちゃんはだあれ?」と言うと、「にわとりのあかちゃん!」「かめのあかちゃん!」なんて、自信たっぷりに答えてくれます。 子どもたちのそんな満足げな顔を見ると、なんとも微笑ましいなぁと思います。 「ぴっぴっぴっ」や「よちよちよち」など、ついつい真似したくなるオノマトペも、すごく楽しい。 自由なリズムで、自由な読み方で、たっぷり楽しんでいただけたら嬉しいです。

おばけパーティ

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『おばけパーティ』 作 ジャック・デュケノワ 訳 大澤晶 出版社 ほるぷ出版 発行日 1995年6月1日 価格 ¥1,400+税 ある晩のこと。 おばけのアンリは、友だちみんなを招いておもてなし。 ところが、どうしたことでしょう! アンリが出したカクテルを飲んだら、みんなそれぞれカクテルと同じ色になってしまうし、スープを飲んだらスープの色に、チーズを食べたらチーズの色(チーズのでこぼこまでその通り!)になってしまうおばけたち。 さらに、最後のごちそうを食べたみんなは、なんと透明になってしまいました。 どうやって元の姿に戻るのかな? もしかすると、元の姿が透明なのかな・・・? おばけたちの会話は、どこかおちゃめで愛らしい。 おばけと言っても、ちっともこわくない、かわいいおばけたちのお話です。 * * * * * * * ジャック・デュケノワさんの手掛ける、「なかよしおばけ」シリーズ。 私がざっと調べただけでも、以下の21作品! (抜けているものがあったらごめんなさい) 『おばけパーティー』 『おばけネス湖へいく』 『おばけの地下室たんけん』 『おばけびょうきになる』 『おばけまほうにかかる』 『おばけのゆかいなふなたび』 『おばけのゆきだるま』 『おばけがっこうへいく』 『なかよしおばけとちびちびおばけ』 『なかよしおばけといたずらネッシー』 『なかよしおばけのびっくりおふろ』 『なかよしおばけのゆかいなけっこんしき』 『おばけだぞぉー!』 『おばけのたんじょうパーティー』 『おばけのまほうのレッスン』 『おばけのドラゴンたいじ』 『おばけのおもちゃばこ』 『おばけのたからさがし』 『おばけとにじいろのようせい』 『おばけときょうりゅうのたまご』 『おばけのうちゅうりょこう』 (すべてほるぷ出版刊) 恥ずかしながら、私は最初の8作(『おばけパーティー』と同じ、横長で、左端に色が付いているシリーズ)しか知りませんでしたが、改めて調べてみると、こんなにもたくさんあってびっくり。 ちょっと不思議な世界だけれど、おばけたちはちっとも怖くない。 だから

どんぐりの絵本

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ぼくのドングリ図鑑  click! どんぐりノート  click! どんぐり  click! どんぐりかいぎ  click! どんぐりぼうやのぼうけん  click! どんぐりしいちゃん  click! ぐるぐるちゃん  click!

どんぐり こうやすすむ

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『どんぐり』 作 こうやすすむ 出版社 福音館書店 発行日 1988年5月31日 ※月刊「かがくのとも」1983年10月1日発行 価格 ¥900+税 秋になって、どんぐりがたくさん落ちると、動物たちが拾いにやってきます。 拾って食べるだけの動物もいれば、食べるだけでなく、木の穴や土の中に蓄える動物もいます。 動物たちに食べられなかったどんぐりは、どうなるのでしょう。 動物たちに埋められたけれど、余って食べ残されたどんぐりは、どうなるのでしょう。 舞台になっているのは、北海道。ミズナラの木です。 木から落ちたどんぐりのうち、春になって芽を出せるのは、運の良かったどんぐりたち。その芽が成長し、木に育ち、またどんぐりをつける――。 そんな、どんぐりを取り巻く生態系を描いた1冊です。 * * * * * * * どんぐりが芽を出して、成長する。 それがどれだけ幸運なことなのか、奇跡みたいなことなのか、この本を読むと感じます。 ミズナラやアラカシなどの木は、1本の木から、何千~何万個という数のどんぐりをつけるといいます。そうだとしたら、芽を出して大人の木になるのは、どのくらいの確率なんだろう。 例えば10%だとしても、すごい数の木が増えることになるから、きっともっともっと少ないんだろうなあ。インターネットでは調べ切れなかったので、今度図書館で調べてみようと思います。もしどなたかお詳しい方がいらっしゃったら、ぜひ教えていただきたい・・・! ちなみに、作者のこうやすすむさんは、片山健さんの絵で『どんぐりかいぎ』(福音館書店刊)という絵本も手掛けられています。どんぐりの「なりどし」(実がたくさんなる年)と「ふなりどし」(少ししか実がならない年)について、おはなし仕立てで描かれていて、とても分かりやすいです。 詳しくは 【 こちら 】 からどうぞ。

うさこちゃんとどうぶつえん

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『うさこちゃんとどうぶつえん』 作 ディック・ブルーナ 訳 いしいももこ 出版社 福音館書店 発行日 1964年6月1日(2010年4月1日に改版されています。) 価格 ¥700+税 ※原書『nijntje in de dierentuin』1963 年発行(オランダ) うさこちゃんは、お父さんと二人で動物園に行くことになりました。 汽車に乗って動物園に着くと、たくさんの動物たちがうさこちゃんを迎えてくれました。 最後はカメの背中に乗せてもらって、楽しい1日が終わります。 すっかりくたびれたうさこちゃんは、帰りの汽車で眠ってしまったんですって。 * * * * * * * “そこで ふたりは きしゃにのり    おおきな ほんとの きしゃにのり    ” 動物園に行く前のこのフレーズが、私はとても好きです。 言葉のリズムもすごく良いし、「大きな本当の汽車」というのが、なんだかすごく特別なもののような気がして、これから向かう動物園への期待がふくらみます。 動物園でうさこちゃんが見たのは、オウムやシマウマ、カンガルーの親子に、ゾウにサルにキリン・・・。ブルーナさんの描く動物たちは、無駄がなくて、本当に愛らしいです。 毎度のことながら、いしいももこさんの翻訳は、豊かでリズミカルできれいだなあ、と思います。何度も声に出して、繰り返し楽しみたい絵本です。

落ち葉

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『落ち葉』 文・絵 平山和子 構成・写真 平山英三 出版社 福音館書店 発行日 2005年9月25日 ※月刊「たくさんのふしぎ」2001年11月1日発行 価格 ¥1,300+税 長野県北部の黒姫山の近くで、平山さんご夫妻は暮らしています。 冬の初めのある日、平山和子さんが林を散歩していると、わずかに緑色が残っている、一枚の美しい落ち葉に目が留まったといいます。 「どうかして、美しいすがたを残しておけないものだろうか」 そう考え、その落ち葉を大切に持ち帰ると、絵に描くことにしました。 平山和子さんは、そのときから落ち葉に強く心をひかれるようになり、さまざまな落ち葉を描いているのだそうです。 モミジ、イタヤカエデ、オオバヤナギ、サクラ、カツラ・・・。本書に描かれているのは、ご自身が実際に拾い、描かれた落ち葉たち。 ひとことで言えば、「落ち葉の画集」といったところでしょうか。 福音館書店さんのホームページには、 “数百点の絵の中から厳選した紙上「落葉美術館」です。”と書かれています。 というのも、この本で構成と写真を担当された平山英三さんは、奥さんの和子さんが描かれた落ち葉の絵を、秋の落ち葉の季節に1年に1日だけ自宅を開放して展示する「落葉美術館」を主宰されていたそう。(1989~2004年) その、紙上版というところなのですね。 * * * * * * * 冬が近づくと、当店の前の道も、イチョウの落ち葉でいっぱいになります。そのきれいなことといったら! けれど放っておくと、雨なんかでべっとりしてしまうから、仕方なく毎朝せっせと箒で掃きます。もったいないな、なんて思いながら。 だからと言って、平山和子さんのように美しい絵で残すことはできないけれど、たっぷりと目に焼き付けたいなと思います。 今年も、もうすぐそんな季節がやってきます。

どんぐりぼうやのぼうけん

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『どんぐりぼうやのぼうけん』 作 エルサ・べスコフ 訳 石井登志子 出版社 童話館出版 発行日  1997 年 10 月 13 日 価格 ¥ 1,400 +税 ※原書『 OCKE,NUTTA OCH PILLERILL 』 1939 年発行(スウェーデン) どんぐりぼうやのオッケとピレリルは、 高いカシワの木のてっぺんで、お父さんとお母さんと一緒に暮らしていました。 ところが秋の日のこと、2人は嵐にさらわれて、 小人たちが洗濯をしていた“小人のひげ”の上に落ちてしまいました。 怒った小人たち。 そこで2人は、洗濯物を汚してしまった代わりに、 洗濯物を運ぶおつかいをすることになりました。 けれど、何も知らないオッケとピレリルのお母さん。 息子たちはいったいどこへ行ったのかと、大きな声で2人の名前を呼びました。 そこへたまたま遊びに来た“はしばみ”の親子も、それを聞いて心配になってきました。 そこで、りすのスバンス氏は、 はしばみの子と一緒に、2人を探しに行くことにしました。 * * * * * * * 作者は、『ペレのあたらしいふく』や『もりのこびとたち』(どちらも福音館書店刊)のエルサ・べスコフさん。 その絵はとても精密で、淡い色使いは本当に美しい。彼女の描く豊かな自然からは、草のにおいや土の感触が感じ取れるような気がします。 お話も、ちょっぴりスリルがあって、けれど最後はほっとして、その流れはとても心地が良い。 満足感に包まれながらページを閉じる瞬間は、やっぱり幸せです。 そうそうそれに、個人的には、登場人物たちの服装がとても好み! どんぐりさんとぼうやは、ベレー帽みたいにどんぐりの帽子を被っているし、はしばみさんと子どもたちも、やっぱり帽子を被っています。 ちなみに「はしばみ」というのは、ヘーゼルナッツができる木のことですが、そのはしばみさん親子が被っているのは、実の付くガク(?)のところ。チューリップハットみたいで、とってもかわいいです。 あとあと・・・ 言い始めたらきりがないので、今日はひとまずこの辺で。

きょうのおやつは かがみのえほん

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かがみのえほん 『きょうのおやつは』 作 わたなべちなつ 出版社 福音館書店 発行日 2014年10月10日 価格 ¥1,500+税

ふしぎなにじ かがみのえほん

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かがみのえほん 『ふしぎなにじ』 作 わたなべちなつ 出版社 福音館書店 発行日 2014年10月10日 価格 ¥1,500+税 表紙をめくると、 鏡がひとつと、虹がひとつ。 ページをめくると・・・ あれ!鏡の向こうに虹が通った! 鏡のように反射しているのは、ぴかぴかの紙。 虹の絵は、左のページにしか描かれていないのに、右のページにあるぴかぴかの紙にその絵が映ると、虹がずっと向こうまで伸びているように見えるのです。 (この説明で、伝わるかな・・・) とにかく、本を開いたときの、驚きと感動といったら! 私も思わず1人で「わ~!」と、声をあげてしまったほどです(笑)。 ぜひみなさまにも、実際に絵本を手に取って、体感していただきたい絵本です。 * * * * * * * 9月の半ばごろ、私がとってもお世話になっている、絵本とおもちゃの師匠とも言える方(と、私が勝手に思っている方)から、10月にいい本が出るよと、ご連絡をいただきました。 それは見逃せない!と、楽しみにしていたのが、まさにこの「かがみのえほん」シリーズ、『ふしぎなにじ』と『きょうのおやつは』です。(『きょうのおやつは』は、明日ご紹介いたしますね!) ボードブックで、丈夫なのも嬉しいところ。 繰り返しこの不思議を味わいたくなるような、何度見ても心が躍るような、そんな絵本です。 作者の渡邉千夏さんの、デビュー作と言って良いのでしょうか。 これから、どんな絵本を手掛けられるのかな。とても楽しみな作家さんです。 ※福音館書店さんのホームページでは、本の中身が紹介されています。 【 こちら 】 からどうぞ。(動画あり)

だれかさんのかばん

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『だれかさんのかばん』 作 森山京 絵 高橋和枝 出版社 ポプラ社 発行月 2012年10月 価格 ¥900+税 タイトルにもなっている「だれかさんのかばん」をはじめ、「いいにおい」、「青まめひとつぶ」、「空いろ水いろ」、「足音」の、5つの小さなおはなしが収録された短編集です。 登場するのは、キツネの子やブタの子、ネズミの子に、リスの子・・・といったかわいい動物の子どもたち。それから、ちょっとおちゃめなお母さんや、子どもたちを見守るシカのおじいさん・・・。 どれも、こころがポッとあたたまるおはなしです。 ※漢字表記がありますが、すべての漢字にルビがふってあります。 * * * * * * * 作者は、『きいろいばけつ』や『つりばしゆらゆら』の、森山京さん。ああ、だから、と思うあたたかさ。 そして絵は、『 りすでんわ 』や『 あめのひのくまちゃん 』の、高橋和枝さん。やわらかなタッチで描かれる動物の子どもたちは、このおはなしの雰囲気にぴったりです。 なんて素敵なコンビなんだろう!と思ったら、なんと2004年に(つまりこの本より前に)同じコンビで『くまちゃん、どこいくの』(ポプラ社刊)という絵本が出ていました。(たった今、気が付きました。) 見逃してたなぁ・・・。これは、すぐにでも読みたいです。 ちなみにこの『だれかさんのかばん』は、当店のお客さまが「すごく好きな本があって・・・」と教えてくださったもの。お恥ずかしいことにまだまだ勉強不足な私ですが、こうして素敵な作品に出会えることは、本当にしあわせです。 みなさんのとっておき、子どもたちのとっておきの1冊はなんですか?

おだんごぱん

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『おだんごぱん』 作 ロシア民話 訳 瀬田貞二 絵 脇田和 出版社 福音館書店 発行日 1966年5月1日 価格 ¥1,200+税 ※2008年6月20日、新規製版されています。 おじいさんが、おばあさん焼いてもらった、ほかほかのおだんごぱん。 窓のところで冷やされていたのに、ついつい転がり出したおだんごぱんは、ころころ、ころころ転がって、表へと出ていきました。 転がっていくうちに出くわしたのは、うさぎやおおかみ、それにくま。おだんごぱんは、その度食べられそうになりますが、歌を歌いながら、うまく切り抜けていきました。 ところがその後に出会ったのは、知恵のはたらくきつねでした――。 * * * * * * * 言わずと知れた名作ですが、 瀬田貞二さんの文章は、やっぱり美しいなぁと思うし、脇田和さんの絵は、味わい深くて、ユーモアがあって、すごくいいなぁと思います。 ちなみに、個人的に、この絵本の好きなところベスト3をあげるとするならば、 1.おだんごぱんの表情(頬がほんのり赤く染まっているのも、とってもかわいい。) 2.おだんごぱんの歌(ぼくは、てんかの おだんごぱん・・・♪) 3.タイトルの文字(太字のこういう字は、書こうと思ってもなかなか難しい。) もちろん、他にも魅力はたくさんあるのですが、こういうところがとても好きです。 特に、おだんごぱんの表情は、何度見ても楽しい。 窓のところで冷やされているところの表情なんて、焼いてもらって嬉しいのか、1人にされてすねているのか(だって、なんだかふてぶてしいのです)、とにかくなんとも言えない顔をしていて、思わずぷぷぷ・・・と笑ってしまいそうになります。そうかと思えば、おおかみの前で歌を歌う場面なんて、本当に楽しそうな顔をしていて、とっても愛らしい。 子どもたちからは、表情うんぬんより、やっぱり「この歌が好き!」という声をよく耳にします。 読み手の数だけ、いろいろなリズムの歌があるというのも、素敵なところですよね。

もりのかくれんぼう

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『もりのかくれんぼう』 作 末吉暁子 絵 林明子 出版社 福音館書店 発行月 1978年11月 価格 ¥1,000+税 けいこは、お兄ちゃんを追いかけて、見たこともない大きな森にたどり着きました。しいんとした森の道を歩いていくと、そこでけいこは、誰かの声を耳にしました。 けれど、いくらきょろきょろしても、誰の姿も見えません。 ところが、見方を変えるとびっくり!そこに隠れていたのは、枝や木の葉と同じ色をした男の子、「もりのかくれんぼう」でした。 そこでけいこは、かくれんぼうと森の動物たちといっしょに、みんなでかくれんぼをすることになりました。 * * * * * * * 小学生のころ、私もけいこちゃんと同じようにかくれんぼが大好きで、ところ構わずよくかくれんぼをして遊んでいました。 特に、家でかくれんぼをするときは、たいてい隠れる場所が決まっていて、1番のお気に入りはクローゼットの中でした。 でも、なかなか見つけてもらえないと、もしかして私のことをうっかり忘れちゃったんじゃないかとか、もしかしてみんなはもう別の遊びをしているんじゃないかとか、だんだん不安になって、結局自分から見つかりに出て行っちゃう、なんてこともよくありました。 それでも、かくれんぼは楽しくて。隠れている間のハラハラドキドキする気持ちや、逆に自分が鬼になって、隠れている友だちを見つけたときの嬉しさは、やっぱり特別なものがあるような気がします。 けいこちゃんのかくれんぼは、まるで夢のようなかくれんぼです。 かくし絵のように描かれた、かくれんぼうや動物たちは、じーっと目を凝らさないとなかなか見つけられないかもしれません。 でも、その中からみんなを見つけられたときの嬉しさといったら! (表紙に隠れている誰かさんには、もう気がつかれましたか?) 小金色をした森の中も、とってもきれいで、うっとりします。 そうそう、このけいこちゃん、実は林明子さんの絵の、別の絵本にも登場しています。ほんの一場面ですが、良ければ探してみてくださいね。

みにくいおひめさま

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『みにくいおひめさま』 作 フィリス・マッギンリー 訳 間崎ルリ子 絵 中川宗弥 出版社 瑞雲舎 発行日  2009 年 3 月 3 日 ※ 1968 年発行『みにくいおひめさま』(学習研究社刊)の訳文を見直し修正、復刊したものです。  価格 ¥1,500+税 ※原書『 THE PLAIN PRINCESS 』 1945 年発行(アメリカ) エスメラルダは、豊かな王国に生まれた、ひとりっこの王女さま。 その暮らしぶりは何不自由のないものでしたが、ただひとつだけ、彼女に足りないものがありました。 それは、“美しさ”でした。 「みにくいおひめさま」として、国中に知られるようになったエスメラルダ。 そこで王さまは、強い力を持った魔術師を探すことにしました。魔法の力で、娘を美しい姿に変えてしまおうと思ったのです。 そしてエスメラルダは、魔術師と名乗るグッドウィット夫人のもとで、9か月間を過ごすことになりました――。 * * * * * * * 自分の娘を、魔法の力で美しく変えてしまおうだなんて、なんて王さまだ!と、思ってしまいますよね。 けれど、たしかに、ちょっと鼻高々なエスメラルダ。(だから鼻が上を向いていたんですね。) 口がいつもへの字に曲がっているのも、目が輝いていないのも、ちゃんと理由があった訳です。 グッドウィット夫人は、そんなエスメラルダのことを特別扱いせず、自分の5人の娘と同じように接しました。 そうして、夫人と5人の娘たちとの暮らしが、エスメラルドの美しさを、少しずつ引き出していきました・・・。 「美しさは内面から」なんて言うと、安っぽく聞こえてしまうかな。 でも、本当にそうだなあ、と思います。 中川宗弥さんの、のびやかで美しい絵も相まって、愛おしくなるような1冊です。

マフィンおばさんのぱんや

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『マフィンおばさんのぱんや』 作 竹林亜紀 絵 河本祥子 出版社 福音館書店 発行日 1996年1月20日 ※月刊「こどものとも」1981年2月1日発行 価格 ¥800+税 マフィンおばさんのパン屋には、アノダッテという男の子がいて、毎日パン屋の手伝いをしていました。 ある晩のこと、アノダッテは、自分もパン作りを覚えようと、そっと地下室へ降りました。 アノダッテは、町のみんながいっぱい食べられるくらい、とても大きなパンだねを作ると、それをかまどの中へ押し込みました。ところがパンを焼いている最中、うっかりその場で眠ってしまって・・・。 * * * * * * * マフィンおばさんは、パンだねを作るとき、あわただしく動き回ります。そして最後には、“つぼから やまもり チョコレートを すくって”、パンだねで包みます。 それから、そのパンだねをかまどへ入れてしばらくすると、“ぱんの やける いいにおい”が漂ってくるのですって。 ああ、なんておいしそう! 竹林亜紀さんの文章を読んでいるだけでも、パンの香ばしいにおいがあたり一面に広がってくるようです。 そのうえ河本祥子さんの描くパンは、ふっくらとしていて、良いきつね色で、食べたらどんな味がするんだろう・・・と夢がふくらみます。 さて、アノダッテが焼いたパンですが、どんどん膨らんで、最後には屋根裏部屋の窓から顔を出すくらいまで膨らんでしまいました。 ところが、マフィンおばさんは、「あたしも、こんな おおきな ぱんを やいてみたいと おもっていたんだよ」なんて言って、焼き立てのそのパンをつまんで食べてしまいます。 普通なら、「なにやってんだい!アノダッテ!」くらい言いたいところですよね。うちじゅうパンだらけなのに! でも、そんな優しい(おおらかな?)マフィンおばさんだからこそ、町のみんなから愛される、おいしいパンが焼けるのかもしれませんね。

どんぐりノート

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『ひろってうれしい 知ってたのしい どんぐりノート』 作 いわさゆうこ、大滝玲子 出版社 文化出版局 発行日 1995年10月15日 価格 ¥1,300+税 クヌギ、コナラ、ミズナラ、カシワ、アラカシ・・・ たくさんのどんぐりと、その仲間について、 実、殻斗(どんぐりの帽子のこと)、木、葉っぱなどの特徴や、 おもな自生地、花の咲く時期、木や実の別の呼び名などまで、 本当にたくさんのことが、ぎゅぎゅっと詰まっています。 その他にも、 どんぐりって、なんで“どんぐり”って呼ばれるの? どんぐりってどうやって芽生えるの? どんぐりを食べる動物って? などなど、隅々まで書き込まれたどんぐりのヒミツは、本当に読み応えたっぷり! 巻末には、どんぐりで作る工作や、どんぐりを使った遊び方などが紹介されていたり、どんぐりの食べ方(だんごにしたり、クッキーにしたり、どんぐりごはんにしたり!)が紹介されていたりして、見ているだけでも、わくわくわく・・・。 どんぐりのことをもっと知りたいなと思ったときに、おすすめの1冊です。

森のピアノ

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『もりのピアノ』 作 いわむらかずお 出版社 ひさかたチャイルド 発行年  1989 年 11 月 価格 ¥ 1,000 +税 女の子が、森の中で切り株を見つけました。 「これ、わたしの ピアノ。」 そう言うと、切り株をピアノに見立てて、指を動かし始めました。 そこへ、動物たちがその音を聴きつけてやってきました。 と、思ったら。 みんなは、そそくさと駆けて行って、一旦その場を離れた動物たち。 戻ってきた手に、みんなが持っていたのは・・・? * * * * * * * 木々の葉が色付く森の中で、 女の子と動物たちによって行われた、森の音楽会。 ああ、なんて素敵なんだろう!と、うっとりしてしまいます。 森中から大拍手が聞こえるシーンでは、 森の木々までもが、とっても嬉しそう。 作者は、「14ひきシリーズ」でお馴染みの、いわむらかずおさんです。 14ひきシリーズもそうですが、 いわむらかずおさんが描く自然は、繊細で、あたたかくて、いつも豊か。 「音楽の秋」を感じるには、ぴったりの1冊かもしれませんね。

マスキングテープ

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少しですが、久しぶりにカモ井さんのマスキングテープが入荷しました。 絵本の発注に追われていると、 雑貨の発注がついつい後回しになってしまっていて・・・。 でも、久しぶりにカタログを見ていると、 最近の新しい柄はどれも素敵で、すっかり目移りしてしまいました。 ちなみに、私は自分用に4つ買いました。  ずっと気になっていた「菜の花」を今回初めて注文しましたが、 黄色いお花のところがぷくっとふくらんでいて、本当にかわいいです。 (写真だと分かりにくいかな・・・) 子どものための「for kids」シリーズの、 宇宙のシリーズ(最初の写真・右下)では、 月や星や惑星が描かれていて、これも良かったです。 どれも少しずつの入荷なので、気になるものがあればお早めにどうぞ。

りすでんわ

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『りすでんわ』 作 高橋和枝 出版社 白泉社 発行年 2010年9月22日 価格 ¥1000+税 「まちには でんわという べんりなものが あるらしい」 りすたちの会議で、そんな話が議題にあがりました。 そこで、早速でんわを作ることにしたりすたち。 背の高い木を電信柱に見立て、つるを編んだロープを電線にすると、 その先に、粘土で作った電話機を取り付けました。 そうして、月のきれいなある晩のこと。 りすの子は、おばあちゃんも今夜の月を見ているかなと、 電話を使って聞いてみることにしました。 でも、どうやったらこれでお話しができるのだろう? そこでりすは家を出ると、電信柱をかけのぼって、 電線の上を駆け出しました――。 * * * * * * * 昨日は、皆既月食でしたね。 みなさんのところからも、赤く輝くお月さまが見えましたか? 店を出ると、もうすっかり赤く染まっていて、空を見上げて立ち止まる人もちらほら。 もしもまだ、そんなお月さまに気が付いていない人がいたなら、誰かまわず「ねえ、きれいですよ!」と声を掛けたくなるような、そんな気分でした。 だから、この絵本のりすの子が、おばあちゃん家まで駆けて行って、「きょうは つきが とっても きれいだよ!」と、急いで伝えに行った気持ちは、すごくすごくよく分かります。 りすの子の家には、おばあちゃんの写真が飾ってあって、 おばあちゃん家には、小さくて分かりにくいけれど、たぶん、おばあちゃんとりすの子の写真が飾ってあって、 なんだかじんわりあたたかくなりました。 何度も、何度も、読み返したくなる1冊です。

母の友 2014年11月号

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『母の友  2014 年 11 月号』 出版社 福音館書店 発行年  2014 年 11 月 1 日 価格 ¥ 505 +税 今月号の母の友は、いつもとちょっと違います。 というのも、「こどもに聞かせる1日1話」と題した特別企画で、なんと 30 編もの短編童話がぎゅぎゅっと収録されているのです。 その割合は、なんと母の友 100 ページ中の、 61 ページ! どどーんと贅沢な特集なのです。 プロの方の描きおろし作品もあれば、公募作品もあり、ひとつひとつのお話には、井上洋介さんや片山健さんや、スズキコージさん・・・といった名立たる方たちの挿絵が添えられていて、見応えもたっぷり。 おやすみ前に読むのはもちろん、移動時間や病院の待ち時間など、ちょっとした合間に子どもと読めるような、ちょうど良い長さも嬉しいところ。母の友は小ぶりな雑誌なので、持ち運びにもぴったりです。 その他、谷川俊太郎さんによるインタビューや、放射能の「可視化」に取り組む、写真家・加賀谷雅通さんの特集など。 * * * * * * * ちなみに・・・ 30編もの短編童話は、どれもおもしろかったけれど、私は、むかいもと実穂さんの「石ころのおひっこし」(公募作品かな?)と、安江リエさんの「なこちゃんとカータロウ」が、特に好きでした。(カータロウの方は、「こどものとも」で一度絵本になっているみたい。) それからスズキコージさんの「ギッコンじいちゃん」も、口ずさみたくなってしまうようなリズムで、すごく楽しかったです。 “あっちのやまから おひさまが ギッコン ギッコン あがってくるので ギッコン オハヨー ギッコン オハヨー” (スズキコージさん「ギッコンじいちゃん」より)

第11回絵本のおはなし会

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日にち  10月18日(土) 時 間   小さい子(0~2歳くらい)10 : 30~11 : 00 大きい子(3歳~小学生くらい)11 : 30 ~12 : 00 場 所  当店 参加費  無料(予約不要) どなたでもご参加いただけます。 内容   絵本を読んだり、わらべうたや手遊びをしたりします。 ※途中参加・ 途中退席OKです。 ※対象年齢はだいたいの目安です。お好きな方にご参加ください。 こじんまりとしたおはなし会ですが、 子どもたちと絵本を繋ぐ、小さな架け橋になれたら嬉しいです。

ナミチカのきのこがり

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『ナミチカのきのこがり』 作 降矢なな 出版社 童心社 発行年 2010年9月10日 価格 ¥1,300+税 ある日ナミチカは、おじいちゃんと、いとこのアンドレと一緒に、きのこ狩りに行くことになりました。 ナミチカにとって、はじめてのきのこ狩り。おじいちゃんはきのこを見つけると、毒があるだとか、フライにするとおいしいだとか、ひとつひとつのきのこのことを、丁寧に教えてくれました。 けれどナミチカは、きのこを探している間に、どんどん森の奥へと入っていって・・・。 * * * * * * * 長野に「森のおうち」という絵本美術館があって、いつか長野に行く機会があったら、ぜひお伺いしたいなと思っていました。 先日、やっとのことで念願叶い、ちょうどその時に展示されていた原画のひとつが、この『ナミチカのきのこがり』でした。 私は、降矢ななさんの絵が大好きです。『 めっきらもっきらどおんどん 』や『きょだいなきょだいな』、『 おっきょちゃんとかっぱ 』、「まゆ」シリーズ・・・。降矢ななさんの絵は、見れば見るほど、その繊細さや美しい色づかいにうっとりします。 子どものときは、お話に夢中で気が付かなかったけれど、大人になってから改めて読み返して、こんなにきれいな絵だったっけ!と、感動しました。 子どものときに気が付かなかったなんて、なんてもったいない!と思うのだけれど、それほど降矢ななさんの絵は、どのお話にもぴったり寄り添っていて、お話と同じ呼吸をしているのだろうなあ、とも思います。 ちなみに、森の奥でナミチカは、赤い帽子の小さなきのこたち(表紙の子たちが、動き出すんですよ)と出会うのですが、このきのこたちがとにかくかわいい! 「森のおうち」さんでの原画展は、2014 年11月18日(火)まで。 降矢ななさんのこの他の絵本や、出久根育さんの絵本の原画も展示されているので、よければぜひ。 「森のおうち」さんホームページ : http://www.morinoouchi.com/

サンドイッチつくろう

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『サンドイッチつくろう』 作 さとうわきこ 出版社 福音館書店 発行年 1993年9月25日 ※月刊「かがくのとも」1980年12月1日発行 価格 ¥900+税 「みんなで おいしいもの つくろう。」って、サンドイッチを作ることにした3人の子どもたち。(・・と、それを見ているイヌとネコ!) ゆでたまごを作って、いりたまごも作って、それからポテトサラダも作りました。 それぞれお皿に乗せて、みんなテーブルに座ったら、パンに乗せたり挟んだり。 完成したら・・・「いただきまーす」 * * * * * * * 特別忙しかった訳ではないのに、今日はいろいろと段取りが悪くって、 あたふたと、ばたばたとしていたら、ブログをアップするのが少し遅くなってしまいました。 それでこの絵本を選んだのは失敗だった!(笑) だって、本当においしそうなんです。このサンドイッチ。 気が付けば、お腹がぐーぐーぐー・・・。 さとうわきこさんといえば、「ばばばあちゃんシリーズ」が有名ですよね。 私もはじめこの絵本を手に取ったときは、一瞬「ばばばあちゃん?」と思ってしまいました。 というのも、「ばばばあちゃんシリーズ」の中には、『よもぎだんご』や『やきいもたいかい』などの「ばばばあちゃんのおりょうりシリーズ」というのがあって、そのシリーズにとっても似ていたからです。 事実、その「おりょうりシリーズ」ではないものの、この『サンドイッチつくろう』では、サンドイッチ作りの手順や方法が紹介されていて、やっぱり作らずにはいられません。 そんなことを言っていたら、またお腹が鳴りそうです。 とにもかくにも、楽しくって、おいしそうな1冊です。

みんなうまれる

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『みんなうまれる』 作 きくちちき 出版社 アリス館 発行年  2014 年 9 月 11 日 価格 ¥ 1,400 +税 “そして ぼくもうまれる くうきは あかるくなり えがおが うまれた(本文中より)” * * * * * * * もし、うまれてくる子どもを色で表したなら、 これからうまれてくる動物や植物や、そのほかのたくさんの命を、色で表したなら、 きっとこの表紙のような、みずみずしくて、希望に満ちていて、ため息が出るくらいうっとりする、こんな色なんだろうなぁ、と思います。 写真ではうまく伝わらなくて、もどかしいな。 ほんとうは、もっともっと、きれいな色なんですよ。 見返しを開くと、右側にタイトルページがあって、その左側にはまっしろのページ。 私は、その左のページの真ん中に書かれてあった小さな文字に目がとまって、胸がじーんとあたたかくなってしまいました。 “うまれてきてくれて ありがとう”って。 そんなまっすぐな言葉を、冒頭からかけられて、ページをめくるにつれ、どきどきして、最後には目頭が熱くなってしまいました。 こんな素敵な本が出版されて、すごく嬉しい。 春の陽気のような、やさしい光につつまれた気分になる、とってもあたたかな1冊です。

ジャムつきパンとフランシス

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『ジャムつきパンとフランシス』 作 ラッセル・ホーバン 絵 リリアン・ホーバン 訳 松岡享子 出版社 好学社 発行年 1972年 ※2011年1月に改訂されています。 ※原書『BREAD AND JAM FOR FRANCES』1964年発行(アメリカ) 価格 ¥1,200+税 フランシスは、ジャムが大好き。 学校に行くバスを待っている間も、ジャムの歌を楽しそうに歌っています。 家族が朝ごはんにゆでたまごを食べていても、フランシスだけはジャムつきパンばかり食べているし、 お母さんがお弁当にチキンサラダのサンドイッチを持たせても、友だちのジャムつきパンととりかえっこしたって言うし、 おまけに夜ごはんも、やっぱりジャムつきパンだし。 そこで翌朝、お母さんは考えました。 朝ごはんも、お弁当も、それから夜ごはんも、ぜーんぶジャムつきパンにしたのです。 さすがのフランシスも、これには懲りて、小さな声で歌いました。 “ほんとのこと いうと あたしは ジャムに あきちゃったのよ。”って。 * * * * * * * 確かに、同じものばっかりは飽きちゃうよね。そりゃあそうだ。 夜ごはんの、ミートボールの入ったスパゲッティ、すごくおいしそうだったし、ね。 ジャムつきパンを見て泣き出しちゃうところなんて、たまらなくかわいくって、ぷぷぷ、と笑ってしまいます。 次の日のお母さんが持たせてくれたお弁当は、いろいろなものが入っていて、とっても素敵なお弁当でしたよ。 子どもたちには、おいしいものをたくさん食べて、大きくなってほしいなぁと思います。

子どもと一緒に読みたい絵本

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『子どもと一緒に読みたい絵本』 出版社 玄光社 発行日 2014年11月1日 価格 ¥1,600+税 できたてほやほやのこの本は、絵本専門店や書店の児童書担当者として働く人たちが、子どもと一緒に読みたいとっておきの絵本をセレクトした1冊です。そのお店の数は、北海道から沖縄まで、なんと100軒! ここでは、そんな全国の書店員さんたちが、日々絵本に触れ、子どもたちや、子どもたちに関わる大人の声を聞くなかで、ほんとうに届けたい絵本を18のテーマに添って選んでいます。 そのテーマは、 ・「ワクワク!ファンタジーの世界」 ・「身近な友だち・家族・先生との関係」 ・「自然や生き物をより深く知る」 ・「耳で楽しむ・声に出して楽しむ」 ・「日本の文化・風土に親しむ」 など、どれもページをめくるのがわくわくするようなものばかり。 全ページがカラーなことと、絵本の表紙や中身の写真がたくさん掲載されているのも、すごく嬉しい。 井上コトリさんのイラストが、ページのあちこちに散りばめられているのも、とってもかわいくてうきうきします。 実は当店にもアンケートが届いて、絵本を選ばせていただきました。ほんの少しですが、本文中にも絵本の紹介文が掲載されています。 お店紹介のページでも取り上げていただいたので、良かったらご覧になってみてください。 お店紹介のページ 私の紹介文は、あまりぱっとしないので、さておいて、名立たるお店の方々の紹介文は、やっぱり惹きつけられるものがあって、読んでいてすごく楽しい。 そんな紹介文をひとつひとつ読んでいると、絵本や、子どもたちへの愛がいっぱいで、なんだか嬉しくなりました。

休業日のお知らせ(10月)

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当店の定休日は、日曜日と祝日です。 ※10月は、定休日以外の臨時休業日はございません。 営業時間は、10 : 00~18 : 00です。 今月も、どうぞよろしくお願いいたします。 * * * * * * * 店内に入って正面の棚では、毎月テーマを決めて絵本を展示しています。 9月は、 作品展 開催にちなんで「動物の絵本」をテーマに、代わる代わる動物の出てくる絵本を展示していましたが、10月のテーマは「パンの絵本」にしました。 というのも、最近「パンの絵本、ありますか?」と尋ねられることが何度かあって、いっそのこと集めてみようと思ったわけです。 食欲の秋でもあって、おいしそうな絵本を見ていると、思わずお腹も空いてきそうです。 みなさんが思い浮かぶ、パンの絵本はなんですか?

ジョニーのかたやきパン

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『ジョニーのかたやきパン』 文 ルース・ソーヤー 絵 ロバート・マックロスキー 訳 こみやゆう 出版社 岩波書店 発行日 2009年5月15日 ※原書『JOURNEY CAKE,HO!』1953年発行(アメリカ) 価格 ¥1,600+税 ジョニーは、メリーおばあさんとグランブルおじいさんのもとで、手伝いをしていました。3人の暮らしは平和なもので、長い間、何も困ったことはありませんでした。 ところがある晩から、3人のもとに次から次へと災難が降りかかります。 とうとう食べるものもなくなって、ジョニーを食べさせていけなくなったおじいさんは、家を出て新しい手伝い先を見つけるよう、ジョニーに言いました。 翌朝になって、家を出たジョニー。ところが歩いている途中、背負っていた袋の中からかたやきパンが飛び出して、ころころと坂道を転がりはじめました。 慌てて追いかけたジョニーでしたが・・・? * * * * * * * ロシア民話の、『おだんごぱん』(瀬田貞二訳、脇田和絵、福音館書店刊)や『パンはころころ』(八木田宜子訳、マーシャ・ブラウン絵、冨山房刊)のような、パンがころころ転がって・・・というストーリーですが、最後は「ぱくっ」ではなく、めでたしめでたしのおはなし。(と言っても、ロシア民話の方ももちろん違った魅力があって、それぞれ素敵なのですよ。) ジョニーがパンを追いかけていると、牛もそのあとを追いかけて、あひるもそのあとを追いかけて・・・と、どんどん動物が増えていく様子は、とても臨場感があって、ぐいぐいとお話の中に引き込まれていきます。 さて、そんなジョニーが家を出なければならなくなったとき、悲しそうに送り出していたおばあさんですが、ジョニーが帰ってきたときの嬉しそうな顔といったら!はじめからずっとむすっとしていたおじいさん(いじわるなおじいさんなのかと思ったくらい!)も、このときばかりは、とても優しい顔をしています。すごく、しあわせそう。 さあ、このあと、かたやきパンは食べられたのでしょうか?それとも・・・? ところで、もしかするとこのお話、最後はくるっと戻って、最初のタイトルページに続いているのでは、なーんて・・・。