番ねずみのヤカちゃん

『番ねずみのヤカちゃん』

作 リチャード・ウィルバー
訳 松岡享子
絵 大社玲子
発行日 1992年5月31日
出版社 福音館書店


ドドさんの家の壁と壁の隙間に、お母さんねずみと4匹の子ねずみが住んでいました。子ねずみのうち3匹はおとなしくて静かな子でしたが、4匹目は「やかましやのヤカちゃん」と呼ばれるくらい、驚くほど大きな声で話す子ねずみでした。そんな4匹が大きくなって、そろそろ自で好きなところへ行ったり、自分で好きな食べものを見つけに行ったりしてもいい頃になりました。
そこでお母さんは、子ねずみたちに大事なことを話します。ドドさんにも奥さんにも、決してここにねずみが住んでいると知られないように、用心しなければいけないこと。そのために、3つのことに気を付けること。
ところが困ったことに、ヤカちゃんの声があんまり大きいものだから、ねずみがいることが知られてしまい・・・。


* * * * * * *

はじめてこの本を知ったとき、「番ねずみ・・・?(番をするの?ねずみが?)ヤカちゃん・・・?(変わった名前!)」と、次々にはてなが浮かびました。ヤカちゃんという名前の由来は本文3行目ですぐに分かりましたが、番ねずみと付けられたタイトルの訳は、お話の最後になるまで分かりませんでした!
ドドさんと奥さんにねずみがいると知られてからというもの、ハラハラするような場面が続きます。大きな声のヤカちゃん、本当に困ったものです。でも、「しーっ、しずかに!」と、お母さんに繰り返し言われ、とうとう他の子ねずみたちにも揃ってそう言わるシーンなんて、ヤカちゃんには申し訳ないけれど、思わずくすっと笑ってしまいます。

お話としては『ないしょのおともだち』や『ないしょのかくれんぼ』のシリーズにも通じるところがあるかもしれません。いろんな想像がふくらむ1冊です。