ふたりのロッテ

『ふたりのロッテ』

作 エーリヒ・ケストナー
挿絵 ヴァルター・トリアー
訳 池田香代子
出版社 岩波書店
発行日 2006年6月16日
※原書『DAS DOPPELTE LOTTCHEN』1949年発行
価格 ¥640円+税


ビュール湖のほとりのゼービュールという村に、女の子が夏休みを過ごす宿泊施設がありました。たくさんの女の子の中で、ルイーゼはひときわ元気ないたずらっこでした。ある日のこと、ルイーゼたちは、駅から新入りの女の子たちを運んでくるバスを待っていました。
ところが、驚くことが起こりました。最後にバスから降りてきた女の子、ロッテは、ルイーゼとうりふたつの顔をしていたのでした――。

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偶然出会ったルイーゼとロッテ。ふたりは父と母の秘密を知ると、ふたりを仲直りさせるため、夏休みが終わるころにある計画を実行します。
ふたりの性格は正反対ですが、それぞれにいいところがあって、とてもチャーミングです。ケストナーが手掛ける『飛ぶ教室』や『点子ちゃんとアントン』などにも共通するトリアーの挿絵も、ユーモアがあって愛らしい。
私は子どものころ、双子をたまらなく憧れた時期があったけれど、この本を手に取る子どもたちもきっと羨ましく思うだろうなぁ。そして読み進めていくうちに、気が付けばこの世界の主人公になって、ロッテとルイーゼの身に起こるたくさんのことを、いっしょに味わえるのだろうと思います。
ロッテのようなおしとやかな女の子にはもちろん、ルイーゼのようなおてんばの女の子にも読んでもらいたい1冊です。