いわしくん
『いわしくん』
作 菅原たくや
出版社 文化出版局
発行日 1993年11月15日
価格 ¥1,262+税
日本の海で生まれ、仲間とともに泳いでいたいわしくん。
ある日、漁網に捕まったいわしくんは、船に乗せられ港に運ばれました。パックにつめられ、店で売られ、買われた先は男の子のいる家でした。焼かれ、食べられ、いわしくんの肉は男の子の体の一部になりました。
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いわゆる、食べる食べられるの関係が、無駄のないシンプルな絵と言葉で描かれています。お話は“ぼくは およいだ”、“ぼくは つかまった”という風に、終始いわしくん目線で描かれています。
いわしくんが食べられた次の日でしょうか。男の子は学校に行きました。そして、いわしくんの目線で続く言葉で、最後はこう締めくくられています。
“そして ぼくは 学校へ 行った。
その日は プールだった。
ぼくは およいだ。
ぼくは およいだ。”
薄っぺらい言葉になってしまいますが、すごい絵本です。最後の3ページがこの絵本のすべてだと言っても、きっと過言ではないと思います。
お客さんにご注文いただいて初めて知った絵本で、新刊ではないのですが、おそらくここ最近で1番衝撃を受けた絵本です。
なんの前触れもなくこんな世界との出会いがあるから、これだから絵本はおもしろいと、なんだか嬉しくなってしまいます。
ぜひ絵と合わせてご覧になってみてください。