おつきさまこんばんは

『おつきさまこんばんは』

作 林明子
出版社 福音館書店
発行日 1986年6月20日
価格 ¥700+税



夜になりました。
深い藍色の空に、一軒のお家が見えます。

眺めていると、屋根の上が明るくなって、お月さまが顔を出しました。
「おつきさま こんばんは」

ところが黒い雲がやってきて、お月さまを隠してしまいます。
でも、なーんだ、雲さんはちょっとお月さまとお話をしていたんですって。

雲から顔を出したお月さまは、にっこり笑っています。

林明子さんの、「くつくつあるけ」シリーズの1冊です。

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今日はお月見、十五夜のお月さまです。
昨日の夜は、まあるくて明るいお月さまがよく見えたけれど、今日はどうなのかな。(店からは建物が多くて見えないけれど、帰り道は、きれいなお月さまが見えたらいいなあ・・・)

この『おつきさまこんばんは』は、私も大好きな1冊です。
目を伏せた穏やかな顔に、少し困った顔、口を開けて嬉しそうに笑う顔に、ちょっとおちゃめな顔・・・文字は少なくシンプルな絵本ですが、次々に代わるお月さまの表情が、言葉にせずともさまざまな気持ちを語っています。

雲に隠れてまた顔を見せてくれる、という「いないいないばあ」のような絵本です。

大好きな大人の顔が見えなくなって、再びそこに見えた安心感を楽しめる「いないいないばあ」の遊びのように、この絵本もまた同じように安心感を楽しめる絵本です。

眠る前にこの絵本が好まれるのは、そんな安心感を味わって、ゆったりと眠りにつけるからかもしれませんね。