たのしいふゆごもり

『たのしいふゆごもり』

作 片山令子
絵 片山健
出版社 福音館書店
発行日 19911025
価格 ¥1,200+税


こぐまとお母さんは、冬ごもりの用意に出掛けました。

お母さんは、木の実をとったり、魚をとったりと大忙し。
こぐまもそれを真似て、せっせとお手伝い。
うちに帰ると、さっそくお母さんがご飯を作ってくれました。

まもなく、雪が降ってきました。
でも、冬ごもりの用意はすっかりできているから、だいじょうぶ。

くまの親子の冬ごもりまでの様子を、あたたかく描いたおはなしです。

* * * * * * *

お母さんの真似っこをするこぐまの様子は、本当に愛らしい。

こぐまが、間違って食べられない木の実をとってしまっても、摘んだ綿をどろで真っ黒にしてしまっても、お母さんはこぐまの好きなようにさせて、その様子を見守っています。

黄色や赤に色付いた木の葉だとか、赤く染まる夕日だとか、片山健さんが描く秋は美しくて、その豊かな色合いにうっとりしてしまいます。

奥さんの令子さんの文章も、とても心地がよくて、とくに私は、こぐまのお母さんのこのセリフがとても好きです。

きのみに きのこ。さかなに はちみつ。
それから こんなに たくさん たべものをくれた
もり、はやし、かわ、ありがとう。いただきます」(本文より)



ところで、この絵本にはお父さんがいません。
調べてみると、くまはメスが子育てをするのが一般的で、つがいのオスとメスのくまが一緒に冬眠するということはまずないそうです。

いろいろ深読みをしてしまいましたが、そういうことだったんですね。
動物にもいろいろな家族の形があるのだなあと、そんなことも気付かされた1冊です。