子うさぎましろのお話

『子うさぎましろのお話』

文 佐々木たづ
絵 三好碩也
出版社 ポプラ社
発行月 1970年1月
価格 ¥1,000+税



子うさぎの「ましろ」は、サンタ=クロースのおじいさんから、クリスマスの贈りものを1番最初にもらいました。

ところが、もっと贈りものが欲しくなったましろ。
次の朝になると、燃えがらの黒い炭を体にこすりつけ、別の子うさぎになりすましました。

すぐに、あのましろだと気が付いたサンタ=クロースのおじいさんでしたが、
気付かないふりをして、袋にたったひとつ残っていた種と、自分が食べるために持ってきていたサンドイッチを、ましろにあげました。

サンドイッチを食べ、種を抱えて帰ろうとしたましろでしたが、家に帰る前に炭を落とそうとしても、どうしても黒い色が落ちません。

「ぼく、ほんとに“ましろ”じゃなくて、べつの うさぎに なっちゃったのかしら。」
そう言って涙を流したましろでしたが・・・。

* * * * * * *

これは、童話集「もえる島」(1960年)に収録されている1篇が絵本になったもので、「もえる島」は、佐々木たづさん初めての童話集「白い帽子の丘」(1958年)に続く2作目の童話集です。

「プレゼントをもっともらいたいな」って、そんな気持ちはよーく分かります。
でも、嘘を付いたらいけないよね。
それでもサンタさんは、その嘘に気付かないふりをしました。

それはきっと、ましろが、自分で自分自身のことを見つめ直すために、ちゃんと自分で気が付かないといけないことがあるから、サンタさんはそうしたんじゃないかな。

誰だって、失敗したり、間違うことはあるけれど、それを自分で気付けるように、うまくきっかけをくれる人がいるのは、とっても頼もしいことです。
ましろは、ちゃんと気が付けて良かったね。

三好碩也さんの絵は、色鉛筆でしょうか。
裏表紙に描かれているモミの木の絵も、とっても素敵です。