グロースターの仕たて屋
『グロースターの仕たて屋』
作・絵 ビアトリクス・ポター
訳 いしいももこ
出版社 福音館書店
発行日 1974年2月28日
※2002年10月1日新装版発行
価格 ¥700+税
※原書『THE TAILOR GLOUCESTER』1903年発行(イギリス)
グロースターさんは、町の小さな仕たて屋さん。
働きものでしたが、とても貧しい暮らしをしていました。
ある日のこと、グロースターさんは、市長さんが結婚式で着るための服を作っていました。
婚礼が行われるのは、クリスマスの朝です。
布は全て裁ちあがり、翌朝に縫い始める用意は、すべて整いました。
足りないのは、ボタン・ホールをかがる、紅色の穴糸だけ。
そこでグロースターさんは、飼い猫のシンプキンにおつかいを頼みました。
ところがシンプキンは、グロースターさんがその間にねずみたちを逃がしてしまったものだから、買ってきた穴糸を隠してしまいました。
おまけに、ひどい熱にかかってしまったグロースターさん。
クリスマスまで、日も迫っています。
あきらめかけた、グロースターさん。
けれどその逃げ出したねずみたち、実はとっても腕の立つねずみだったのです
* * * * * * *
「ピーターラビットの絵本」シリーズの、第15巻。
この『グロースターの仕たて屋』は、縫いかけだった上着が、翌朝になると仕上げられていた、という実話をもとにしたおはなしで、ポターさんご本人が1番気に入っていた絵本だといいます。(と、カバーのそでに書いてありましたよ。)
絵本ではそれがねずみたちのしわざでしたが、実際は弟子たちのしわざだったと、後になってわかったそう。
引き込まれるストーリーに、繊細な絵(とくに、ねずみたちの着ている洋服の素晴らしさといったら!)、私も大好きなお話です。
ちなみに、「ピーターラビットの絵本」は、2002年に新装されています。私が持っているのは、つるっとした白い表紙の、カバーの無いもの(1988年新版)ですが、今はこんな風に藍色の表紙で、白いカバーがかかってあって、とってもすてきです。
※漢字表記がありますが、すべてルビがふってあります。