ガラスのうま
『ガラスのうま』
作 征矢清
絵 林明子
出版社 偕成社
発行月 2001年10月
価格 ¥1,200+税
すぐりという名前の、男の子がいました。
彼の家のかざり棚の上に、
ガラスでできた馬がいました。
「あのうま、にわにだしてやりたいな。」
ある日のこと、
そう思ったすぐりが棚から馬を下ろそうとすると、
馬は、すぐりの手をふりきって飛び出し、
着地したはずみで、前足を折ってしまいました。
すぐりは、すぐにテープでその足を繋げましたが、
それもつかの間、馬は外へ走って行ってしまいました。
裸足のまま、そのあとを追いかけたすぐりでしたが・・・。
* * * * * * *
『はっぱのおうち』や『にせあかしやの魔術師』、『ひよこさん』(こどものとも0.1.2.)などと並ぶ、征矢清さんと林明子さんの、ご夫婦による共作です。
おはなしは、16の小さな章立てに分かれていて、簡単な漢字が使われていますが、すべてルビがふってあります。大人に読んでもらうならだいたい5歳くらいから、自分で読むなら小学校2、3年生くらいからの子どもたちにおすすめしたい、幼年童話です。
すぐりが迷い込んだ世界では、人や動物との、さまざまな出会いがあります。心細いすぐりの気持ちは手に取るように伝わってきて、はらはら、どきどきします。最初の数ページ以外の挿絵はすべてモノクロですが、透明感があって、本当にきれいです。
心をぐっと掴まれる、冒険ファンタジー。最後の結末に、ほっと心あたたまるおはなしです。