フランシスのおともだち
『フランシスのおともだち』
作 ラッセル・ホーバン
絵 リリアン・ホーバン
訳 松岡享子
出版社 好学社
価格 ¥971+税
※原書『BEST FRIENDS FOR FRANCES』(アメリカ)
気持ちのよい、夏の朝のこと。
妹のグローリアが、
フランシスに野球をしようと言いました。
ところがフランシスは、
「だめ。あんたは、ちいさすぎるもの。」と言って、
友だちのアルバートとのところへ行ってしまいました。
けれどその日、アルバートは“たんけんデー”だと言って、
フランシスを仲間に入れてくれません。
その次の日も、“おんなぬき”だからと言って、
フランシスを野球に入れてくれませんでした。
そこでフランシスは、グローリアのもとに帰ると
いいことを思い付きました
* * * * * * *
アナグマの女の子フランシスと、彼女を取り巻く、家族や友だちとの関わりを描いたフランシスシリーズ。鉛筆のやわらかなタッチと、淡い色付けが、あたたかみのあるシリーズです。
本作は、その中の、ある夏の日のおはなし。
妹のグローリアが、本当に本当にかわいくて、きゅんとなります。お姉ちゃんが大好きで、大好きで、いっしょに遊びたくて。でも、なかなかすぐには相手にしてもらえない。だから、どんな理由であれ、自分のもとに来てくれたらすごくすごくうれしくて・・・。
こんなきょうだいの姿は、どこにでもある光景ですよね。共感できる子どもたちも、多いんじゃないかな。
フランシスが、グローリアの“いちばんの なかよし”になってあげると言ったあとの、グローリアのうれしそうな様子といったら。「それ きょうだけ? それとも ずうっと?」なんて言うんですもんね。さすがのフランシスも、どうやらまんざらでもなさそうです。
フランシスは、女の子らしい女の子ではなくて、ちょっぴり負けん気の強い、たくましい女の子です。でも、子どもらしい子どもなんですよね。それが、とてもかわいい。
ホーバン夫妻は、どんなふうにしてこの1冊を仕上げたのかな。お二人が手掛ける子どもの描写が、わたしはとても好きです。