スイミー

 
『スイミー ちいさな かしこい さかなの はなし』

作 レオ=レオ二
訳 谷川俊太郎
出版社 好学社
発行年 1969年
※原書『SWIMMY』(アメリカ)
価格 ¥1,456+税


赤い魚のきょうだいたちの中で、
1匹だけ黒くて、誰よりも泳ぐのが早かったスイミー。

ところがある日のこと、
大きな魚がお腹を空かせてやってくると、
きょうだいたちを1匹残らず飲み込んでしまいました。

残されたスイミーでしたが、あるとき、
きょうだいたちとそっくりな
小さくて赤い魚たちと出会います。

大きな魚に食べられないようにと、
隠れて暮らしている彼ら。

そんな彼らを見て、
スイミーはあることを思い付きました・・・。

* * * * * * *

わたしが初めてスイミーと出会ったのは、小学生のころ。教科書の中でした。たくさんの赤い魚たちと協力して、黒い魚のスイミーが、大きな魚の“目”になる。そんなストーリーが新鮮で、小さなスイミーがとてもかっこよかった。たぶんそのときは、小さくてもみんなで力を合わせれば・・・というようなことを、ぼんやりと理解をしていたと思います。
けれど、大人になって読み返してみると、少し感じ方が違っていました。きょうだいたちと姿のちがうスイミーが、なんだかさびしげに見えたりして。孤独を抱えているような、ひとり凛としているような・・・。だからこそ、目になれてよかった。スイミーは、自分なりの役割を見つけたのだと、うれしくなりました。

子どものころは、スイミーや赤い魚たちばかり見て、他の絵は目に入っていなかったように思います。くらげのうっとりするような瑞々しさ、海藻のレースのような模様・・・ひとつひとつ、こんなに美しかったんだと、大人になってから気付きました。

夏になると目につくところに飾りたくなるような、爽やかな表紙もとても好きです。

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