川はながれる

『川はながれる』

作 アン・ランド
絵 ロジャンコフスキー
訳 掛川恭子
出版社 岩波書店
発行年月日 1978年11月21日
価格 ¥900+税
※原書『THE LITTLE RIVER』



山奥の森で、雪がとけ、氷がとけて、ちいさい川がうまれました。

小さい川は、だんだん大きくなって、山のふもとの平野に流れていきました。雨がふり、ふくれあがったちいさい川は、湖を越え、町に流れ込み、海を目指して一生懸命です。

ところが、海へたどり着いたちいさい川は、たくさんの水を見て思います。
自分はいったいどうなってしまうんだろう、と。

そんな川でしたが……

“ちいさい川にも やっと 分かった、
これまで たびしてきたところ どこにでも、
じぶんがいるということが  
緑のなかにも、岩のあいだにも、
みずうみや 野原や 沼地のおくにも……”

* * * * * * *

ある人が、この本のことを、まるで人生のような本だと言っていたけれど、今読み返しても、本当にそうだなあと思います。

これまで暮らしてきた場所や、出会った人、これまでやってきたこと・・・。そんなどこかに、自分がいるかもしれない。それは同時に、自分の中にもいる、ということじゃないかな。そう思うと、これまで過ごしてきた時間や、出会った人たちすべてが、今の自分につながっているのだとも、思います。

綺麗な絵と美しい文章には、心が洗われるようです。何度も読み返したくなる、大切な1冊です。