わたしはねこ

『わたしはねこ』

作 松田奈那子
出版社 リトルモア
発行年月 2016年11月25日
価格 ¥1,500+税


“あるひ わたしのうちに
にんげんのあかちゃんが
やってきた”


ある夫婦のもとに暮らす、ねこ。
そして、そこへやってきた赤ちゃんのかなこ。

かなこはいつも、ねこのあとをついて歩いたり、まねっこをしたり。
ふたりはどんなときもいっしょ。

けれどかなこが成長するにつれ、それは変わっていきました。

「にんげんには にんげんのくらしが あるんだぜ」
ねこの“のらくん”にもそう言われて・・・。

* * * * *

おはなしは、ねこの目線で語られ、進んでいきます。

ねこと、かなこちゃん。少しずつ変わっていくふたりの関係は、途中6ページに渡って、文字のないページで描かれています。その絵からは、言葉がなくても、ねこの気持ちが手に取るように伝わってきます。言葉がないからこそ、絵から伝わるものは大きくて。

実はこの絵本、作者・松田奈那子さんの妹さんと、松田さんのお家のねこちゃんをモデルに制作されたそう。
胸がじーんとあたたまるおはなしも、色とりどりのお花が散りばめられた表紙も、パッと目を引く黄色い見返しも・・・隅々まで細やかで、心をこめて、大切に作られたのだと感じます。

個人的には、かなこちゃんがねこの真似をして遊んでいるところが、かわいくてにっこりしてしまいます。(まあるくなって、ふたりでおしりを向けているところなんて、とってもかわいい。)

装幀は、名久井直子さん。少し小さめの判型で、ぎゅっと抱きしめたくなるような絵本です。