わたしはねこ
『わたしはねこ』
作 松田奈那子
作 松田奈那子
出版社 リトルモア
“あるひ わたしのうちに
にんげんのあかちゃんが
やってきた”
ある夫婦のもとに暮らす、ねこ。
そして、そこへやってきた赤ちゃんのかなこ。
かなこはいつも、ねこのあとをついて歩いたり、まねっこをしたり。
ふたりはどんなときもいっしょ。
けれどかなこが成長するにつれ、それは変わっていきました。
「にんげんには にんげんのくらしが あるんだぜ」
ねこの“のらくん”にもそう言われて・・・。
* * * * *
おはなしは、ねこの目線で語られ、進んでいきます。
ねこと、かなこちゃん。少しずつ変わっていくふたりの関係は、途中6ページに渡って、文字のないページで描かれています。その絵からは、言葉がなくても、ねこの気持ちが手に取るように伝わってきます。言葉がないからこそ、絵から伝わるものは大きくて。
実はこの絵本、作者・松田奈那子さんの妹さんと、松田さんのお家のねこちゃんをモデルに制作されたそう。
胸がじーんとあたたまるおはなしも、色とりどりのお花が散りばめられた表紙も、パッと目を引く黄色い見返しも・・・隅々まで細やかで、心をこめて、大切に作られたのだと感じます。
個人的には、かなこちゃんがねこの真似をして遊んでいるところが、かわいくてにっこりしてしまいます。(まあるくなって、ふたりでおしりを向けているところなんて、とってもかわいい。)
装幀は、名久井直子さん。少し小さめの判型で、ぎゅっと抱きしめたくなるような絵本です。