もうふ

『もうふ』

作 ジョン・バーニンガム
訳 谷川俊太郎
出版社 冨山房
発行年月日 1976年6月1日
本体価格 800円+税
※原書『THE BLANKET』1975年発行



主人公は小さな男の子。
眠るとき、男の子はいつも毛布を持ってベッドへ向かいます。

ところがある晩、毛布が見つからなくて、
お母さんもお父さんも探してくれたけれど、やっぱり見つからない。

すると……?

* * * * *

「バーニンガムのちいさいえほん」シリーズは、『ゆき』、『もうふ』、『がっこう』、『いぬ』、『とだな』、『ともだち』、『うさぎ』、『あかちゃん』の全8作。
そのうち数冊は品切れ状態でしたが、少しずつ重版がかかり、昨年2018年10月に『もうふ』と『ゆき』、『がっこう』、『とだな』が久しぶりに重版され、現在は8冊すべてお届けできるようになりました。

冨山房さんのホームページに “小さい人が最初に出会う絵本” と紹介されている通り、ページ数は少なめの20ページ、小さな判型に、とても短い文章が添えられています。

どれも、何気ない日常を描いた絵本ですが、バーニンガムさんの、子どもへのあたたかな眼差しが感じられます。

ジョン・バーニンガム(Jhon Burningham)さんは、1937年イギリス生まれ。
ロンドンのセントラル美術工芸学校で学び、カードやポスターなどの仕事を始めますが、1963年にはじめての絵本 『ボルカ(BORKA)』でケイト・グリーナウェイ賞を受賞。その後、『ガンピーさんのふなあそび』でも同賞を受賞しています。妻は、絵本作家のヘレン・オクセンバリ―さん。

2019年のはじめにバーニンガムさんの訃報を知り、改めて著書を読み返してみました。
おはなしは、のびのびとしていて、自由でたのしく、ユーモラス。けれど、時にはドキッとさせられることも。
処女作『ボルカ』や『トラブロフ』のような、力強さがあって、しっとりと重ね塗られた色彩の作品も味わい深いし、『ガンピーさんのふなあそび』や『ねえ、どれがいい?』のような、細い線とやさしい色彩の作品も軽やかで心地良い。

たくさんのすてきな作品を手掛け、私たちのもとに残してくださったバーニンガムさん。
これからも大切に届けていきたいと思います。