たろうのひっこし

『たろうのひっこし』

作 村山桂子
絵 堀内誠一
出版社 福音館書店
発行年月日 1985年2月28日
※月刊「こどものとも」1983年4月号
定価 本体900円+税


「ねえ おかあさん、ぼく じぶんの おへやが ほしいな」
そう言ったたろうに、
「このじゅうたんを ひろげたところが たろうの おへやよ」
と言って、赤い絨毯を持ってきてくれたお母さん。

そんなたろうのお部屋に集まってきた動物たち。窓があったらいいな、とか、お日さまがいっぱいあたるといいな、とか、動物たちはそれぞれに要望を言いました。

普通のお部屋なら、そんな要望叶いっこないけれど、なんて言ったってたろうのお部屋は、絨毯のお部屋。
動物たちの要望に合わせて引っ越しを繰り返し、最後に辿り着いたのは桜の木の下でした。

満開の桜の木の下に絨毯を広げ、花びらがちらちらと舞う様子はとてもほがらかで、春の陽気を感じます。

* * * * *

『たろうのばけつ』(1960年)、『たろうのともだち』(1962年→1967年に全面改稿)、『たろうのおでかけ』(1963年)に続く、たろうシリーズの1冊です。

本書も、いぬの「ちろー」と、ねこの「みーや」、あひるの「があこ」、にわとりの「こっこ」、それから友だちのまみちゃんが登場します。
そういえば、『たろうのともだち』だけ動物たちに名前が無くて、「いぬ」「ねこ」「ひよこ」「こおろぎ」が登場します。『たろうのともだち』の「いぬ」は他3作品の「ちろー」と似ているけれど、ここでの「ねこ」は白猫で、「みーや」のような縞模様がありません。違うねこちゃんなのかな?

いずれにせよ、登場する動物たちの名前も、そのしぐさも、とってもかわいくて。
シリーズと言っても、絵のタッチや色合いも作品ごとに違っていて、読み比べてみるのもおもしろいです。

裏表紙