はしれちいさいきかんしゃ

『はしれちいさいきかんしゃ』

イブ・スパング・オルセン 作
やまのうちきよこ 訳
出版社 福音館書店
発行年月 1979年6月25日
本体価格 1,200円+税


大きな駅に、せっせと働く、小さい機関車がいました。
けれど、その小ささゆえ、遠くへは行かせてもらえませんでした。

「せめて となりの まちまで いきたいな」

そう思った小さい機関車は、ある朝、とうとうホームを抜け、全速力で走り出しました。

* * * * *

『つきのぼうや』でおなじみの、デンマークの画家、イブ・スパング・オルセンさんの絵本です。

彼の作品は、新聞のためのイラストレーションにはじまり、ポスターや切手、舞台美術など幅広く、デンマークの人だったら、どこかで必ず、彼の作品を目にしているとも言われているそう。本はなんと、600冊近くも手掛けたのだとか。

本書は長らく品切れでしたが、2017年3月に限定復刊されました。
ちょうど、2017年が日本とデンマークの外交樹立150周年で、日本でもオルセンさんの原画展が行われていたことなどから、復刊にいたったのかなと思います。

さて、本書の内容に戻りますが、簡単なあらすじを聞くと、バートンさんの『いたずらきかんしゃちゅうちゅう』を思い浮かべる方も、多いのではないでしょうか。

どちらも小さい機関車で、代り映えしない毎日に、ちょっぴり飽き飽きしていて……。

ちゅうちゅうの無鉄砲ぶりにもハラハラさせられましたが、本書の小さい機関車も、負けず劣らず、なかなかの走りっぷりです。
でも、どちらもちゃーんと帰ってくる。それも、自分自身が、しっかり満足したあとで。
だから安心して、また読み返したくなる。それが、どちらの本にも共通して言えることでしょうか。

ちなみに、わたしが本書の中で特に好きなのは、小さな機関車が、とあるお家に突撃したところ。
お家のご婦人は、突然の訪問者がまさか機関車だなんてつゆ知らず、振り向きもせずに「だあれ。あしふきで どろを おとして いらっしゃい」なんて、言うんです。
そして機関車も、律儀にバックをすると、車輪をあしふきでキュッキュッと拭きます。
このやりとりがおかしくて、とても好きです。

そのあとの展開も、はちゃめちゃで、どうなることやら、最後まで目が離せません。
続きはぜひお手に取って、挿絵とともにお楽しみください。