ちいさなき

 『ちいさなき』

神沢利子 文
高森登志夫 絵
出版社 福音館書店
発行年月日 2009年5月20日
※月刊「ちいさなかがくのとも」2003年11月号
定価 880円 (本体800円+税)


開店初日から、営業日に毎日続けてきた「今日の1冊」も、これで最後となりました。

新しい絵本をご紹介することも考えましたが、最後にご紹介しておきたい絵本があったので、こちらを選びました。
2015年に一度ご紹介していますが、とっても良い絵本なので、少し修正して、改めてご紹介させてください。

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“ちいさなき” というのは、
うまれたばかりの、赤ちゃんのような小さな木のこと。

かえでだったり、樺だったり、いろいろな種類のちいさな木が登場しますが、
立派に枝葉を広げるお母さんの木と比べると、その幹はとても細くて、小さくて。

けれど、小さくても同じ葉っぱ、同じ色。

お母さんに見守られながら、
「ほら みて
おかあさんと いっしょでしょ」と、誇らしげ。

その愛らしくも、生き生きとした様子は、まるで小さな子どものよう。

本書のおはなしは、
そんな小さな木に向けたエールで締めくくられています。

“ちいさな き あかちゃんの き
おおきくなったら
りすが きて あそぶよ
ことりが きて うたうよ
いいな いいな
みんな おおきくなあれ”

小さな木の成長を願いながら、
読者である子どもたちの成長を願う言葉のようにも聞こえます。

どの子も、絵本の中の小さな木のように、
“おおきくなったら  ” と、これからの未来に夢を持てますように。

小さな木に、りすやことりが集まってきたように、
どの子にも、すてきな出会いがたくさんありますように。