けんた・うさぎ

『子どもとお母さんのおはなし けんた・うさぎ』

作 中川李枝子
絵 山脇百合子
出版社 のら書店
発行日 1986年11月
価格 ¥1,100+税

pieni silta

けんた・うさぎは、うさぎのぼうや。あるときは、いたずら好きの「いたずら・うさぎ」になったり、またあるときは、ズボンを頭にかぶって「あべこべ・うさぎ」になったり・・・。ぼうやのおどけた様子が、とても愛らしいです。お話は、全部で6つの章立てに分かれています。「ぐりとぐら」シリーズのコンビが手掛ける、やさしい読みものです。

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私が1番好きなのは、6章目の「おひさま・うさぎ」のお話。朝ごはんを食べた、けんた・うさぎは、最後に口を大きく開けて「おひさまも ぱくっ。」と、のみこみました(実際には、おひさまの光をのみこんだ、と言ってもいいかもしれません)。すると「おひさま・うさぎ」になった、けんた・うさぎ。
「ね、おかあさん、ぼくのかおをみて。きらきら おひさまみたいでしょ。」
「ね、おかあさん、ぼくのおなかに さわってごらん、あたたかいから。」
うさぎ・かあさんは、けんた・うさぎを膝に乗せて、ぼうやの言葉ひとつひとつに優しく答えます。その様子がとても穏やかで、お話を読んでいると、こちらまでぽかぽかしたあたたかさが伝わってきそうです。