ペレのあたらしいふく

『ペレのあたらしいふく』

作 エルサ・べスコフ
訳 おのでらゆりこ
出版社 福音館書店
発行日 1976年2月3日
※原書『PELLES NYA KLÄDER』1912年発行(スウェーデン)
価格 ¥1,200+税


ペレは、1匹の子羊を飼っていました。その子羊が育つにつれ、ペレの上着は短くなるばかり。
そこである日、ペレは子羊の毛を刈ると、毛をすいてもらうためにおばあちゃんのところへ行きました。おばあちゃんが作業をしている間、ペレは代わりに、おばあちゃんの畑で草取りをしました。
次にペレが向かったのは、もう1人のおばあちゃんのところ。糸を紡いでもらう代わりに、ペレは牛の番を引き受けました。
それからペレは、ペンキ屋のおじさんのところへ行きました。糸を染める染粉がほしかったのです。けれど、ペンキ屋に染粉はないと言われて・・・。

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ペレは、小さくなった自分の服の代わりに新しい服を作ろうと、たくさんの人の手を借りて、少しずつ新しい服を仕上げていきます。その代わりに、ペレは体を使って働きます。
服だけに限らず、ひとつの“もの”が出来上がるまでにはいろいろな工程があって、そこにはたくさんの人が関わっています。スウェーデンで生まれたこの絵本が、日本で『ペレのあたらしいふく』として出版され、読者の手に届くまでにも、たくさんの人が関わっているように。

ものが出来上がるまでの過程が見えなくなっている今だからこそ、とても大切なことが描かれているような気がします。べスコフさんの描く絵は、花1本、シャツ1枚にしてもとても繊細で、あたたかみがあって、何度見ても惚れ惚れしてしまいます。
100年以上も前に作られた絵本ですが、子どもたちにも、そのまた子どもたちにも、そのまたまた子どもたちにも、ずっと読み続けられたらいいなと思う絵本です。

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開店してから、営業日は毎日欠かさず更新してきた「今日の1冊」も、この『ペレのあたらしいふく』で500冊になりました。

2012年の12月3日に店を始めてから、1年と8か月余り。このブログを読んでくださっている方が、「昨日ご紹介されていた本はありますか?」とご来店くださったり、「子どもの頃に読んだ記憶が蘇りました」とおっしゃってくださったりと、毎日続けているうちに嬉しい反響を少しずついただくようになって、それを励みにして続けてきました。
絵本とあなたと、あなたと子どもとを繋ぐような、小さな架け橋になれたら。そんな思いで毎日更新してきましたが、実際にブログを書いていると、私自身がその本のことや、その作者さんのことを詳しく調べるようになりました。調べたこと全てをブログに書くことはできませんが、この毎日の作業で知ったことも多かったです。

今年4月にブログを移転して、今日で113冊。開店当初から今年の3月末まで続けていたブログでは387冊の、合わせて500冊。
もしも気になる方がいらっしゃったら、移転前のものはこちらからご覧いただけます。自分ではできれば読み返したくないような文章ですが、良かったら・・・!(笑)

絵本の魅力をお伝えするにはまだまだ力不足で、せめてできるだけ絵本の良さをつぶしてしまわないようにと、私の偏った読み方でその良さを狭めてしまわないようにと、そう思ってはいるものの、なかなかうまくはいかなくて・・・。
それでも、みなさんが絵本と出会う小さなきっかけになれたらと、店に来てゆっくり絵本を見る時間のないお母さんやお父さん、保育士さんたちの力に少しでもなれたらと、思っています。
気になるものがございましたら、店頭やお近くの書店さん、図書館などでぜひお手に取っていただけると嬉しいです。

これからも地道にコツコツご紹介してまいりますので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします!