おだんごぱん

『おだんごぱん』

作 ロシア民話
訳 瀬田貞二
絵 脇田和
出版社 福音館書店
発行日 1966年5月1日
価格 ¥1,200+税
※2008年6月20日、新規製版されています。


おじいさんが、おばあさん焼いてもらった、ほかほかのおだんごぱん。
窓のところで冷やされていたのに、ついつい転がり出したおだんごぱんは、ころころ、ころころ転がって、表へと出ていきました。

転がっていくうちに出くわしたのは、うさぎやおおかみ、それにくま。おだんごぱんは、その度食べられそうになりますが、歌を歌いながら、うまく切り抜けていきました。

ところがその後に出会ったのは、知恵のはたらくきつねでした――。

* * * * * * *

言わずと知れた名作ですが、
瀬田貞二さんの文章は、やっぱり美しいなぁと思うし、脇田和さんの絵は、味わい深くて、ユーモアがあって、すごくいいなぁと思います。

ちなみに、個人的に、この絵本の好きなところベスト3をあげるとするならば、

1.おだんごぱんの表情(頬がほんのり赤く染まっているのも、とってもかわいい。)
2.おだんごぱんの歌(ぼくは、てんかの おだんごぱん・・・♪)
3.タイトルの文字(太字のこういう字は、書こうと思ってもなかなか難しい。)

もちろん、他にも魅力はたくさんあるのですが、こういうところがとても好きです。

特に、おだんごぱんの表情は、何度見ても楽しい。
窓のところで冷やされているところの表情なんて、焼いてもらって嬉しいのか、1人にされてすねているのか(だって、なんだかふてぶてしいのです)、とにかくなんとも言えない顔をしていて、思わずぷぷぷ・・・と笑ってしまいそうになります。そうかと思えば、おおかみの前で歌を歌う場面なんて、本当に楽しそうな顔をしていて、とっても愛らしい。

子どもたちからは、表情うんぬんより、やっぱり「この歌が好き!」という声をよく耳にします。
読み手の数だけ、いろいろなリズムの歌があるというのも、素敵なところですよね。