りすでんわ

『りすでんわ』

作 高橋和枝
出版社 白泉社
発行年 2010年9月22日
価格 ¥1000+税


「まちには でんわという
べんりなものが あるらしい」
りすたちの会議で、そんな話が議題にあがりました。

そこで、早速でんわを作ることにしたりすたち。
背の高い木を電信柱に見立て、つるを編んだロープを電線にすると、
その先に、粘土で作った電話機を取り付けました。

そうして、月のきれいなある晩のこと。
りすの子は、おばあちゃんも今夜の月を見ているかなと、
電話を使って聞いてみることにしました。

でも、どうやったらこれでお話しができるのだろう?

そこでりすは家を出ると、電信柱をかけのぼって、
電線の上を駆け出しました――。

* * * * * * *

昨日は、皆既月食でしたね。
みなさんのところからも、赤く輝くお月さまが見えましたか?

店を出ると、もうすっかり赤く染まっていて、空を見上げて立ち止まる人もちらほら。
もしもまだ、そんなお月さまに気が付いていない人がいたなら、誰かまわず「ねえ、きれいですよ!」と声を掛けたくなるような、そんな気分でした。

だから、この絵本のりすの子が、おばあちゃん家まで駆けて行って、「きょうは つきが とっても きれいだよ!」と、急いで伝えに行った気持ちは、すごくすごくよく分かります。

りすの子の家には、おばあちゃんの写真が飾ってあって、
おばあちゃん家には、小さくて分かりにくいけれど、たぶん、おばあちゃんとりすの子の写真が飾ってあって、
なんだかじんわりあたたかくなりました。

何度も、何度も、読み返したくなる1冊です。