ゆき シュルヴィッツ

『ゆき』

作 ユリ・シュルヴィッツ
訳 さくまゆみこ
出版社 あすなろ書房
発行日 1998年11月15日
価格 ¥1,300+税
※原書『SNOW』1998年発行(アメリカ)



灰色の空から、ひとひらの雪が舞い降りてきて、
「ゆきが ふってるよ」と、犬を連れた男の子が言いました。

ところが大人たちは、たいして気にもとめません。

「これっぽっちじゃ ふってるとは いえんな」と、黒ひげのおじいさん。
「すぐに とけるわ」と、おしゃれ傘のおばさん。

ところが雪は、あとからあとから降ってきて、
あっちもこっちも白くなり・・・。

* * * * * * *

『よあけ』(福音館書店刊)の、シュルヴィッツさんが描く、
雪の日のおはなしです。

雪がしんしんと降りつもり、町全体を包みこむ様子が、
シンプルな短い言葉とともに描かれています。
“ちらちら おどって、
くるくる まわって、
 
ふわふわ あそんで、
ひらひら とんで、”
雪はそうやって、楽しげに舞い降りてきます。

大人たちの言葉や、ラジオやテレビで流れる予報なんて、
しらないよ、なんていう風に。

“やねが、しろい ぼうし をかぶり”、町が白く染まっていく様子は、
本当に美しくて、心が躍ります。

ところで、表紙からも見て取れるように、
おはなしの中の町並みには、2件の本屋さんがあります。
1つは「MOTHER GOOSE BOOKS」さん、
もう1つは「MORE BOOKS」さん。

子どもの本の店と、一般的な町の本屋さん、といったところでしょうか。
どんな本が置いてあるのかな・・・。
考えるだけでも、夢がふくらみます。

※1998年コルデコット賞オナー賞受賞
※関連書籍 : 『ゆうぐれ』(あすなろ書房刊)