ペツェッティーノ
『ペツェッティーノ
じぶんをみつけたぶぶんひんのはなし』
作 レオ=レオ二
訳 谷川俊太郎
出版社 好学社
発行年 1975年
※原書『Pezzettino』
価格 ¥1,456+税
小さなペツェッティーノは、
ほかの大きなみんなと自分とを比べて思いました。
自分はきっと、
だれかの取るに足りない部分品なんだ、と。
そこで、確かめてみようと決心しましたが、
誰もみな彼のことを、自分の部分品ではないと言います。
「こなごなじまへ いって ごらん」
かしこいやつにそう言われ、
船出をしたペツェッティーノでしたが・・・
* * * * * * *
訳者の谷川俊太郎さんは、本書の袖のところで、“お話はいつも私たち人間の生きている現実に根をおろしています。”と語ったうえで、“レオ・レオ二の絵本の主人公たちは、いつもほんの少しづつ私たち自身なのだと言えるでしょうか。”とも語られています。
私が最初にこの絵本を読んだのは、高校生のときでした。谷川さんが語られているように、小さなペツェッティーノが、どことなく自分と重なるようにも思えたのを、今でも覚えています。そして、うれしかった。そのとき手に取った絵本にはカバーがなくて、袖に書かれている、この谷川さんの言葉を知るすべはなかったけれど。今改めて読み返すと、すとんと胸に落ちるような気がしました。
レオ・レオ二さんの絵本は、「ねずみ」や「さかな」、「カメレオン」など、動物たちが主役の作品が目立ちますが、本書の“ペツェッティーノ”は、とても抽象的。だからこそ、読み手に委ねられる部分が多いんですよね。子どもたちの感じるままに、読んでほしいな。そう願う絵本です。