ロバのシルベスターとまほうの小石

『ロバのシルベスターとまほうの小石』

作 ウィリアム・スタイグ
訳 せたていじ(瀬田貞二)
出版社 評論社
価格 ¥1,300+税
※原書『SYLVESTER AND THE MAGIC PEBBLE』(アメリカ)


シルベスターの楽しみは、
かわった形や、かわった色の小石を集めること。

ある夏休みの雨の日に、
シルベスターは、奇妙な小石を見つけました。

それは、どんな望みでもかなえてくれる、
まほうの小石でした。

よろこんで、家へ帰ろうとしたシルベスター。
ところがその途中、ライオンと出会い、
あわてふためいたシルベスターは、
「ぼくは岩になりたい」と言ってしまいました  

* * * * * * *

かわいそうなシルベスター。岩になってしまっては、まほうの小石を拾うこともできません。もとに戻れなければ、家に帰ることだってできません。
シルベスターのお父さんとお母さんは、必死になって探し回りますが、見つけることはできず、つらい毎日を過ごします。(まさか息子が岩になっているなんて、思いもしませんよね)

でも、ひょんなことから、お母さんはシルベスターの気配を感じます。「父さん、なんだかふしぎでたまらないんですけど」と言って・・・。

『ロバのシルベスターとまほうの小石』は、コールデコット賞(アメリカで、その年の最もすぐれた子どもの本に贈られる賞)受賞作品で、新版の本書には、スタイグさんのコールデコット賞受賞時のスピーチが収録されています。

そこで、絵本について、“謎を謎としたままで人生について知ることを助けてくれます”と述べたうえで、“驚いたり不思議だと思ったりする感覚を強めてくれる、と言ってもいい”と綴られています。とても共感しました。

この『ロバのシルベスターとまほうの小石』を読んでも、ほんとうにそう思います。どきどきしたり、切なくなったり、おかしかったり・・・。心がたくさん動く絵本です。

※漢字表記がありますが、ルビがふってあります。