クリスマスの森

『クリスマスの森』

文 ルイーズ・ファティオ
絵 ロジャー・デュボアザン
訳 つちやきょうこ
出版社 福音館書店
発行年月日 2015年10月10日
価格 ¥1,300+税


サンタさんは、プレゼントをそりに積んで、トナカイと出発です。奥さんが用意してくれたお弁当は、サンドイッチとケーキと、それからコーヒー。

「おべんとうは おしごとが すんだあとで たべてね。
おしごとの まえに たべちゃ だめよ。
だって、あなた おなかが いっぱいになると
ねむくなっちゃうでしょ?」

奥さんはそう言って、お弁当を渡しました。

ところが、どうしても、我慢できなかったサンタさん。お腹がいっぱいになったサンタさんは、プレゼントを配る前に、眠ってしまい・・・。

* * * * * * *

ハラハラする展開ですが、森のキツネは、そんなサンタさんに気が付きます。何事かと、急いで集まってきた動物たち。訳を聞いたみんなは、そんなサンタさんのために力を合わせることになりました。

日本では、『サンタおじさんのいねむり』(前田三恵子文、柿本幸造絵、偕成社刊)として、長く愛され続けているおはなしです。この度、原書のイラストで本書が出版されると知って、わたしも手に取る日を心待ちにしていました。

柿本幸造さんの描く、ぽってりとした愛嬌たっぷりのサンタさんもまた可愛いけれど、こちらの、スレンダーでおひげの長いサンタさんもまた、異国感漂ういい雰囲気です。動物たちが集まり、パッと散らばるシーンなどは、本当にきれいで、うっとりします。

それにしても、サンタさんと奥さんとのやりとりは、何度読んでも微笑ましい。思わず、ほっこりします。大切な人に入れてもらうコーヒーの味は、きっときっと、格別ですね。