あめ

『あめ』

作 イブ・スパング・オルセン
訳 ひだにれいこ
出版社 亜紀書房
発行年月日 2017年2月13日
価格 ¥1,300+税


雨の日のこと。
シャロッテの眼鏡に落ちてきた、雨粒ふたつ。

それは、ちいさな男の子みたいな姿をしたへんてこな雨粒で、
名前を“バラバラ”と“ボトボト”と言いました。

バラバラとボトボトは、シャロッテに教えてくれました。
雨がどうやって降るのか、ということ。

それは、彼らの冒険のおはなしでした  

* * * * *

雨にまつわる絵本はたくさんありますが、中には本書のように、雨のしくみや水の冒険をテーマに描いた絵本が他にもいろいろあります。

有名なのは、やはり『しずくのぼうけん』(福音館書店刊)でしょうか。
ブテンコさんが描く“しずく”は表情豊かでとてもかわいいし、内容はシンプルで分かりやすいです。ことばのリズムも良くて、思わず声に出したくなる文章。堀内誠一さんのレタリングも味わい深いです。

川に視点を当てたものだと『川はながれる』(岩波書店刊)がおすすめです。しっとりとしていて、美しい絵が印象的。言葉に深みがあって、心に響くおはなしです。

日本の作家さんの絵本だと、加古里子さんの『かわ』(福音館書店刊)があります。こちらはより説明的。日本の田園風景が描かれていたり、人や建物が細かく描かれていたりして、見応えがあります。2016年には、「こどものとも60周年」を記念した絵巻じたての『かわ』も出版されました。こちらも素晴らしいです。

また、月刊「かがくのとも」2012年8月号の『みずのたび』は、水の流れを美しい写真で紹介した写真絵本です。写真で味わう水のおはなしも、また違ったおもしろさがあります。

さて、本書もまた、絵やおはなし、たくさんの魅力がありますが、私が1番好きなのは、雨の子たちのセリフです。
例えば、空から落ちるのは楽しいよ、なんて話だとか、はじめに挨拶するのは子どもで、それも “鼻” に落ちるんだ、なんて話だとか。
とってもかわいいです。

昨日ご紹介した『かぜ』とともにおすすめしたい、自然の広がりを感じる作品です。