たこのななちゃん

『たこのななちゃん』

作 中川千尋
出版社 徳間書店
発行年月日 1997年4月30日
本体価格 1,500円+税


夏休みに入ってすぐのこと。
船長をしているかなこのお父さんが、足を1本なくした、たこの子を連れて帰ってきました。

7本足なので名前は “ななちゃん” 。
ななちゃんは、かなこと一緒にいるのが大好きでした。
けれど、夏休みが終わって学校がはじまると、ななちゃんはお留守番。寂しくてしょんぼり、食欲も落ちてしまいました。

そこで、困ったかなこは学校の先生に相談しました  

* * * * *

はじめの献辞で、

“ふみに

どんな 生きものとも
ともだちになれる みんなへ”

とあります。

“ふみ” というのは、中川千尋さんのお子さんの名前でしょうか。
どんな生きものとも ともだちになれる、というのはすてきなことですよね。

本書では、夏にななちゃんと出会ってから翌年の春までの1年間の様子が描かれています。
かなこだけでなく、かなこの友だちもまた同じようにななちゃんとの交流を少しずつ深めていて、みんなとななちゃんはすっかり友だちに。その姿はとっても微笑ましいです。

出会いがあれば別れもあり、また出会いがあることも。
けれど、たとえいつか離れることがあったとしても、大切な人ができるということは何事にも代えがたいことだと思います。

以前ご紹介した中川千尋さんの『のはらひめ』同様、細やかな絵とやわらかい色彩にうっとり。心に残るおはなしです。