うえきやのくまさん

『うえきやのくまさん』

作 フィービとジョーン・ウォージントン
訳 まさきるりこ
出版社 福音館書店
発行日 1987年5月30日
価格 ¥900+税

pieni silta

植木屋のくまさんは、朝になるとエプロンをかけ、手押し車に植木ばさみとほうきを積み込んで仕事にでかけます。今日は隣のおうちで、庭のお手入れ。仕事が済むとおうちに帰って、昼ごはんを食べたら今度は畑仕事です。くまさんのおだやかな1日を描いた絵本です。

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とある日常を描いたお話ですが、登場するものひとつひとつがみずみずしく、繊細に描かれています。例えば緑のタイヤが付いた、小さな手押し車。くまさんの相棒のようにぴったりとそばにいて、赤くてシンプルなフォルムが目をひきます。私なら何を入れようか?そんな思いもふくらみます。それから隣の奥さんがおやつに持ってきてくれた、ビスケットとレモネード!この絵本で初めて「レモネード」と出会った子どもたちは、どんなにおいなんだろう?すっぱいのかな、あまいのかな、なんて思いを巡らすかもしれません。ちょっぴり異国のにおいを感じるのも、この絵本の魅力です。

私は、変わらない平凡な毎日の中にある、おだやかであたたかい時間が好きです。このシリーズは『うえきやのくまさん』の他に『せきたんやのくまさん』、『ぱんやのくまさん』、『ゆうびんやのくまさん』(以上全て福音館書店)、『ぼくじょうのくまさん』(童話館出版)がありますが、どの絵本にもおだやかな時間が流れていて、くまさんが変わらない毎日を丁寧に生きているのが分かって、嬉しい気持ちになります。