『時計つくりのジョニー』 作 エドワード・アーディゾー二 訳 あべきみこ 出版社 こぐま社 発行日 1998年7月1日 ※原書『JOHNNY THE CLOCKMAKER』1960年発行(イギリス) 価格 ¥1,300+税 手先がとても器用な、ジョニーという小さな男の子がいました。彼は、ものをつくるのが上手で、ある日大時計を作ろうと決心しました。けれど、ジョニーのお母さんやお父さん、学校の先生まで、「つくれっこないでしょ。」とか「おばかさんね」と言って、相手にしてくれません。 それでもジョニーは、ひとりで木を切り、組み立て、作業を続けました。それを応援してくれたのは、同じ学校のスザンナと、かじやのジョーさん、ただ2人でした――。 * * * * * * * ジョニーには、とびきりお気に入りの本が3冊あって、中でも『大時計のつくりかた』という本が1番のお気に入りでした。そして、その本をいつものように広げていた時、大時計を作ろうと思い立ったのです。 本文ではその時のことを、“こんな いいことを おもいついたので、ジョニーはもう うれしくてうれしくて、階段をかけおりて、お母さんのところに とんでいきました。”とあります。挿絵には、両脇をしめて、握りこぶしを胸の高さまで上げて、弾むようにお母さんのところへ掛けていくジョニーの様子が描かれていて、その嬉しくってたまらない!という気持ちが伝わってきます。 それなのにまったく、大人ときたら! けれど、大人になんと言われようと、ジョニーは最後まで諦めませんでした。そのたくましいこと、りっぱなこと。 唯一ジョニーを励ましてくれた、スザンナとジョーさんの存在も大きかったでしょう。 どれだけ強い思いがあっても、誰1人として信じてくれなかったら、心細くもなるはず。反対に、自分のことを信じてくれる人が1人でもいたら、それが何よりも力になるのだから。 ※漢字表記がありますが、すべての漢字にルビがふってあります。(挿絵の中の書き文字は除く)