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アレクサンダとぜんまいねずみ

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『アレクサンダとぜんまいねずみ ともだちをみつけたねずみのはなし』 作 レオ・レオ二 訳 谷川俊太郎 出版社 好学社 発行年  1975 年 価格 ¥1,456+税 ねずみのアレクサンダは、食べるものを探しにやってきた 人間の家で、ぜんまいねずみのウィリーと出会います。彼は、アニーという女の子のお気に入りのおもちゃでした。2匹は友だちになりましたが、アレクサンダはウィリーの家から帰ってひとりぼっちになったとき、彼のようなぜんまいねずみになりたいと思うのでした。そんなある日のこと、生きものを他の生きものに変えることのできるいう魔法のとかげの話を聞きました・・・。 * * * * * 著者は、絵本『スイミー』や『フレデリック』を手掛けるレオ・レオ二。彼の作品のなかでも、本書は千代紙を使ったコラージュを用いられていて、なんだか親しみを感じます。 レオ・レオ二は、孫のために作ったお話が元となってできた『あおくんときいろちゃん』で絵本作家としてデビューしました。彼の作品はいつも、「自己」とか「個性」とか、アイデンティティのようなものが根本にあるような気がします。そういうと、教育的な・・・なにか難しい絵本のように捉えられてしまうかもしれませんが、レオ・レオ二のそういった根本にあるテーマのようなものはいたってシンプルで、分かりやすい。それは、私が彼の作品に魅力を感じる理由のひとつです。 もちろん、さまざまな技法によって描かれる絵の素晴らしさは言うまでもありません。 今年は刈谷市美術館(愛知県)と宇都宮美術館(栃木県)にてレオ・レオ二の原画展も開催されます(刈谷市美術館では現在開催中)。お近くの方は、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

とけいのあおくん

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『とけいのあおくん』 作 エリザベス・ロバーツ 絵 殿内真帆 訳 灰島かり 出版社 福音館書店 発行日  2014 年 3 月 10 日 ※月刊「こどものとも」 2009 年 2 月 1 日発行 時計屋さんの棚の上に、小さな目覚まし時計のあおくんがいました。ある日のこと、お店に男の子とお母さんがやってきて、お父さんの誕生日にプレゼントする時計を探しています。あおくんはなんとか自分を選んでもらいたくて、気に入ってもらえるようにと、針の進む音を静めたり、一生懸命ベルを鳴らしてみたり。そうして見事連れて帰ってもらえることになったあおくんでしたが・・? * * * * * * * 本書発売前にハードカバー化のお知らせを聞いて、私は未読だったため(そしてペーパーバックは既に品切れだったので・・・)図書館でペーパーバック版を読んでみました。すると以前ブログでご紹介した『 ただのしろいふうとう (殿内真帆絵、福音館書店)』と通じるものを感じ、絵が同じ殿内真帆さんと分かり納得!そして、『とけいのあおくん』が既刊だったのですね。『ただのしろいふうとう』と同じように、かわいらしい、心あたたまるお話です。イギリスで生まれたお話だというだけで、原作者のエリザベス・ロバーツさんについては今のところ経歴が分かっていないということ。どんな風に伝わったお話なのか、とても気になります。 さてこの絵本、扉(タイトルページ)のところと最後のページにとけいのあおくんが描かれているのですが、良ければ見比べてみてください。あおくんの表情から、その嬉しい様子がしっかりと伝わってきますよ。

サラダでげんき

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『サラダでげんき』 作 角野栄子 絵 長新太 出版社 福音館書店 発行日 2005年3月10日 ※月刊「こどものとも」1981年5月1日発行 価格 ¥ 800 + 税 りっちゃんは、病気のお母さんが元気になる、おいしいサラダを作ってあげることにしました。早速野菜を切ってお皿に乗せると、のらねこがのっそり家に入って来て、「かつおぶしを いれると いいですよ。」と教えてくれました。りっちゃんが早速かつおぶしをサラダにかけると、今度は犬が、その次はすずめと次々にやってきて、それぞれアドバイスをしてくれました。おまけに最後は、飛行機に乗ったアフリカゾウまでやってきて・・・? * * * * * * * 作者である角野栄子さんの娘さんがまだ小さいころ、角野さんが風邪で寝ているとサラダを作ってくれたことがあったそう。このお話は、そのエピソードをもとに作られたといいます。 表紙にある通りピンク色をした屋根のおうちが舞台で、その場面はほとんど変わりません。絵本を読んでいる私たちは、サラダを作っているりっちゃんを窓の外から見ている、そんな感じです。そんななか、「キューン ゴー ゴー」という音とともに突然舞台は空に!なんと飛行機に乗ったアフリカゾウがサラダの仕上げにやってきたのです。 「りっちゃんは おかあさんが びょうきなので、なにか いいこと してあげたいと おもいました。」そんな始まりからは想像もつかないくらい、なんともはちゃめちゃで爽快なお話。もちろん、サラダを食べたお母さんはたちまち元気になりましたよ。最後に全員集合する見開きのページが、最高に素敵な1冊です。

12か月のうたのえほん

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『12か月のうたのえほん』 絵 あべななえ 出版社 ハッピーオウル社 発効日  2008 年 2 月 6 日 価格 ¥ 1,500 +税 誰もがきっと1度は耳にしたことがあるような童謡を、「春のうた」「夏のうた」「秋のうた」「冬のうた」と、季節ごとに紹介。例えば春なら「はるがきた」や「おはながわらった」、夏なら「ほたるこい」や「うみ」、秋なら「ゆうやけこやけ」や「やまのおんがくか」、ふゆなら「たきび」や「ゆき」といった曲目が、全部で38曲並びます。各ページには、1番だけでなく4番や5番 までの歌詞や、簡単な楽譜が掲載されているのも嬉しいところです。 実は私がこの本を知ったのは、とても最近のこと。先日開催した絵本の会でお客さまがご紹介くださったのですが、イラストの可愛らしさにうっとり!同じハッピーオウル社さんから出ている小林衛己子さんの『12のわらべうたえほん(あべななえ絵)』や『12のねかせうたえほん(おおいじゅんこ絵)』は以前から当店でも取扱いがございましたが、こちらはすっかり見落としていました・・・!同シリーズの『こころをむすぶうたのえほん』も気になります。 当店では、お客さまから「子どもと日中2人で過ごしていると、息詰まることもあって・・・」という声をしばしば耳にすることがあります。そんな風に少し息詰まった気持ちを感じたときは、鼻歌でもなんでも、なにか口ずさんでみると心なしか気持ちが晴れることもありますよね。この「うたのえほん」は、そんなとき役立ってくれる1冊かもしれません。出産のお祝いにもおすすめです。

おおきくなるの

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『おおきくなるの』 作 ほりうちせいいち 出版社 福音館書店 発効日  2004 年 11 月 1 日 ※月刊「こどものとも」 1964 年 6 月 1 日発行 価格 ¥800+税 三つになった女の子。お姉さんの帽子はまだぶかぶかだけれど、小さいときの靴下はもう履けません。 花の種を蒔いて水をやったら、大きな花が咲きました。毛虫は大きくなると蝶々に、キリンの子は大きくなってもキリン。みんなそれぞれに大きくなります。“大きくなる”ということを、女の子の視点から描いた絵本です。 * * * * * * * 1956 年に創刊され、 2014 年 7 月号で創刊 700 号を迎える月刊絵本「こどものとも」。その 700 号を記念して、ながらく品切れだったものやハードカバー化していなかったものがこの度 20 点刊行されました。本書はそのなかの1冊で、堀内誠一さんの絵本の中でも初期の作品です。 そういえば以前どこかで、堀内誠一さんは、絵本『きこえる!きこえる!』や『ことば』の作者であるグラフィックデザイナーのポール・ランドに影響を受けたと聞いたがあります。本書はまさにそれを彷彿とさせる絵で、言葉はとてもシンプル。文字のないページもあり、なかでも見開きいっぱいに赤い花が広がる場面はとてもきれいです。 ところで、ここでは犬の「ちろ」が出てきます。「たろう」シリーズ(村山桂子作、堀内誠一絵、福音館書店)に出てくる「ちろー」とそっくりですが、それならこの女の子はたろうの友だちのまみちゃん?(にしては、顔が違いすぎるかな・・・。笑)

やさいでぺったん

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『やさいでぺったん』 作 よしだきみまろ 出版社 福音館書店 発行日 1993年6月10日 ※月刊「かがくのとも」1991年5月1日発行 価格 ¥900+税 今夜はカレーライス!お母さんが台所ではりきっていると、野菜の切れ端がころころ転がり落ちました。子どもたちが落ちた野菜を持ち上げてみると、床にはまるい跡が。そう、ちょうど切れ端のかたちに濡れていたのです。そうだ!思いついた子どもたちは、野菜の切れ端に絵具を付けて、紙にぺったんぺったん・・・。野菜によって、切り方によって、模様はいろいろ。わくわくするようなスタンプ遊びの絵本です。 * * * * * * * 小学生くらいのときだったか、私は図書館でこの絵本に出会いました。小さい頃から絵を描いたりものを作ったりするのが大好きだった私は、野菜の切れ端でこんな素敵な絵が描けるなんて!と 、目をきらきらさせてこの絵本を読んだ記憶があります。今思えばその頃の私は、工作の本だとか、イラストの本だとか、子ども向けの手芸の本だとか・・・そういう本ばかり読んでは帰って試してみて、そんな繰り返しだった気がします。 本書にある野菜スタンプは、とっても簡単です。絵具と、スタンプする紙や布があれば、小さな子どもでもすぐに始められます。そんな手軽さが嬉しい。絵本の見返しには、いろんな野菜のスタンプ例が載っています。

模様替え

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店内少し模様替えしました。     入ってすぐの写真と、その裏側です。     大雑把な図ですが、こんな感じになりました。 奥の壁がごそっと空いたので、ちょっとした展示なんかもできたらいいなぁ・・・(思案中)。   子育て関連の本や雑誌、レシピ本は手前側に、子どもの読みものは今まできゅっとなっていたので、少し広げて奥にまとめてみました。   ぶらっとお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

ぽんぽんポコポコ

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『ぽんぽんポコポコ』   作 長谷川義史 出版社 金の星社 発行月 2007年1月 価格 ¥850+税     かわいいおててが、おなかを「ぽんぽん」叩いています。誰のおなかかな?ページをめくると・・・あ、ねこだ!「ぽんぽんポコポコぽんぽんポコポコ」って、なんだか楽しそう。お次は茶色いおててで「ぽんぽん」。今度は誰のおなかかな・・・? * * * * * * *   金の星社さんから刊行されている「はじめての絵本たいむ」シリーズ。『あかちゃんのおと(宮西達也作)』や『つみき(中川ひろたか文、平田利之絵)』など現在 12冊 の絵本が出ていて、本書はそのシリーズの第一弾です。 このシリーズのキーワードは、“シンプル”“ふれあい”“共感”。 シンプルな構成は幼い子どもたちにとって分かりやすく、本を楽しむ幅も広がります。 例えば本書なら、「ぽんぽん」のページで子どもといっしょに動物のおなかを叩いたり、最後の「ぽんぽんないない」で子どものおなかをなでて「○○ちゃんも、ないない」と言ってみたり・・・。自由な方法で、赤ちゃんとの触れ合いを自然に楽しめるような1冊です。「ぽんぽんポコポコ」のリズムも心地よく、子どもたちからはそのリズムを真似っこする声が聞こえてきます。 0歳からの赤ちゃんはもちろん、もう少し大きい子どもたちとなら「だれのおなかかな?」と、動物のあてっこをして楽しいですね。

いっしょだよ

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『いっしょだよ』 写真・文 小寺卓矢 出版社 アリス館 発行日 2012年5月5日 価格 ¥1,400+税 森の中で生まれたばかりの木の芽も、花も葉っぱも、たくさんの蜘蛛の子たちも、みんなひとりぼっちじゃないよ。いっしょだよ。森の中では、わいわいがやがや、いっしょのものがたくさん集まっています。でも、ほんとはね・・・。 * * * * * * * 著者は、「森に息づくいのちの繋がり」をテーマに、北海道の森や自然の営みを撮影されているという小寺卓矢さん。本書のみずみずしく美しい写真からも、森のなかで生きる草花や生きものたちの息づかいが感じられます。 前半部分から一変して後半では、いっしょに見えるものたちも、本当はみんなそれぞれに個があることを教えてくれます。違うもの同士、ひとりとひとりがいるから“いっしょ”なのだと。 それは、私たち人と人との世界にも通じるものを感じます。草と水、花と虫、種と風・・・自然の中で違うものに助けてもらったり、違うもの同士が支え合ったりしながらいっしょに存在しているように、私たちもまたそうやって人と人、人と自然がいっしょに生きているのだから。 小寺さんの写真絵本はこの他に、『森のいのち』、『だって春だもん』があります(どちらもアリス館刊)。良かったらこちらもご覧になってみてください。

第6回絵本のおはなし会 読んだ絵本

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4月19日(土)、6回目となる絵本のおはなし会を開催しました。 読んだ絵本は以下の通りです。 小さい子(10:30~11:00) ・ととけっこう(こばやしえみこ案、ましませつこ絵、こぐま社) ・ごぶごぶごぼごぼ(駒形克己作、福音館書店) ・こりゃまてまて(中脇初枝文、酒井駒子絵、福音館書店) ・カンカンカン(のむらさやか文、川本幸制作、塩田正幸写真、福音館書店) ・ぽんちんぱん(柿木原政広作、福音館書店) ・もうねんね(松谷みよ子作、瀬川康男絵、童心社) 大きい子(11:30~12:00) ・ゆうこのキャベツぼうし(やまわきゆりこ作、福音館書店) ・たんぽぽ(甲斐信枝作、金の星社) ・やさいのおなか(きうちかつ作、福音館書店) ・もぐらバス(佐藤雅彦原案、うちのますみ文・絵、偕成社) ・ぼくのかえりみち(ひがしちから作、BL出版) 今回初めて小さい子と大きい子に分けたので、ゆったりした雰囲気でのおはなし会になりました。小さい子のおはなし会は半年くらい~2歳くらいまでのお子さんとお母さん、大きい子のおはなし会は1年生~4年生のお子さんとお母さんがご参加くださいました。もちろん、お父さんのご参加も大歓迎です! 来月も3週目の土曜日、17日(土)に開催予定です。(時間も今回と同じ) 子どもたちといっしょに、のんびり絵本を楽しみませんか? 当日は、小さなお店いっぱいにマットを広げてお待ちしております!

くまの子ウーフ

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『くまの子ウーフ(くまの子ウーフの童話集)』   作 神沢利子 絵 井上洋介 出版社 ポプラ社 発行月 2001年9月 ※1969年刊「くまの子ウーフ」の改訂新版です。 価格 ¥1,000+税     くまの子ウーフは、うーふーってうなるからウーフ。遊ぶことが大好きで、食べることが大好き。それから、不思議に思ったことはなんでも「どうして?」と考えることが大好き。今日もぶなの木を見上げながら、あることを考えました・・・。   * * * * * * *   くまの子ウーフの童話集は全3巻。本書は1巻目の作品です。 収録されているのは、以下9つのお話です。 ・さかなには なぜしたがない ・ウーフは おしっこでできてるか?? ・いざというときって どんなとき? ・きつつきのみつけた たから ・ちょうちょだけに なぜなくの ・たからがふえると いそがしい ・おっことさないもの なんだ? ・? ? ? ・くま一ぴきぶんは ねずみ百ぴきぶんか   私がウーフと出会ったのは、小学校の教科書です。ちょうど本書二つ目のおはなし、「ウーフは おしっこでできてるか??」だったはず。ウーフのように「どうして?」がたくさんあった私は、ウーフが抱く疑問にとてもわくわくした記憶があります。ポプラ社文庫(現在のポプラポケット文庫)シリーズの「くまの子ウーフ」を母にねだって買ってもらうと、何度も繰り返し読みました。 ところが、子ども心にはただただおもしろかったウーフのお話が、大人になってから読み返すとなかなか奥深くて。とても素朴なことに疑問を抱くウーフのまっすぐな疑問にははっとさせられるし、ウーフの考えに寄り添うようにそっと助言するお父さんやお母さんの姿にも気付かされるところがあります。 子どもにも、そのまた子どもにも教えてあげたい、そんな1冊です。

YELLOW TO RED

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『YELLOW TO RED』 作 駒形克己 出版社 ONE STROKE 発行日 1994年11月1日 ※日仏併記 価格 ¥2,150(税込) 小さなひよこが目を覚ますと、お母さんの姿がどこにも見当たりません。すずめに尋ねると、西に行ったと教えてくれました。けれどひよこは小さくて、まだ西も東も分かりません。そこで今度は真っ赤なインコに尋ねました。お母さんを探し続けるひよこの、冒険のお話です。 * * * * * * * 『BLUE TO BLUE』などと同じ「紙の絵本シリーズ」として 1994 年に発売された本書。この春、たくさんの声によって再版されました!表紙の丸い窓からもお分かりいただけるように、ページが進むにつれ紙の色が黄色から赤へと変化していきます。日が昇り沈むまでの時間の流れを、色だけではなく手触りまで異なる紙によって美しく表現されています。 毎 日当たり前のように感じている太陽の光ですが、その光によって描かれる色の素晴らしさを、改めて感じさせられる作品です。 ちなみに、 ONE STROKE さんの商品で現在取扱いのあるものは、 ・Little tree ・雲ひとつ ・ BLUE TO BLUE ・かぜがはこぶおと ・ほしがねむるところ ・なみだ ・空が青いと海も青い。 以上の6種類と、 鳥のモビール(赤・白)、動物ポストカード(らいおん、ウシ、サル、ツル)です。 ぜひ店頭にてご覧いただければ嬉しいです。

よくきたね

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『よくきたね』 作 松野正子 絵 鎌田暢子 出版社 福音館書店 発行日 2009年6月10日 ※月刊「こどものとも0.1.2.」2004年4月1日発行

こねこのぴっち

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『こねこのぴっち』 作 ハンス・フィッシャー 訳 石井桃子 出版社 岩波書店 発行日 1987年11月25日 価格 ¥1,500+税 りぜっとおばあさんの家で、5匹の子猫が産まれました。(そう、これこそが『たんじょうび』の最後にあった嬉しいできごとです!)なかでも1番小さくて、1番大人しい子猫がぴっちです。ぴっちは他の子猫たちのように、おばあさんの編み物をおもちゃにして遊ぶより違うことがしたいと思っていました。ひよこたちと遊びたいとか、やぎになってみたいとか、あひるのように泳いでみたいとか。それを次々と実践していくぴっち。ところがそのうち、うっかりうさぎ小屋に閉じこもってしまって・・・? * * * * * * *   岩波の子どもの本シリーズ(小型版)として発売されたのが 1954 年。それから長く愛されてきた『こねこのぴっち』がその後大型絵本となって発売されたのが本書です。 扉だけ見てもうっとりしてしまうほど、この細やかな仕事っぷりには惚れ惚れさせられます。 さてお話のなかで、ぴっちは動物たちの真似をしてさまざまな体験をします。ちょっぴりうまくいくこともありますが、たいてい思い通りにはいきません。そのうえ“おもいびょうき”になってしまうのですから。やがてぴっちは思います。「ねこより ほかのものに なるのはやめよう」、「ここが、いちばん いいところだ。」と。誰しもまわりを羨ましく思うことはあるけれど、まわりの人たちの優しさやあたたかさに触れると「自分は自分」と思えたり、今いるこの場所を大切に思えたりします。ぴっちを見ていると、そんなことに気付かされるようです。

たんじょうび

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『たんじょうび』 作 ハンス・フィッシャー 訳 おおつかゆうぞう 出版社 福音館書店 発行日 1965年10月1日 価格 ¥1,400+税 今日は、リゼッテおばあちゃんの 76 歳のおたんじょうび。猫のマウリとルリ、それから犬のベロの3匹は、おばあちゃんが出かけている間にお祝いの準備をすることにしました。ベロはなにやら思いついたようです。野原からも、おんどりやめんどり、あひるにうさぎに・・・と動物たちを呼び集め、さあ支度の始まりです。 * * * * * * * リゼッテおばあちゃんのために一生懸命な動物たち。その奮闘ぶりは、おばあちゃんを喜ばせよう!という思いにあふれています。作者は『ブレーメンのおんがくたい(グリム童話、福音館書店)』で絵本作家としてデビューした、スイスの作家ハンス・フィッシャー。彼の描くなめらかでのびやかなペン画は、お話の躍動感をいっそう高めるようです。 そんな彼の作品の中でも、文と絵、両方を手がけられたのは『たんじょうび』と『こねこのぴっち』の2作品。絵本の見開きも、色違いです。 ※左 『たんじょうび』、右『こねこのぴっち』     このお話の最後に、リゼッテおばあちゃんも大喜びの嬉しいできごとが待っています(さて、なんでしょう!)。ここからもう『 こねこのぴっち 』のお話は始まっているんですよ。

ぽんちんぱん

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『ぽんちんぱん(0.1.2.えほん)』 作 柿木原政広 出版社 福音館書店 発行日 2014年4月5日発行 ※月刊「こどものとも0.1.2.」2010年11月1日発行 価格 ¥700+税 「ぱんぱん しょくぱん ぽんちんぱん」 うきうきするようなリズムとともに現れたのは、おいしそうな食パン1枚。ページをめくると・・・ 「ちぎちぎ ぱっぱで ぽんちんぱん」 小さな目がふたつ、おおきな口がひとつ。食パンをちぎると穴があいて、お顔になりました。お次はロールパン、ドーナツにフランスパンも。何度も口ずさみたくなる、楽しい写真絵本です。 * * * * * * * 「こどものとも 0.1.2. 」シリーズの 2010 年 11 月号として発売された月刊絵本が、このたび単行本化しました。棒読みで読んでもパンのユニークな表情には思わずくすっとしてしまいそうだし、歌うように読んでもきっと楽しいだろうし・・・と、どんな風に子どもたちに届けようかとわくわくするします。 作者は、音符のデザインが楽しげなイオンの「 singing AEON 」をはじめ、富士山をモチーフにした静岡市美術館のロゴマークなど、さまざまなデザインを手掛けられている柿木原政広さん。福音館書店さんの月刊絵本では、『とまとさんのあかいふく(こどものとも 0.1.2.   2008 年 8 月号)』のアートディレクションや『ひともじえほん(こどものとも 2011 年 11 月号)』の構成など。本書もまた余計なものを除いたシンプルなデザインで分かりやすく、赤ちゃんから楽しめる絵本に仕上がっています。 それにしても・・・しょくぱんやあんぱんは「ぽんちん“ぱん”」なのに、ロールパンやフランスパンは「ぽんちん“パン”」と表記されています。外国のものだから?「ぽんちんぱん」の「ぽ」に丸がついているのも、ついつい「ぽん!」と読んで、楽しくなってしまう。どちらも私の勝手な解釈ですが(笑)、そんなしかけも素敵な1冊です。

つながる

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『つながる』   作 きくちちき 出版 えほんやるすばんばんするかいしゃ 発行日 2013年4月1日(限定500部) 価格 ¥2,000+税     1つのりんごを見つめながら胸に抱えている思いが、表紙を開けばあふれんばかりに広がっています。文字はありませんが、ページをめくるごとに鳥のはばたく音や風が草をなびかせる音、楽しそうな声が聞こえてきそうです。力強くのびやかな筆使いが美しく画集のような1冊ですが、絵からじわじわと伝わるストーリーがあります。   * * * * * * *   『しろねこくろねこ(学研)』、『やまねこのおはなし(どいかや作 / イ―スト・プレス)』で 2012 年にデビューされたきくちちきさん。翌年 2013 年には『ぼくだよぼくだよ(理論社)』を発表され、同年にはスロバキアで1年おきに開催されているブラティスラヴァ世界絵本原画展(世界で1番古い絵本のコンクール!)で、はいじまのぶひこさんの『きこえる?(福音館書店)』と並び、『しろねこくろねこ』が金のりんご賞を受賞しました。 本書は、そんなきくちちきさんが、 2013 年に開催されていた個展の際に描き下ろされた作品です。 最後のページには、きくちちきさんのサインとシリアルナンバーが入っていて、赤いりんごが手書きで色付けされています。どうぞお手に取ってご覧ください。   店内では、きくちちきさんの絵本やポストカードを集めてみました。 合わせてお楽しみいただければ嬉しいです。  

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たねの森さんから、新しい種が届きました。 長かぶマルトー リトルフィンガーにんじん ペパーミント スウィートマジョラムの4種類です。 気になる方はお早めにどうぞ。   この他に店頭在庫があるものは、 つるなし平さやいんげん 水菜 スペリオールレタス リトルジェムロメインレタス グリーンサラダボールレタス サラダミックス ホワイトビューティーラディッシュ ガーリックチャイブ(ニラ) カレンデュラミックス 以上の9種類です。   たねの森さんの種は、農薬や化学肥料を使わずに栽培され た非遺伝子組み換えの種で、自家採種できる固定種です。 当店では、数ある種の中から鉢植えで気軽に育てられるものを集めて販売しています。   ちなみに私は、3月からリトルジェムロメインレタス(写真左)を、 先週からからホワイトクローバーを育てています(写真右)。     小さな芽が出たり葉が少しずつ増えてくると、かわいくてかわいくて(笑)。 お子さまがいるご家庭では、 ぜひ家族みんなで楽しみながら育てていただければ 嬉しいです。   価格 各¥300(税込) 

ももいろのきりん

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『ももいろのきりん(福音館創作童話シリーズ)』 作 中川李枝子 絵 中川宗弥 出版社 福音館書店 発行日 1965年7月1日 定価 ¥1,300+税 お母さんからとても大きな桃色の紙をもらったるるこは、その紙で大きなキリンを作ることにしました。「キリカ」という名前をつけて、最後にクレヨンで目をふたつ、そうして口を描きました。するとびっくり!キリカはしゃべり出し、のりが乾くとたちまち元気に動き出したのです。 次の日のこと、キリカが遠くを見渡していると、山のてっぺんにクレヨンのなる木を見つけました。キリカはるるこを背中に乗せると、山へ向かって風のように走っていきました・・・。 * * * * * * * 「とらた」シリーズや『おてがみ』など(どちらも福音館書店)と並び、中川李枝子さんと中川宗弥さんご夫妻による作品です。 冒険心くすぐられるお話に、のびやかで流れるような線で描かれた絵。途中までは黒と桃色のみで描かれていて、森へ行くシーン(真ん中くらい)から色とりどりの彩色が施されています。その変化が大胆で、ぱっと大きく場面が変わるような感じがします。事実、そこからるることキリカの冒険が始まり、さまざまな動物たちとの出会いもあります。 絵を描くこと、ものを作ることが好きな子どもたちなら、特にわくわくするようなお話です。

はなのすきなうし

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『はなのすきなうし(岩波の子どもの本)』 作 マンロー・リーフ 絵 ロバート・ローソン 訳 光吉夏弥 出版社 岩波書店 発行日 1954年12月10日 定価 ¥640+税 スペインのある牧場に、フェルジナンドという牛がいました。他の牛たちとは違い、子どもの頃から静かに花のにおいをかいでいるのが好きな牛でした。ところがある日のこと、マドリードの闘牛に出す牛を探しにやってきた牛飼いたちが、ひょんなことからフェルジナンドを連れて行ってしまって・・・? * * * * * * * 本書が発表されたのは 1936 年。この頃スペインでは内戦が起こっていて、戦わないフェルジナンドは政治的に解釈されることもあったそう。本書折り込みの解説ではそれに対した作者マンロー・リーフの言葉が掲載されていますが、確かに読み手によってさまざまな取り方のできる1冊です。 ちなみに私が1番好きなのは、フェルジナンドがまだ子どもだった頃の、お母さんとのやりとりのシーン。わが道をゆく子どもの「自分らしさ」を大切にして、あたたかく見守る母の愛が感じられます。思わぬハプニングから環境が一変してもフェルジナンドが「自分らしさ」を大切にできるのは、お母さんの愛があるからなのかも・・・なんて思ったりもします。