はなのすきなうし
『はなのすきなうし(岩波の子どもの本)』
作 マンロー・リーフ
絵 ロバート・ローソン
訳 光吉夏弥
出版社 岩波書店
発行日 1954年12月10日
定価 ¥640+税
スペインのある牧場に、フェルジナンドという牛がいました。他の牛たちとは違い、子どもの頃から静かに花のにおいをかいでいるのが好きな牛でした。ところがある日のこと、マドリードの闘牛に出す牛を探しにやってきた牛飼いたちが、ひょんなことからフェルジナンドを連れて行ってしまって・・・?
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本書が発表されたのは1936年。この頃スペインでは内戦が起こっていて、戦わないフェルジナンドは政治的に解釈されることもあったそう。本書折り込みの解説ではそれに対した作者マンロー・リーフの言葉が掲載されていますが、確かに読み手によってさまざまな取り方のできる1冊です。
ちなみに私が1番好きなのは、フェルジナンドがまだ子どもだった頃の、お母さんとのやりとりのシーン。わが道をゆく子どもの「自分らしさ」を大切にして、あたたかく見守る母の愛が感じられます。思わぬハプニングから環境が一変してもフェルジナンドが「自分らしさ」を大切にできるのは、お母さんの愛があるからなのかも・・・なんて思ったりもします。