コッコさんのともだち

『コッコさんのともだち』

作 片山健
出版社 福音館書店
発行日 1991年4月10日
※月刊「こどものとも年少版」1984年9月1日発行
価格 ¥800+税


保育園で、ひとりぼっちのコッコさん。なかなかみんなと遊べなくて、部屋でも庭でも、いつもひとりすみっこにいます。ある日先生が、「ふたりずつ手を繋ぎましょ」と言いました。困ったコッコさんでしたが、見るとコッコさんと同じように、誰とも手を繋げずにもじもじしている女の子がいました。
引っ込み思案な女の子が、自分と同じような思いをしていた子を見つけて、みんなの輪にも少しずつ打ち解けていく様子を描いた絵本です。

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コッコさんのまわりには、コッコさんなんてまるで見えていないかのように、遊びに夢中になったり、楽しそうに笑っている子どもたちの様子が描かれています。でも、子どもたちの世界って本当にそうですよね。けっして見て見ぬふりをしているとかいじわるをしているとか、そういう訳ではなくて、単純に自分の世界に夢中になっている、なんてことはよくあります。だからコッコさんのような子は、どうやってその輪の中に入れば良いのか分からなかったり、友だちが遊ぶ様子を、ただただ遠くからじっと見ていたりして。
この絵本では、そんな子どもの心情に寄り添って、ゆっくり、ゆっくりと、その心がほどけていく様子が描かれています。

新しい環境でスタートする子どもたちだけでなく、子どもたちのことを心配しているお母さんやお父さんも思わずほっと安心できるような、素朴であたたかい1冊です。