でんしゃがまいります

 『でんしゃがまいります』

作 秋山とも子
出版社 福音館書店
発行日 2014410
※月刊「こどものとも」1990101日発行
価格 ¥800+税

pieni silta

 駅のホームを舞台に、その1日の様子に密着!朝6時、車から降りた男の人たちが駅の売店へ新聞を運んでくるところから始まり、通勤・通学ラッシュとなってどんどん増えていく乗客たち。駅を利用する人はもちろん、駅員さんをはじめ、売店の人や掃除をする人など、そこで働く人たちの様子まで細やかに描かれた1冊です。(1980年代後半の、東京「新宿駅」の5番線、6番線ホームをモデルにしています。)

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とにかく見応えたっぷりでおもしろい!ページをまたいで共通して登場する人も多く、「あれ、この人さっき・・・」とページを戻って見入ってしまうこともしばしば。何かをなくした人がいれば、それを拾った人が離れたところで描かれていたり、女の子が座席に忘れてしまった絵本が『かばくん』(岸田衿子作、中谷千代子絵、福音館書店)だったり・・・と、本当にたくさんの発見があります。
小さな文字でセリフが書き込まれているのですが、それは絵本に出てくる人たちのうち数十人を取り上げただけ、という感じで、セリフとして取り上げられていない人たちのストーリーも絶えず見え隠れしています。

扉(タイトルページ)から裏表紙にかけて、たびたび登場する1匹の猫も気になります。なんて私みたいな大人はついつい自分が気付いたことを伝えたくなってしまいますが、子どもたちと楽しむ時はぐっと我慢して、彼らの気付きを大事にしてあげたいなと思います。