くんちゃんはおおいそがし

『くんちゃんはおおいそがし』

作 ドロシー・マリノ
訳 間崎ルリ子
出版社 ペンギン社
発行日 1983年1月
※原書『BUZZY BEAR’S BUSY DAY』1967年発行
価格 ¥950+税


こぐまのくんちゃんは、朝からなんにもすることがなくて、
「こんどは なにをしたらいい?」、「なにをして あそんだらいい?」と、
お父さんやお母さんに、聞いています。

外へ出たって、なんにもすることが見つからない、くんちゃん。

でもね、家のまわりを回ってみて、もう少し歩いてみて、
それからもっと歩いてみたら・・・
ほらほら、何か見つけたみたいです。

「くんちゃん」シリーズの中でも、
くんちゃんの1番幼いころを描いたおはなしです。

* * * * * * *

店の前のイチョウが、やっと少しずつ色付きはじめました。
裏を流れる川沿いの桜は、もう、どんどん赤く染まっていて、
まだ残る緑とのコントラストが、とてもきれいです。

表紙のくんちゃんも、山盛りの落ち葉を前に、とても楽しそう。

そういえばいつかの秋に、たまたま通りかかった道で、
イチョウの葉っぱがちょうどこれくらい山盛りになっていました。
そこにいた子どもたちは、落ち葉の中にもぐったり、空に舞い上げたり、
近くに落ちていた枝を拾って来たりと、なんとも忙しそうに遊んでいました。

ちょうど、自分でいろいろなことを見つけ始めた、くんちゃんのように。

“なにもない”ところから、何かを見つけたり、生み出したりする力が、
子どもたちは、きっと大人の何倍も何倍もあるのだろうなあ。

お父さんとお母さんに“ぼく おおいそがしなの。”と言うくんちゃん、
とっても良い顔をしていて、羨ましくなってしまいました。