てぶくろ(ウクライナ民話)

(ウクライナ民話)

絵 エウゲーニー・M・ラチョフ
訳 うちだりさこ
出版社 福音館書店
発行日 1965年11月1日
価格 ¥1,000+税
※原書『Rukavichka』1951年発行(ロシア)


子犬を連れて、森を歩いていたおじいさんが、
手袋を片方落として行ってしまいました。

するとねずみが駆けてきて、
手袋にもぐりこむと、
「ここで くらすことに するわ」と言いました。

そのあとも、かえる、うさぎ、きつね、おおかみ、いのしし・・・と、
次々に動物がやってきて、手袋の中に入りました。

さらに、くままでやってきて、
「わしも いれてくれ」と言いました。

てぶくろの中はこれで7匹。いまにも弾けそうです。
そのとき、「わん、わん、わん」と吠える声がして・・・。

* * * * * * *

1つの手袋に、次から次へと動物が入っていく様子は、本当に見事です。

絵をよく見てみると、まず、かえるがやってきたときには、すでに手袋は枝で支えられ、はしごが付いています。(ちょうど、表紙のように)

さらにうさぎが入って、きつねがやってきたときには、手袋の口のところにテラスのようなもの(それも屋根付き!)ができて、手袋の下の木のところには、ドアが付いています。(これは、最初からかな?)

おおかみが入ると、手袋には立派な窓(それも、木枠付きですよ)が付き、入口には呼び鈴までぶら下がっています。
更には、いのししが入ったあとになると、さすがの手袋も、もう縫い目がほつれそうなほどパンパンに膨らんで、ねずみさんなんてもう外に出てしまっています。

お話を聞いていると、まだ入れるのかな、大丈夫かな・・・と、どきどきします。でも、絵をよく見ていると、少しずつ手を加えられた手袋に、動物たちがちゃんと収まっていく様子が分かって、ほっとします。
(くまだけは絵に描かれていないので、どんなふうに収まっていたのかと、想像するのもまた楽しいです。)

ちなみに、ラチョフさん、1978年には新たな絵の『てぶくろ』を描かれています。(田中潔訳、ネット武蔵野刊、現在絶版)
しっとりとしたお馴染みの『てぶくろ』(福音館書店刊)と違って、こちらは、鮮やかでかわいらしい雰囲気です。どちらもそれぞれ素敵なので、図書館などで見かけられたら、一度比べてみてはいかがでしょうか。