しろいうさぎとくろいうさぎ

『しろいうさぎとくろいうさぎ』

文・絵 ガース・ウイリアムズ(Garth Williams)
訳 まつおかきょうこ(松岡享子)
出版社 福音館書店
発行年 1965年6月1日
価格 ¥1,200+税
※原書『THE RABBIT’S WEDDING』1958年発行(アメリカ)



しろいうさぎとくろいうさぎは、
広い森のなかに住んでいて、
毎日、楽しくいっしょに遊んでいました。

ところがあるとき、くろいうさぎは座り込むと、
かなしそうな顔をしました。

しろいうさぎが「どうかしたの?」と聞いても、
「ちょっと かんがえてたんだ」と言うばかり。

そんなやりとりが続いて、
しろいうさぎは聞きました。

「さっきから、なにを そんなに かんがえてるの?」

すると、くろいうさぎは言いました。

「ぼく、ねがいごとを しているんだよ」  と。

* * * * * * *

うさぎのふわふわとした毛並み、
木々や草花、水の波紋・・・

こまやかに描かれた、そのひとつひとつは、
とても繊細で、美しくて、うっとりします。

しろいうさぎを見つめるくろいうさぎの表情は、
伏し目がちで、切ない気持ちにあふれていて、
胸がきゅっとなります。

けれど、そのあとの2匹のゆくえを見ると、
胸はほかほかとあたたまって、うれしくなります。

落ち着いた色合いの中に映える、
黄色いたんぽぽもとてもきれいです。