ぽとんぽとんはなんのおと

『ぽとんぽとんはなんのおと』

作 神沢利子
絵 平山英三 
出版社 福音館書店
発行年 1985年2月15日
※月刊「こどものとも」1980年2月1日発行
価格 ¥800+税


野原に雪が降りつもりました。

冬ごもりの穴の中で、
くまの母さんは双子のぼうやを産みました。

おっぱい飲んではくうくう眠り、大きくなったぼうや。
外から聞こえてくる音を聞くと、母さんに尋ねました。

ある日は、
「ほっほー ほっほーって なんの おと?」と、

またある日は、
「つっぴい つっぴいって なんの おと?」と。

母さんは、そんなぼうやの問いに、
ひとつひとつ答えます。

そしてある日、ぼうやはまた尋ねました。

「ぽとん ぽとんって なんの おと?」

すると、母さんは答えました。
春が、もうそこまで来ていることを  

* * * * * * *

“ぽとん ぽとん”が何の音か、
みなさんは、分かりましたか?

春のおとずれを知らせる、あの音を、
ぼうやはしっかりと聞いていたんですね。

穴の中で生まれた2匹のぼうやは、
まだきっと、外の世界を見たことがないのでしょう。

知りたがりやのぼうやたち。
その姿はとても子どもらしく、
そんなぼうやたちに、
母さんは、おだやかな様子で答えます。

神沢利子さんの美しい言葉は、
雪溶けのようにふわっと広がり、耳にやさしく響きます。

絵は、平山英三さん。
日本の画家さんの中で、
もしも好きな画家さんを3人あげるとしたら、
そのうちの1人として思い浮かぶ作家さんです。

春が、私たちに知らせを届けながら、
少しずつやってくることを、伝えてくれる絵本です。