でんしゃはうたう

『でんしゃはうたう』

文 三宮麻由子
絵 みねおみつ
出版社 福音館書店
発行年月日 2009年4月10日
※月刊「ちいさなかがくのとも」2004年3月1日発行
価格 ¥800+税




「でんしゃが まいりまあす」

アナウンスの声がして、
電車がホームにやってきました。

“かかっ かかっ”
“すしゅーん こっ こっ”

電車に乗り込むと、
警告音が鳴って、電車が発車しました  

* * * * * * *

先日の読書会で、ご紹介いただいた絵本です。

アナウンス以外のセリフはなく、電車が奏でる音によってストーリーが展開されています。

三宮麻由子さんが、“通勤電車の一番先頭に張り付いて、「でんしゃのうた」になんども耳を傾け紡いだ”(福音館書店さんのHPより)という言葉は、とても自由で、豊かです。

例えば、電車がはしり出す、
“どだっととーん どだっととーん”

走っている最中に繰り返される、
“たたっ つつっつつ たたっ つつっつつ”

声に出してみると、聞いたことのある電車のリズムで、はっとしました。
私にとって、電車の音といえば“がたん ごとん”で、それを当たり前のように思っていたけれど、踏切を渡るとき、鉄橋を渡るとき・・・耳をすましてみると、世界はもっとたくさんの音であふれているんですね。

峯尾充さんの絵も、臨場感があってぴったりです。絵をよく見ると、いろいろな発見があるのもうれしいところ。(電柱やホームの広告も、よく見てみてくださいね。)
『でんしゃはうたう』というタイトルも、すごくいいなあと思います。なんども声に出して読みたくなる絵本です。