ピーターのいす

『ピーターのいす』

作 エズラ=ジャック=キーツ
訳 木島始
出版社 偕成社
発行月 1969年10月
価格 ¥1,200+税
※原書『PETER’S CHAIR』1967年発行(アメリカ)


ピーターの家には、赤ちゃんがいます。
妹の、スージーです。

スージーが産まれてからというもの、
ピーターが赤ちゃんのころに使っていたものは、
どんどんピンクに塗られていきました。

そこでピーターは、犬のウィリーといっしょに、
まだペンキが塗られていない小さな椅子と
それからクッキーや犬のえさを持って、
家出をしようと考えました  

* * * * * * *

決して長くはない文章の絵本ですが、ピーターの気持ちは、手に取るように伝わってきます。自分のものが、ぜんぶ妹のものになってしまうだけではなくて、お母さんは妹のお世話で大忙しだし、お父さんは、妹のためのペンキ塗りに忙しそうだし。自分の居場所がなくなっていくことを、感じたのかもしれません。家出したくなる気持ちだって、よく分かります。

けれど、入らなかったんですよね。
持ち出した、肝心の椅子に、ピーターのおしりが・・・

おまけに、ピーターのお母さんったら、「おひるは すてきな ごちそうですよ」なんて言うものだから、帰らざるを得なくなってしまいました。

そのあとの展開は、とってもかわいいです。子どもらしくて、いいなあと思います。お父さんと、お母さんに囲まれたピーターは、とってもうれしそうです。

お兄ちゃん、お姉ちゃんになる子どもたちは、こうやって、自分との葛藤を繰り返しながら、すこしずつ、すこしずつ成長していくんですよね。

コラージュを散りばめられた絵も、とてもきれいです。

※このピーターが主人公の、『ゆきのひ』という絵本があります。