たからさがし

『たからさがし』

作 中川李枝子
絵 山脇百合子
出版社 福音館書店
発行年月日 1994年3月10日
※月刊「こどものとも」1964年11月1日発行
価格 ¥800+税



ゆうじが原っぱで、
すばらしい棒を見つけました。

ちょうどそのとき、
うさぎのギックが飛んできました。

「ぼくが、さきに みつけたんだよ」
「いや、ぼくのほうが はやかった」

そう言って、どちらも譲りません。

そこでふたりは、かけっこ、相撲、幅跳び・・・と、
いろいろな方法で勝負をしますが、
なかなか決着はつきません。

そこでふたりは、ギックのおばあちゃんのところへ、
勝負をつけてもらいに行きました  

* * * * * * *

本を開くと、見返しには広い草原が広がっています。きれいな、明るい若草色です。

ゆうじとギック、ふたりは互角で、なんとなく次の展開が分かるのだけれど(つまり、きっと次も勝負はつかないだろうな・・・と思うのだけれど)、それがやっぱり予想通りで、そのくりかえしがおかしくて。
子どもって、こういう単純なくりかえしが好きですよね。次の展開を予想するときの、わくわくした気持ちだとか、思った通りになったときの満足感だとか、そういうシンプルな楽しさが心地よいのだろうなと、子どもたちに絵本を読んでいると、感じます。

さて、この“ゆうじ”。『そらいろのたね』(月刊「こどものとも」1964年4月号)でおそらく最初に登場し、この『たからさがし』で再び登場します。
さらに、『おひさまはらっぱ』でも登場し(ここでもゆうじは、ギックと取り合いっこをしています)、そのあと、『ねことらくん』にも登場しています。

でも、だからといって何か特別な男の子だというわけではなくて、どこにでもいそうな普通の男の子です。それがいいんですよね。ちょっぴりやんちゃで、明るくて、すなおで、子どもらしい子ども。

きっと子どもたちも、そんなゆうじくんだから、友だちになってしまうんでしょうね。