シオドアとものいうきのこ
『シオドアとものいうきのこ
えらくなりすぎた ねずみのはなし』
作 レオ=レオ二
訳 谷川俊太郎
出版社 好学社
発行年 2011年
ねずみのシオドアは、とかげとかえるとかめと、
古いカシの木の切り株に住んでいました。
仲間たちは、
それぞれ自慢できる特技を持っていましたが、
シオドアには“逃げる”ことしかありませんでした。
ある日のことシオドアは、青いきのこを見つけます。
「クィルプ!」
きのこから聞こえる、その不思議な音を聞いて、
彼は、ある考えが浮かびました。
* * * * * * *
シオドアは、その不思議なきのこを利用して、仲間たちに嘘をついてしまいます。仲間たちから「うそつき!」「いんちき!」「にせもの!」と罵られ、取り返しがつかなくなるほどに。
嘘をついてはいけない。度が過ぎるとこうなる
ただ、レオ・レオ二さんがこのおはなしに込めたのは、本当にそんな思いだったのかな、とも考えさせられます。わたしはなんだか、シオドアが少しかわいそうにも思えて・・・。もちろん嘘をつくことは、いけないことなのだけれど。
シオドアの“逃げる”ということは、見方を変えれば“速く走れる”だとか“じょうずに走れる”ということだし、些細なことに反応して逃げてしまうのだって、裏を返せば“感覚が鋭い”なんていう風にも言えますよね。でも、シオドアの仲間たちは、最初から彼のことを笑うだけでした。
もし、シオドアのいいところを見つけてくれる仲間と出会えていたら・・・。なにかのチャンスがあって、シオドア自身が、自分の長所を見つけられていたら・・・。そうしたら、もしかすると、なにか変わっていたかもしれません。
なぜシオドアは、嘘をついてしまったのか。嘘をつかなければ、ならなかったのか