みどりのしっぽのねずみ
『みどりのしっぽのねずみ
かめんにとりつかれたねずみのはなし』
作 レオ=レオ二
訳 谷川俊太郎
出版社 好学社
発行年 1973年
価格 ¥1,456+税
森の奥まった片隅で、
野ねずみたちが平和に暮らしていました。ところがある日のこと。
野ねずみたちは、通りかかった1匹の町ねずみから、
“マルディ・グラ”というお祭りの話を聞きました。
「ぼくらも、マルディ・グラを やろう!」
そこで彼らは、
飾り付けをして、仮面をかぶりました
* * * * * * *
“マルディ・グラ”のことを、わたしはこの絵本ではじめて知りました。はっきりとしたことは分かりませんでしたが、調べてみると“マルディ・グラ”というのは謝肉祭の一種で、古くからヨーロッパやアメリカで行われていたお祭りのことだそうです。
おはなしの中の野ねずみたちは、このお祭りに夢中になります。仮面をかぶり、恐ろしい獣になりきった彼ら。お祭りを楽しむことなんてすっかり忘れて、お互いにお互いを怖がって、やがて平和を失っていきます。
絵本を閉じて、わたしたち自身に置き換えてみたら・・・と、考えました。仮面は、わたしたちにとってのなんだろう、とも。もちろん答えは、ひとつでないのだけれど。
“ほんとの ねずみに もどって、おたがいに こわがったりせず、たのしく いきて ゆきたいと おもうのは、いい きもちだった”
おはなしの野ねずみたちは、仮面を取ることができて、そんな風に思いました。そう気付くことができて、本当に良かった。
ところが、このおはなしは、思わぬ終わり方をします。少なくとも、わたしにとってはそうでした。
きっと、作者のレオ=レオ二さんが、わたしたちに投げかけているんじゃないかな。平和について考えるとき、すこし立ち止まって、このおはなしにも触れてみてもいいかもしれません。