さかなはさかな
『さかなはさかな
かえるの まねした さかなの はなし』
作 レオ=レオ二
訳 谷川俊太郎
出版社 好学社
発行年 1975年
価格 ¥1,456+税
池の中に、
おたまじゃくしと小魚がいました。
2匹は、とても仲良しでした。
ところがある朝、
おたまじゃくしに2本の足が生え、
何週間か経つと前足が生え、
とうとう本物のかえるになった彼は
池の外へと出て行きました
* * * * * * *
同じような小魚だったのに、すっかり姿の変わってしまったおたまじゃくし。
小魚も成長して立派な魚になりますが、そんな彼のもとに、かえるは、久しぶりに帰ってきます。かえるは外で見てきたことを、魚に話して聞かせます。その話に心を揺さぶられた魚は、“なにが おころうとも ぼくも よのなかを みてやるんだ”と、決心します。
ところが、そううまくはいきませんよね。魚は、外に出てみて初めて、自分のもといた世界こそ、どんな世界よりも美しい世界だったと、気が付きます。
“さかなは さかな”、これは、タイトルにもなっている言葉です。その本当の意味が、おはなしを通して、すとんと腑に落ちたような気がしました。
人と比べたり、外の世界を見たりすると、憧れたり羨んだりすることもあるけれど、実際に外に出てみると分かることもあるんですよね。“わたしは わたし”って、この魚のように。
この本を読むと、今ここにあるしあわせや、そのよろこびを忘れずにいたいなと、改めて気付かされます。