とうさんおはなしして

『とうさんおはなしして』

作 アーノルド・ローベル
訳 三木卓
出版社 文化出版局
発行年月日 1973年5月1日
価格 ¥854+税
※原書『Mouse Tales』


ベッドに入ったねずみの男の子たちは、父さんにおはなしをねだりました。すると父さんは、ひとりに一つずつ、全部で七つのおはなしをしてあげようと言いました。「すぐ おねんねするって やくそくするなら」と、条件を付けて。

「しますとも しますとも。」
子どもたちはそう言って、父さんはおはなしを始めました  

* * * * * * *

収録されているおはなしは、
せ『ねがいごとのいど』
『くもとこども』
『のっぽくんちびくん』
『ねずみとかぜ』
『だいりょこう』
『ズボンつり』
『おふろ』の、七つ。

父さんが聞かせてくれる、七つの短いおはなしが収録された短編集です。


“ある ひの こと、ふたりはね
あらしに あって しまった。
のっぽくんは いった。
「やあ、あめつぶくん、こんにちは。」
ちびくんは いった。
「やあ みずたまりくん、こんにちは」”(『のっぽくんとちびくん』より)


たとえばこのおはなしでは、のっぽくんとちびくんという、背丈の大きく違う2匹のねずみが登場します。ところが、それぞれ見えている世界は違っていても、それは大きな問題でないと気付かされます。むしろ、違っているからこそ、新しい発見があるのだということも。

ちょっぴりひやひやしたり、くすっと笑ったり、ほっこりしたり・・・。七つのおはなしは、それぞれですが、いつもどこかにあたたかなユーモアがあります。

七つとも、すべてねずみのおはなし、というのもかわいいです。そうそう、子どもは、自分たちのような子どもが出てくるおはなしが大好きなんですよね。

子どもが寝静まったあと、父さんがぽつりと呟く言葉も、とても好きです。