ぼうし

『ぼうし』

作 ジャン・ブレット
訳 松井るり子
出版社 ほるぷ出版
発行年月日 2005年12月5日
価格 ¥1,300+税


“ふゆが きます。
リサは ふゆものを だしてきて
そとに はこびました。”(冒頭より)

そこへ風が吹いて、物干しに吊るしていた靴下の片方が、吹き飛ばされてしまいます。そんな片方の靴下を、知りたがり屋のはりねずみ、ハリーが見つけました。ところが、鼻をつっこんだハリーは、針が刺さって、脱げなくて、靴下はぼうしのようになってしまいました。

そんなハリーの姿を見た動物たちは、笑ったり、からかったり。すっかりうんざりしてしまったハリーでしたが・・・?

* * * * * * *

表紙の通り、靴下が頭から脱げなくなってしまったハリー。その様子は、とってもかわいいけれど、本人からしたら困ったこと。そんな、ゆかいなストーリー(と言ったら、ハリーは怒るかな?)に、細やかで美しい絵・・・。魅力いっぱいの1冊ですが、その中でも、特におもしろいなあと思うのは、絵の展開です。

まず、見開きでは4つのコマに分けて、絵が描かれています。文章に沿ったメインの絵は、真ん中の1番大きな枠。その両端にはそれぞれ小さな枠があって、左側の枠には、お家でのリサの様子が、右側の枠には次のページで登場する動物の様子が描かれていることが多いです。そして、真ん中の枠の上には、横長の細い枠があって、そこには、物干しの様子が描かれています。文章では綴られていませんが、風に吹かれて、靴下だけでなく、少しずつ服や手袋も飛んでいっている様子が絵を見て分かります。

さて、からかっていた動物たちだけれど、本当は・・・?
ユーモアのある、冬のおはなしです。