ふたごのカウボーイ

『ふたごのカウボーイ』

文 フローレンス・スロボドキン
 絵 ルイス・スロボドキン
訳 小宮由
出版社 瑞雲舎
発行年月日 2018年6月1日
本体価格 1,300円+税


アメリカのミシガン州に住む “ネッド” と “ドニー” は、ふたごの男の子。

カウボーイごっこをするのが大好きで、
この日も、ふたりはカウボーイの “ジム” と “スティーブ” になりきって、
庭から外へと冒険に出かけました。

商店街のおばさんにも、お父さんの会社の人にも、
“ジム” と “スティーブ” だと名乗るふたり。

ふたごのことをなんとなく知っている人たちは、
ふしぎになって首をかしげます。

そんなとき、ふたりは道に迷ってしまい……。

* * * * *

フローレンス・スロボドキンさんは、ルイス・スロボドキンさんの奥さんで、共にアメリカのニューヨーク生まれ。

本書に登場するふたごは、同コンビによる『てぶくろがいっぱい』(平凡社刊)に登場した、あのネッドとドニーです。そういえば、『てぶくろがいっぱい』のときも、友だちのジェイニーの庭が出てきてたっけ。
原書の発行年を見ると、『てぶくろがいっぱい』の2年後に本書が出版されたようです。

ちょっとしたアイテムひとつで、いとも簡単に違う世界の住人になったり、ヒーローやお姫さまにだってなれちゃう子どもたち。ネッドとドニーは、青いジャケットに赤いカウボーイハットをかぶって、首にはバンダナを巻いています。こんな立派なアイテムを身に付けたら、カウボーイになれないはずがありません。
エッツさんの『もりのなか』の男の子が、紙の帽子とラッパで、森の動物たちの一員になったように。


ここでのおはなしは、ふたりだけの冒険のようで、商店街のおばさん、お父さんの会社のおじさん、それから他にも、彼らの行く先々には彼らを見守る大人の目を感じます。それがとてもよい距離だなあ、と思います。

ふたりの、お父さんお母さんだってそう。
子どもたちが大好きで、だからこそ心配もするけれど、お互いに信頼し合っているのだと感じます。
それって、とても大切なこと。

巻末には、訳者・小宮由さんの、
“どうしておとなは「本を読みなさい」っていうの?”
が収録されています。

カバーのそでには、ネッドとドニーのモデルとなったというお孫さんと写る、フローレンスさんのお写真も。本文を読み終わったあと、思いがけず微笑ましい気持ちになりました。