ザトウクジラ

『ザトウクジラ』

作 ヨハンナ・ジョンストン
 絵 レナード・ワイスガード
訳 こみやゆう
出版社 好学社
発行年月日 2018年6月26日
※原書初版 1965年
本体価格 1,800円+税


夏が来ると、北極や南極の海に現れるクジラたち。
その中でも1番大きいのはシロナガスクジラで、世界中で1番大きな生物と言われているそう。
一方で、ザトウクジラはシロナガスクジラの半分くらいの大きさですが、半分と言ってもぞうの5倍くらいあるのだとか。

ここでは、大きく「クジラ」について紹介したのち、特にザトウクジラに焦点をあて、その生態に迫ります。

クジラには、歯のあるハクジラと、歯のない代わりにヒゲのあるヒゲクジラがいること、また、クジラの噴水のこと、ブリーチングと呼ばれる行動のこと、それから彼らの天敵のことなどが、小宮由さんの丁寧な翻訳で、やさしく、分かりやすく紹介されています。

生まれたてのザトウクジラの赤ちゃんが、なんと、大人のぞうと同じくらいの大きさだということにも驚きました。
そんな赤ちゃんは、大きくなって世話をする必要がなくなっても、お母さんのそばにぴったりと寄り添って泳ぐことがあるのだそう。ザトウクジラの子育てにも注目です。

本書は、昨年12月に発売された『コウテイペンギン』の姉妹作です。今回は横長の判型ですが、カバーをめくった姿や美しい見返しには、前作同様惚れ惚れしてしまいます。

コウテイペンギンやシロナガスクジラのことを知って、生きもののことがもっと好きになったら、それならイルカは?タツノオトシゴは?と、他の生きものにも興味が湧いてきそう。

原書の初版は、1965年。50年以上前に作られたというのだから驚きです。何年経ってもその輝きを失うことなく、子どもたちの心を動かす絵本。これからも、そんな絵本を手渡していけたらいいな、と思います。