のはらのひなまつり

『のはらのひなまつり』

作 神沢利子
絵 岩村和朗
解説 西本鶏介
出版社 金の星社
発行年月 1980年10月
本体価格 1800円+税


今日は、ひなまつり。
ともこは画用紙におひなさまの顔を描き、色紙で着物を作ろうとしました。

ところがそこへ風が吹き、おひなさまと色紙を吹き飛ばしてしまいます。
ともこが慌てて追いかけると、木の上で、ゆうくんと猫のみーやが笑っています。
そこでともこも木に登り、おひなさまが飛んで行った方を見ていると、ねずみやうさぎたちが、歌いながらたんぽぽのはらに向かって駆けていきます。

そこで、ともこたちも着いて行くと……?

* * * * *

『のはらのひなまつり』というタイトルの通り、たんぽぽのはらで開かれた、ひなまつりのおはなしです。

作者は『くまの子ウーフ』でお馴染みの神沢利子さん、絵は「14ひきのシリーズ」でおなじみの岩村和朗(いわむらかずお)さんです。

巻末には、児童文学評論家であり児童文学作家である、西本鶏介さんの「〈ひな祭り〉の由来について」という解説が収録されています。
もともとのひな祭りは、年齢や性別に関係なく健康を願う厄払いの行事だったこと、流しびなの風習は、罪やけがれを人形(ひとがた)につけて流した禊の行事がはじまりだったこと、はたまた、それがどうして今の雛人形を飾る風習になったか、ということなどが綴られています。
最後には、表紙にも描かれている「たんぽぽびな」の作り方も。

季節の行事について、その背景にあるものに思いを馳せると、当日までの時間も、より待ち遠しく、楽しいひとときになるように思います。